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自由診療の料金設定や広告の注意点を弁護士が解説!

自由診療とは、公的な医療保険が使えない診療・治療(いわゆる保険外治療)全般を指します。がん治療における重粒子線治療や、遺伝子検査などの先進医療のほか、歯科でのインプラントや美容形成など、いわゆる審美的な診療行為も自由診療に含まれます。この記事では自由診療の料金設定や広告の注意点などを弁護士が解説していきます。

自由診療の料金は、診療機関で自由に決めることができる

自由診療の料金については、各診療機関が自由に決めることができます。法律的には、患者が診療機関に診療行為を委任するという委任契約関係の下、契約自由の原則により、当事者間の合意で対価(診療報酬)を決められます。これに対し、保険診療については、健康保険法等の法律に基づき診療報酬が定められています。

高額過ぎる設定や、不明瞭な設定に要注意

料金を自由に決められるからといってあまりに高額にしてしまうと、公序良俗(民法90条)に反して無効であるといわれるなど、不要なトラブルに発展しかねません。

また、料金体系が不明瞭であったり、事前の説明が不十分であったりすれば、説明義務違反があるなど、同様にトラブルに発展するリスクがあります。

特に歯科、美容形成などの審美的診療では、トラブルとなる事例が多く見られます。こうしたリスクを回避するためには、できる限り明確な料金体系を設定し、事前に患者側に十分な説明を行わなければなりません。

自由診療の場合も、一般相場を参考に価格を定めよう

自由診療の料金については各診療機関で自由に決められますが、薬剤などの仕入れ価格、管理コスト、診療行為にかかる医師・看護師らの人件費などの販売管理費に診療機関の利益を上乗せした金額を目安として、ほかの医療機関による一般相場なども参考にした上で定めるとよいでしょう。

なお、医療法人は非営利法人といわれますが、これは、医療法では医療法人の社員(株式会社での株主)に剰余金の配当が禁止されているということを示すに過ぎず、診療機関が利益を得てはならないということではありません。診療機関の存続、診療内容の質の維持という観点からも、診療機関が適切な範囲で利益を得ることに問題はありません。

広告の実施方法には注意が必要

上記の通りに自由診療では料金を独自に決められますが、その広告方法については、国が規制を設けています。自由な料金設定、広告を許容し過ぎると、各医療機関で価格競争などが進み、結果として医療の質の低下につながりかねないからです。

医療法の広告規制に違反した場合には、行政から立入検査や指導を受けたり、悪質な場合は罰則を受けたりするリスクがあります。また、医療法のほか、景表法、不正競争防止法など、一般の事業者が遵守すべき規制も受けることになります。

医業の広告については、厚生労働省が、医療法等の法規をもとにしたガイドラインを定めていますので、同ガイドラインを遵守した広告を実践しましょう。

参照:厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について

ホームページなどのネット広告も規制対象

特に美容医療に関する消費者(患者)とのトラブルや、インターネット広告を行う医療機関の増加などの社会的背景を踏まえ、平成29年の医療法改正により、医療機関のホームページなどのウェブサイトやネット広告も広告規制の対象に加えられました。

医療法、ガイドライン等で規制されている広告の具体例

医療法等に基づく厚労省が定める医業広告に関するガイドラインでは、具体的に禁止される広告の事例として以下のものが挙げられています。

・内容が虚偽のもの
たとえば、「絶対に安全な手術です」などの表現は、手術に「絶対」ということは医学上ありえないため、虚偽広告にあたると判断されます。

・比較優良広告
具体的なほかの診療機関との比較ではなく「日本で一番」「最高の医療機関」などの表現は、ほかの診療機関と比較してよいとの誤認を招くため、禁止される表現に該当するとされています。

・誇大広告
虚偽ではく、事実を不当に誇張していたりする広告は禁止されています。たとえば、「知事の許可を取得した病院」といった表現です。病院が都道府県知事の許可を得て開設されることは法律上の義務で、特別なものではないため、誇大広告にあたり禁止されます。

・患者らの主観による治療内容・効果に関する体験
患者の体験談を掲載することにも注意が必要です。患者の体験談はあくまで個人の感想に過ぎないのに、この点が強調されてしまうと、治療内容・効果について、消費者の誤認を招く恐れがありますので、禁止されています。

・そのほか(品位を損ねるものなど)
医業の広告については、患者らが適切に理解し、治療を選択できるよう、客観的で正確な情報の伝達に努めるべきであることから、医業の品位を損なう広告は規制されています。たとえば、「今なら〇円でキャンペーン」「無料相談された方に○○をプレゼント」などの表現が品位を損なうものとしてあげられています。

まとめ

自由診療については、各診療機関で自由に料金を決められることが原則です。ただし、料金については、後々のトラブルを回避するために明瞭な料金体系を設定し、患者に事前説明を行うようにしましょう。また、医業の広告については医療法等で規制されており、ホームページなども規制の対象です。厚労省が定めるガイドラインを遵守した適切な広告を行うようにしましょう。

南 陽輔

筆者情報

南 陽輔(みなみ ようすけ)

弁護士
大阪大学法学部、関西大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録、2021年独立開業(大阪弁護士会所属)。大阪市内の法律事務所に勤務し、民事訴訟案件、刑事事件案件など幅広い領域の法律業務を担当していました。2021年3月に一歩法律事務所を設立し、一歩法律事務所では、契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主とした業務を取り扱っております。

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