Nikkei Medical PHC Group CEO Interview

PHCホールディングス株式会社
代表取締役社長 | 最高経営責任者(CEO)
マイケル・クロス

PHCホールディングス株式会社は、2014年にパナソニック グループより独立し、2016年には独バイエル社の糖尿病ケア事業を買収、2018年に現社名に変更した。翌2019年には、米サーモフィッシャーサイエンティフィック社より解剖病理事業と、株式会社LSIメディエンスを買収した。現在、関連子会社数世界79社、125か国で販売網を有し、まさにグローバルヘルスケア企業へと変化を遂げている。今回、「PHCグループは今、とてもエキサイティングな時を迎えている」と語る代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)のマイケル・クロス氏に話を伺った。

積極的な投資によるPHCグループの成長戦略

これまで、PHCグループは、日本の事業会社であるPHC株式会社が手掛ける血糖自己測定システムをはじめとした「医療機器事業」、超低温フリーザーや培養機器などの研究・医療支援機器を主力とする「ライフサイエンス事業」、電子カルテシステム、医事会計システム、電子薬歴システムなどを主力とする「ヘルスケアIT事業」、の3つの事業分野が中心でした。

しかし、2019年にはサーモフィッシャーサイエンティフィック社の解剖病理事業とLSIメディエンス社を買収し、PHCグループは今、多様化した事業ポートフォリオを持つグローバルヘルスケア企業へと変化する真っ只中にあります。従業員数も買収前の約5,000人から約1万人へと倍増、連結売上高も2019年3月期の約1,900億円から大きく増加する見込みです。

上記に加えて、持続血糖測定(CGM)システムの開発製造企業である中国のZhejiang POCTech社との次世代CGM製品の共同開発、がん研究・組織診断向けの革新的装置を開発しているスイスのLunaphore Technologies SA社との協業による、次世代の病理診断ソリューションの開発など、将来を見据えた投資も行っています。今後、継続的に成長領域へのさらなる投資を行い、グローバルの診断・ライフサイエンスと日本におけるヘルスケアサービスにおいてベストインクラスのプレシジョンとデジタルソリューションを提供するリーダーとなることを目指しています。

企業買収による事業ポートフォリオの拡大と構造の転換

サーモフィッシャーサイエンティフィック社の解剖病理事業(現・エプレディア)とLSIメディエンス社買収前のPHCグループの事業別売上高の割合は、医療機器事業が68%を占め、ライフサイエンス事業が17%、ヘルスケアIT事業が15%という、少しバランスに欠くものでした。エプレディアとLSIメディエンス社を事業ポートフォリオに加えた現在、血糖自己測定システムを主力とする「糖尿病マネジメント」、解剖病理を含む「診断事業」、研究・医療支援機器の「ライフサイエンス事業」、ヘルスケアIT事業および臨床検査事業などを中心とした「ヘルスケアサービス」といった、より多様かつ強固な事業分野を確立し、それらがバランスよく配置された構造への転換を図ろうとしています。世界中をみても当社のようなユニークな事業ポートフォリオを持つ企業は少なく、それが当社の強みであると考えています。

市場シェアからみるリーディングカンパニーであることの裏付け

当社の主力製品のシェアは高く、お客様に広く受け入れられていることに誇りを持っています。糖尿病マネジメント事業における血糖自己測定システムは国内シェア50%で国内シェア第1位※1、グローバルでは第3位※2を占めます。ライフサイエンス事業の超低温フリーザーと培養機器のCO2インキュベーターも国内シェア第1位※3を維持しており、グローバルではいずれも第2位※4です。ヘルスケアIT事業の診療所向け電子カルテシステム※5についても国内トップシェアを誇ります。また、臨床検査サービスは国内第3位※6を占めています。当社の売上の約80%がトップクラスの市場シェアを有する製品群によるものであり、それが当社のビジネスの基盤となっています。今後も、この高いシェアを維持し、各分野のリーディングカンパニーでありつづけたいと考えています。

  • ※1:当社がOEM提供するアークレイ株式会社と株式会社三和化学研究所の総マーケットシェア。IQVIA MIDAS 2017Q1-Q4 のデータおよび自社推計により算出 Copyright © 2020 IQVIA. 無断転載禁止
  • ※2:IQVIA MIDAS 2017Q1-Q4のデータおよびシンジケート調査データを合算 Copyright © 2020 IQVIA. 無断転載禁止
  • ※3:富士経済「ティッシュエンジニアリング関連市場の最新動向と将来性2019」(2018年数量ベースの実績)
  • ※4:Frost & Sullivan 調べ(2018年数量ベースの実績)
  • ※5:株式会社矢野経済研究所調べ(2019年8月時点)
  • ※6:株式会社矢野経済研究所調べ(2019年6月時点)

事業ポートフォリオ間のシナジー効果によりシームレスなサービスを提供

今後、従来の事業と新たに買収した新事業とのシナジー効果を追求します。上記のとおり、当社グループは、それぞれの事業において強い顧客基盤を持っております。従来の事業と新たに買収した新事業とのシナジー効果を追求します。各事業が、それぞれの顧客基盤を相互に活用することにより、販売をさらに拡大させることができると考えています。また、高い技術力を有している各事業の横の連携により、新しい診断機器やサービスを開発することも可能であると考えています。

例えば、ヘルスケアIT事業における主力製品である電子カルテシステムと、LSIメディエンス社が提供する臨床検査サービスシステムを連携させると、電子カルテ画面で外注検査の依頼ができ、検査結果もオンラインで電子カルテに取り込むことが可能になります。診療所や病院の内外でシームレスな連携が実現し、医師をはじめ医療従事者の皆様の業務をより効率化できるものと考えています。

精緻な技術力からなる高品質の製品を市場へ

当社の主力製品は、その精緻な技術力に裏付けされた品質により、お客様からも高い評価を頂戴しています。

2017年に米国糖尿病技術協会が実施した血糖値測定システムの精度に関する独自調査(血糖測定調査プログラム)において、米国の糖尿病患者が使用した血糖測定システムの約90%を占める18機種のうち、当社モデルの「コントアネクスト」は、定められた血糖測定精度の適合基準に100%準拠している製品であることが認められました1)

また、解剖病理で使用されている当社の「顕微鏡用スライドガラス(Super Frost Plus Microscope Slides)」はその透明度と性能が、スライドガラスのゴールドスタンダードとなっています。ライフサイエンスの分野においては、環境性能と信頼性で高い評価を頂いている超低温フリーザーや薬用保冷庫が、世界中の大学・研究機関で貴重な研究試料や医薬品の保存ソリューションとして数多く使用されております。さらに、臨床検査では中央検査センターにおける迅速かつ信頼性の高い検査、そして、ヘルスケアIT事業では日本全国を網羅するサポート体制による迅速な対応を提供しています。このように、当社の主力製品およびサービスは、精緻な技術力からなる高い品質と信頼のサービス体制により、お客様に高く評価されています。

私たちの進化はまだ終わりません。これまでの「ものづくり」を主体とした事業で長年培ったプレシジョンに、新たなデジタルソリューションを融合させ、患者様への医療サービスを向上させる総合的なヘルスケアソリューションプロバイダーになることを目指しており、PHCグループのさらなる成長へと繋げていきたいと考えています。

  • 1) Klonoff DC, et al. Diabetes Care. 2018; 41: 1681-1688
PHC GROUP

PHCグループが誇る多様性とイノベーション

国内外に製造拠点をもち、世界125か国で販売網を有する当社グループの強みは、「多様性」を重んじる企業文化です。性別や年齢、国籍など、様々な多様性を受け入れることは、グローバルヘルスケア企業として成功を収めるために不可欠であると考えています。異なる言語や文化的背景を有する従業員1万人が各市場のニーズを理解し、互いに協力しながら、新しいイノベーションを創出し、ヘルスケア業界のゲームチェンジャーになるべく、日々チャレンジをしています。PHCグループは、「たゆみない努力で健康を願うすべての人々に新たな価値を創造し豊かな社会づくりに貢献する」という経営理念を掲げ、これからも医療従事者や研究者、患者様のニーズに応える新たな価値を提供し続け、成長していきたいと考えています。

(日経メディカルに掲載した提供記事です。)