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【2022年度調剤報酬改定】薬局での患者フォローアップの流れと考え方

2020年9月、改正薬剤師法並びに薬機法が施行され、薬局での「患者フォローアップ」が努力義務から義務へと変更されました。そして2022年度の診療報酬改定では、患者フォローアップに関わる報酬も改定されました。本記事では、調剤報酬改定での変更点から、今後求められている薬剤師の役割を解説します。そのうえで、薬局での患者フォローアップを実施する際の流れや考え方などを詳しく見ていきましょう。

薬局での患者フォローアップとは

まずは、患者フォローアップの基礎知識について改めて確認するとともに、義務化された経緯について詳しく見ていきましょう。

薬局における「患者フォローアップ」とは

薬局で取り組む「患者フォローアップ」とは、調剤した薬剤の使用状況や併用している薬、患者の状態、生活環境などを把握し、薬学的知見に基づく分析・評価を行うなど医薬品の適正使用を目的として薬剤師が専門性に基づいて実施する行動を指します。これによって、調剤後も継続的に患者さまが問題なく薬物療法を受けられるように支援するものです。

そして前述の通り、改正薬剤師法並びに改正薬機法が2020年9月に施行され、薬局において継続的な状況把握、適切な情報提供、薬学的知見に基づく指導を行うことが「努力義務」から「義務」へと変更されました。

2020年9月に努力義務から義務化された経緯

日本薬剤師会や厚生労働省は、薬剤師の重要な業務として患者フォローアップを以前から推進していました。今回の義務化は、患者本位の医薬分業の実現のために政府の目標として掲げる「2025年までにすべての薬局をかかりつけ薬局とする」ことを実現するための施策の一つだと考えられます。

▼参考資料はコチラ
「患者のための薬局ビジョン」~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~

本来、服薬情報を一つの薬局に集約し、継続的に患者フォローアップを行うことが望ましいとされています。そのためには、患者さまには同じ薬局・薬剤師をかかりつけとしてもらうことが必要です。

2022年度診療報酬改定の患者フォローアップに関わる評価の変更点

2022年度診療報酬改定における患者フォローアップに関する具体的な変更点は次の2つです。

・服薬管理指導科の新設
・服薬管理指導料 調剤後薬剤管理指導加算の見直し

次で、それぞれ詳しく見ていきましょう。

服薬管理指導料の新設

今回の法改正で、患者フォローアップを適切に評価するために服薬管理指導科が新設されました。保険薬剤師が必要と認めた場合に、薬剤の使用状況を継続的に把握し、必要な指導を実施すると処方せん受付1回につき45点または59点が算定されます。

(新) 服薬管理指導料
1. 原則3月以内に再度処方箋を持参し、手帳を提示した患者に対して行った場合 45点
2.1の患者以外の患者に対して行った場合 59点
3.特別養護老人ホ-ムに入所している患者に訪問して行った場合 45点
4.情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合
 イ 原則3月以内に再度処方箋を持参し、手帳を提示した患者に対して行った場合 45点
 ロ イの患者以外の患者に対して行った場合 59点

算定要件については次の通りです。

[算定要件]
• 服薬状況等を踏まえた薬学的知見に基づき、処方された薬剤について、薬剤の服用等に関して必要な指導を行うこと。
• 手帳を用いる場合は、調剤日、投薬に係る薬剤の名称、用法、用量その他服用に際して注意すべき事項を手帳に記載すること。
• これまでに投薬された薬剤のうち、服用していないものの有無の確認に基づき、必要な指導を行うこと。
• 薬剤情報提供文書により、投薬に係る薬剤に対する後発医薬品に係る情報を患者に情報提供すること。
• 処方された薬剤について、保険薬剤師が必要と認める場合は、患者の薬剤の使用の状況等を継続的かつ的確に把握するとともに、必要な指導等を実施すること。
• 1の患者であって、手帳を提示しないものに対して、上記を行った場合は、2により算定する(4のイ及びロについても同様)。
▼参考資料はコチラ
厚生労働省『令和4年度調剤報酬改定の概要(調剤)』
厚生労働省『別表第三 調剤報酬点数表』

服薬管理指導料 調剤後薬剤管理指導加算の見直し

医療機関と薬局の連携により、インスリンをはじめとする糖尿病治療薬の適切な使用を推進するべく、調剤後薬剤管理指導加算が見直されました。これまでの調剤後薬剤管理指導加算は30点でしたが、今回の改正で60点に増点されました。
対象となる薬局、患者さまの条件は次の通りです。

対象となる薬局、患者さまの条件

次に、患者フォローアップの基本的な流れと考え方について詳しく見ていきましょう。

患者フォローアップの流れとは

薬剤使用期間中に実施される患者フォローアップでは、「初回来局時」「薬剤交付から次回来局まで」「次回来局以降」を一連のサイクルとして捉え、患者さまから入手した情報の分析・評価結果を今後に活かすことを意識して行います。

では、患者フォローアップとして具体的にどのようなことを行うのか、大まかな流れに沿って見ていきましょう。

1.初回来局時

初回来局時は、聞き取りによって患者情報や薬剤服用歴、お薬手帳の内容などを適切かつ的確に取得することが重要です。その情報から、患者さまごとの注意すべきポイントを明確にしておきましょう。そして、次回以降のフォローアップに関する計画を策定します。

2.薬剤交付から次回来局まで

初回来局時に入手した情報を、薬学的知見に基づいて分析・評価します。その際、使用している薬剤の情報だけではなく、個々の患者さまの特性を踏まえた判断が必要です。
そのうえで患者さまへの情報提供や受診勧奨、医師・医療機関へのフィードバックなどを行います。実施した内容は記録しておき、適宜フォローアップの見直しを行いましょう。

3.次回来局時

実施した患者フォローアップの結果について確認・評価を行い、次回来局までに行うフォローアップについて再検討します。このサイクルによって、患者フォローアップの精度を高めていきます。

服薬のフォローアップの具体的な実践方法

服薬のフォローアップには、患者さまの協力が必要不可欠であり、薬剤師にはあらかじめその内容や重要性を説明しておくことが求められるでしょう。

そのため、患者さまと適切なコミュニケーションを取りながら進める必要があります。次では、そのポイントもふまえた服薬に関するフォローアップの具体的な実践方法について詳しく見ていきましょう。

1. 次回来局までのフォローアップの検討

薬剤交付から次回来局までのフォローアップは、期間中の薬剤や併用薬の使用、疾患、生活環境の変化などについて確認し、薬学的知見に基づいた分析・評価を行います。たとえば、高齢者の場合、飲み忘れの防止、身体機能の低下に関連する服薬への影響などを考慮し、サポートが必要かどうかを判断します。

また、腎機能・肝機能の低下によって副作用が現れやすい人の場合にも、フォローアップを検討することが必要です。

2.患者等への確認のタイミング

患者さまへの確認を実施するタイミングは、患者さまの特性や使用している薬剤などによっても大きく異なります。初回来局時以降に定期的な確認が必要かどうかについても、患者さまの疾患や生活環境などを加味した判断が必要です。
なお、「ハイリスク薬を服用中の患者さまに対して2週間ごとに確認」といった定型的な対応は、患者さまとの信頼関係に支障をきたす恐れがあるため留意しましょう。

3.患者等への確認方法

患者さまへの確認方法には、来局・訪問、電話やメール、FAXなどがあります。今後はICTの活用により、電子お薬手帳やSNS、アプリなどを用いた確認方法も普及していくでしょう。確認方法の選択にあたっては、以下を念頭において検討する必要があります。

・フォローアップの目的に適しているか
・双方向性を確保できているか(一方的な発信でない)

もしアドヒアランスの長期的な維持を目的とするフォローアップであれば、ICTを使って服用に問題がないかをメッセージなどで確認しても良いでしょう。

メッセージ例
・「1日3回、忘れずに薬を飲めていますか?」
・「服用してみて、気になる点や問題はありませんか?」

ICTでのコミュニケーションは、患者さまと薬剤師がお互いの都合の良いタイミングで行えるため、時間的な制限による負担を軽減できるでしょう。 しかし、個々人に合わせた質問やフォローアップを行わずに同一の内容を送信したり、返信がない状態をそのままにしたりすることがないようなオペレーションの整備が必要です。

また、新しい薬剤などでの治療を始める場合には、その服用状況や日常での変化などもチェックする必要が出てくるでしょう。こうしたケースでは、メッセージだけでなく表情や身体の状況、声色などが確認でき、しっかりと話を聞ける「対面」「電話」「オンライン通話」などで実施するほうがふさわしいと考えられます。

さらに、患者さまの生活環境や電子機器・ITへのリテラシーなどもあわせて考慮し、最良の方法を選びましょう。

4.患者等への確認事項

患者さまへの確認事項は薬機法に規定されており、必要に応じて薬剤師が取捨選択します。主な確認事項の例を下記に記載しました。

・薬剤の使用状況(残薬の状況を含む)
・使用中の薬剤の効果(患者の体調、医師の所見など)
・薬剤の使用による体調の変化(副作用の有無、程度など)
・患者の基本情報の変化(住所地の変更など)
・併用薬や食品、嗜好品との相互作用による影響
・生活への影響
・生活の特性の変化
・使用中の薬剤に対する意識(先入観や不安感など)

なお、厚生労働省から重篤副作用疾患別対応マニュアルが出されており、薬の副作用などがあった場合には、こちらに照らし合わせた対応が推奨されます。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省『重篤副作用疾患別対応マニュアル』

5.分析と評価

患者さまから入手した情報は、薬学的知見に基づいて慎重に分析・評価します。一見問題がないと考えられる内容でも、複数の情報から分析してみると薬学的介入が必要な事項が見つかる場合もあるので注意が必要です。また、使用している薬剤が悪影響を及ぼしていないか、併用薬や嗜好品、食品との組み合わせに問題がないかなどの評価も求められます。

6.結果と対応

分析・評価の結果は、今後の継続的な薬学管理に反映します。薬学的介入が必要と判断できる場合には、患者さまへの情報提供や薬学的管理指導の実施が必要です。なお、副作用が発生している場合や薬剤の使用継続に支障をきたす場合は、薬剤を処方した医師への情報提供などによる連携が必要です。文書による服薬情報等提供料を算定するときは、患者の同意が必要となります。

7.記録

患者フォローアップの内容に加え、患者さまに確認した内容や分析・評価の結果、対応などについて調剤録に簡潔に記録します。この記録は、薬剤師が処方箋に基づいた調剤を行い、適切な患者フォローアップを実施した証拠にもなるものです。一方、調剤済みとなった処方箋または患者の服薬状況や指導内容などを記録したもの(薬剤服用歴など)において、必要事項が記載されていれば当該規定を満たすものとの通知が発出されています。

▼参考資料はコチラ
厚生労働省『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に当たっての留意事項について (薬局・薬剤師関係)』

8.その他

患者フォローアップにおいては、とくに注意が必要と考えられる事項について患者さまへ事前に説明し、問題が起こった際はすぐにかかりつけ医などに連絡するよう伝えておくことが重要です。

必要であれば地域で連携している医師をはじめとする他職種に患者情報を確認することも求められます。その際は、あらかじめ患者またはその家族などの許可を得るなど、個人情報の取り扱いに留意しましょう。

【医薬品別】販売後フォローアップの考え方

薬局で取扱う医薬品には、処方薬、処方薬以外の医療用医薬品、薬局製造販売医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品があります。それぞれの販売後は、適切な方法でフォローアップを実施することが重要です。薬品の種類別に販売後フォローアップの考え方を紹介します。

処方箋医薬品以外の医療用医薬品

処方箋医薬品以外の医療用医薬品は、医師の処方箋に基づいた調剤を原則とします。特別な事情で販売する場合は、法令および行政からの通知を遵守するとともに、多くのケースで以下を考慮しなくてはなりません。

・体調の変化や有害事象の確認
・他の医薬品の使用の勧奨
・医療機関への受診状況の確認と受診勧奨

薬局製造販売医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品

薬局製造販売医薬品(毒薬・劇薬を除く)、要指導医薬品、一般用医薬品に関して、販売後フォローアップにおける法令の規定はありませんが、第二類や第三類の医薬品を販売・授与した場合は、販売記録に反映することが必要です(薬機法施行規則第14条3)。こちらも同様に、患者さまに確認した内容の分析・評価結果によって、販売後の体調変化や問題となる事象の確認、医療機関への受診勧奨などが必要になる場合がありますので、必要に応じて薬剤服用歴に記録して活用します。

患者フォローアップの適切な対応を

2022年度は、調剤報酬改定において対人評価が手厚く見直されています。適切な患者の薬物療法をフォローアップするために、薬剤師には患者(または家族)、医療関係者などとの適切なコミュニケーションや分析・評価のスキル向上が求められているわけです。

近年では、スマートフォンのアプリなどを用いたフォローアップも浸透しつつあります。PHCではアプリサービス「ヘルスケア手帳」を提供しており、患者さんとのコミュニケーションツールとして使用できるメッセージ機能が搭載されています。送受信履歴が残りますので、薬歴管理簿への転記も簡単にできます。

また、患者フォローアップに関わる評価以外にも、2022年度の診療報酬改定では、リフィル処方箋の導入や薬学管理料の報酬の見直しなど大きな変化がありました。下記の記事で重要なポイントにしぼって解説しているので、チェックしておくと良いでしょう。

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