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COVID‑19流行で減った患者数は回復?クリニックによる違いをデータから分析

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、多くの人の生活が大きく変わりました。具体的には、以下のような変化です。

・医療費が減少した
・オンライン診療の規制が緩和された
・外来感染対策向上加算の新設及び感染防止対策加算の見直しがされた

もともと日本は超高齢化社会であり、医療費の増加は国の懸念事項でもありました。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大によって医療費は減少する結果になったのです。そのほかにも、オンライン診療が従来に比べて大きく推進されるようになるなど多大な変化が見られています。
本記事では、感染症拡大の前後で医療業界がどのように変化したのかを解説します。

目次

新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)による変化

新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)が蔓延したことにより、医療業界にもたらされた変化は大きく分けて4つあります。

医療費が減少

2019年から2020年にかけて医療機関に受診する患者さまの数が減少し、それにともない医療費も減少。医療費の減少は、厚生労働省が以下のように公表しています

医療費と調剤医療費の動向
▼参考資料はコチラ
厚生労働省『令和2年度 医療費の動向』
厚生労働省『調剤医療費(電算処理分)の動向』

表の通り、2020年度の医療費の伸び率は前年度である2019年度に比べて、-3.2%減少、調剤医療費は-2.7%減少していると報告されています。

それぞれが減少した背景には2020年1月15日に日本で最初の新型コロナウイルス感染症の感染者が確認されたことが要因でしょう。医療機関での新型コロナウイルス感染を恐れ、受診する患者さまが減ったためだと推測できます。患者さまの診察が減少、つまり処方箋の発行量も激減したため、上表のように調剤医療費も同時に減少したと判断できます。

オンライン診療の規制が緩和され増加した

新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、医療機関離れをした患者さまも受診できるように、オンライン診療の規制が2020年4月10日に緩和されました。

オンライン診療の規制緩和の例
▼参考資料はコチラ
厚生労働省『新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の 時限的・特例的な取扱いについて』

そして厚生労働省が発表した、オンライン診療に対応している医療機関数は以下の通りです。

特例的にオンライン診療に対応する医療機関数
▼参考資料はコチラ
厚生労働省『令和3年1月~3月の電話診療・オンライン診療の実績の検証の結果』

規制緩和された2020年4月と比べて、2021年4月には約1.8倍もの数の医療機関でオンライン診療が可能になっています。オンライン診療が増加したのには、既存の患者さまの医療機関離れと感染症の拡大防止が背景にあると考えられます。

オンライン診療であれば通院しなくとも処方が可能になるため、「通院しなくなる→処方薬が切れる→症状が悪化してしまい重篤化する」といったケースを回避できます。とくに病状が安定している慢性疾患(高血圧、糖尿病など)などはオンライン診療と相性が良いでしょう。

また、医療機関に訪問する必要がないため、医療機関にとっても感染拡大防止のリスクを減らせるというメリットがあります。

「外来感染対策向上加算」が新設された

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、「外来感染対策向上加算」が新設されました。具体的な算定要件と施設条件は以下の通りです。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省『令和4年度診療報酬改定の概要 個別改定事項Ⅰ』

要するに新型コロナウイルス感染者の受け入れ体制の構築を条件に、感染対策に対する評価も新たに新設されたわけです。ただし「加算されるのは患者1人につき月1回まで」という条件があります。また、専任の院内感染管理者の配置やカンファレンスへの出席など施設基準の条件がありますので、地域の他医療機関の運用を参考にしながら導入を検討されることをおすすめします。

なお、2022年4月1日から算定を行う場合、施設基準の届け出の締め切り日は2022年4月20日(必着)です。届け出が遅くなればなるほど、算定開始日も遅くなる恐れがありますので早めの準備を行いましょう。

生産年齢人口の受診者数は回復傾向にある

現在では、医療機関への生産年齢人口の受診者数は回復傾向にあります。これは健康保険組合が発表した最近の動向から読み取れます。

※生産年齢人口とは15~64歳、つまりは定年前の年齢層→労働者に該当する年齢層→被用者保険の利用者層を指します。そのため被用者保険の総額が増えた場合、生産年齢人口の受診者数の増加が考えられます。

被用者保険計の医療費総額|対前年伸び率
▼参考資料はコチラ
健康保険組合連合会『健保組合医療費(医療保険医療費)|最近の動向【令和3年11月診療分】』

上表を見ると、多くの月で被用者保険計の医療費総額が増加しています。上述しましたように被用者保険の総額=生産年齢人口の受診者数を意味するため、生産年齢人口の受診者数が増加していることが見て取れます。

被用者保健総額が増えた背景として、コロナワクチンの普及により医療機関への受診者数が、回復したことが大きな要因でしょう。

ほかにもオンライン診療が可能になったことで、軽度の不調であれば自宅でも診察が可能になったことも受診者数の増加の一因と言えるでしょう。

受診数が回復してきたからこそ対策が必要

受診数が回復傾向にあるからこそ、感染拡大を防止するためにより一層対策に力を入れる必要があります。その代表的な対策方法が入室制限です。入室制限をかけることで人の密集を防ぎ、飛沫感染のリスクを抑えることができます。

人との距離に関しては、首相官邸の資料によると以下のように公表されています。

ほかの人とは互いに手を伸ばして手が届かない十分な距離(2m以上)を取りましょう。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省『3つの密を避けるための手引き!』

したがって診察を除き、人と接触する必要がないときは基本的に2m以上の間隔を保ちましょう。なお首相官邸の資料にて記載されていた2mという数値を入室制限に例えると、以下が適正人数と言えます。

入室制限の例

たとえば3畳ほどの狭い診察室の場合、表に当てはめると単純計算で2人以内が適正人数と言えます。

つまり、医師と患者さまがいる診察室に看護師が入室すると密になってしまいます。人数制限で感染リスクは減らせますが、作業効率が落ちる可能性もあるでしょう。状況に合わせた柔軟な対応が重要です。

コロナ禍が医療業界にもたらした変化は大きい

新型コロナウイルス感染症の拡大により、オンライン診療の普及など多くの変化が見られています。従来のように患者さまが医療機関を訪れる機会は、大きく減りました。

しかし、ワクチンの普及や感染症対策の徹底などにより、受診者数は徐々に回復しているようです。受診者数の増加に伴い、医療機関での人との接触機会は多くなります。受診者数が回復してきている今だからこそ、感染対策がより必要だと言えるでしょう。

また今回ご紹介したような一般的な変化と、ご自身の医療機関の経営状況の差を分析することも重要です。電子カルテやレセコンを活用することで、患者さまの増減など受療行動の変化を握みやすくなるでしょう。住所や病名、処置の内容等の傾向をデータとして確認していきましょう。

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