電子カルテにはクラウド型とオンプレミス型があります。最近ではクラウド型が主流になりつつありますが、その違いとメリット・デメリットについてみていきましょう。
クラウド型とオンプレミス型の違い
はじめにクラウド型とオンプレミス型の違いについて解説します。クリニック内にデータの保存や保管を行うサーバーや専用機器があるのがオンプレミス型、ないのがクラウド型になります。
コスト面でお話しすると、オンプレミス型は最初にサーバーや専用機器を導入(購入)したり、ネットワークを構築したりする必要があるため、初期費用が高くなる傾向にあります。また、メーカーや契約によって異りますが、導入後もサーバーの監視や保守、アップデートなどランニングコストが必要になる場合もあります。
一方でクラウド型は、サーバーや専用機器は必要ありません。極端にいえば、お持ちのパソコンでも使い始めることが可能です。コスト的には、電子カルテシステムの使用料がかかるだけですから、初期投資は抑えられます。
ただし、安定したインターネット環境を整備することが必要です。クラウド型は、パソコンと専門業者のサーバーをインターネットでつないで使用します。電子カルテのシステムそのものが専門業者のサーバーにあるため、脆弱なインターネット環境だと、電子カルテを開いたり、入力して保存したりするのに時間がかかる場合があります。それでは業務の効率化を狙っていた電子カルテの導入が、逆に足を引っ張りかねません。さらに診察時に患者さんを待たせることにもなりかねません。コロナ禍で在宅勤務が増加したことにより、クリニックのインターネット環境に通信速度の低下といった影響が出ている場合もありますので、ご注意ください。
クラウド型を選ぶ際のメリット・デメリット
次にメリットについてみていきましょう。
メリット1. 導入コストが抑えられる
クラウド型の場合、専用のサーバーや機器が必要ないため、導入コストを抑えられることが大きな特徴として挙げられます。さらにメンテナンスや更新作業が不要ですから、ランニングコストも抑えることができます。
メリット2.スピード感ある導入が可能
スピード感を持って切り換えたい場合にも、パソコンとインターネット環境があれば、申し込むだけで使い始めることが可能です。オンプレミス型のようにサーバーや機器を購入して設置を待つ必要はありません。
メリット3.場所を選ばずに使用できる
インターネット環境があれば、クリニックだけでなく、訪問診療時や学会出席などの出張時、あるいは自宅でも必要な情報にアクセスすることができます。また、訪問看護時に看護師が医師に指示を仰ぐといった使い方もできます。
メリット4. 安心できるバックアップ体制
クラウド型はクリニックにあるパソコンの中ではなく、専門業者のサーバーにデータが保存されます。ですから、仮にパソコンが壊れたり、被災して使えなくなったりしても、他のパソコンからアクセスして利用することができます。
では、デメリットはどうでしょうか。
デメリット1.自己責任部分の大きさ
初クラウド型は初期費用を抑えられますが、パソコンは自分で用意する必要があります。自分で用意するということは、故障や不具合は各自の責任で対応しなければなりません。ご自身でパソコンの設定ができなかったり、故障が不安という方は、オンプレミス型も検討したほうがよいかもしれません。
デメリット2. 院内機器との連携
電子カルテと検査機器などの医療機器とデータ連携ができれば、工数の削減につながります。長く使われてきたオンプレミス型のほうが、まだまだ連携できる機器が多いのが現状です。クリニック内の医療機器とどこまでデータ連携できるのかは、きちんと確認しておきましょう。
デメリット3. カスタマイズ性の高さ
オンプレミス型はデータをクリニック内に保存しているので、「診療科別のカスタマイズ」などご自身の医療に適したカスタマイズができます。クラウド型は大勢の医師が使用するのが前提のシステムのため、基本的に自分が使いやすいようにカスタマイズすることできないことが多いようです。
デメリット4. OSの制限
医師にはMacOS、iOSを使用している人が多いと思いますが、クラウド型の場合は現状、WindowsやAndroidでないと利用できないものがあります。事前にどのOSで使えるのかはかならず確認しましょう。
このようにクラウド型もオンプレミス型も、それぞれの良さがあります。ご自身のクリニックの環境や経営プランに合わせてどちらが適しているか、検討してみてください。
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