PHC株式会社

電子カルテは『レセコン』である①

目次

「電子カルテはレセコンである」。我が国では電子カルテとレセコンがシステムとして一体となっており、診療行為を正しいレセプトに変換することこそが、電子カルテの導入意味の本質です。つまり、電子カルテとレセコンは表裏の関係であり、その部分の理解こそが経営パートナーとして電子カルテを導入する意味と言えるだろう。


わが国の電子カルテ

診療所向けの電子カルテが誕生して約20年が経ちました。現在、国内で販売されている電子カルテは40社を超えており、様々なタイプの電子カルテが存在しています。
ここでいう電子カルテとは、狭義には「カルテの電子化」を指し、広義には診療所の「基幹システム」として位置づけられ、様々な周辺システムと連携することで、診療所の業務全体をサポートするシステムと言えます。
電子カルテを英訳するとEMR(Electronic Medical Records)ですが、日本においてはその発生過程から少し対象範囲が異なります。我が国においては、いわゆるEMRと医事会計ソフトを組み合わせたものを電子カルテと呼んでいます。

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医事会計ソフトの機能

医事会計ソフトは、レセプトコンピュータ(以下、レセコン)と呼ばれ、診療報酬明細書(レセプト)を作成するために開発されたシステムです。レセコンの歴史は1972年に遡り、PHCの前身が初めて発売して以来40年を迎えるシステムです。
 「レセコン」の機能としては、患者を受付け、保険証を登録、カルテの内容を転記し、会計(一部負担金の計算)、その後レセプトを作成し、請求前のレセプト点検を行い、支払機関にレセプト請求を行う、一連の流れを担うシステムです。

電子カルテの機能

「電子カルテ」は1999年に当時の厚生省(現厚生労働省)が「診療録等の電子媒体による保存について」という通知によって、法的に電子カルテが認められました。
「電子カルテ」は、診療所の基幹システムであり、わが国ではレセコン一体型あるいは連動型が当たり前であるため、レセコンを含めたものとなっています。電子カルテの機能としては、患者を受付け、保険証を登録、カルテの記載、コスト入力、会計(一部負担金の計算)、その後レセプトを作成し、請求前のレセプト点検を行い、支払機関にレセプト請求を行う、一連の流れを担うシステムです。また、検査のオーダーや結果取り込み、紹介状等書類の作成など、も付随機能として保有しています。

電子カルテは診療行為をレセプトに変換するシステム

診療所の基幹システムである電子カルテの導入目的は、実際の診療行為をレセプトに自動的に効率よく置き換えることとなります。つまり、カルテに書かれた内容がレセプトにスムーズに置き換わることこそが、電子カルテの本質と言えるでしょう。
かつての「紙カルテとレセコン」という組み合わせから、電子カルテに移行することで、事務が従来行っていたカルテを読み解きレセプトデータに置き換える作業をシステムが代行するところに、システム化の意味があるのです。そこには事務スタッフから医師への業務移行があり、事務スタッフの作業の減少と医師の事務作業の増加というトレードオフが存在します。
したがって、優れた電子カルテとは、医師の事務作業の負担を最小限にでき、効率的にレセプトを作成できるかという部分が優れていなければ、システムを導入した意味はないといっても過言ではないのです。

診療報酬点数表に定められたとおりに請求を行う

「診療行為をレセプトに変換する」という行為は、レセプトの算定ルールに則る必要があります。厚労省が令和3年に出した「保険診療の理解のために」という資料によると、保険診療の基本的ルールとしては、
○ 保険診療は、健康保険法等の各法に基づく、保険者と保険医療機関との間の「公法上の契約」に基づいている
○ 保険医療機関は、健康保険法等で規定されている保険診療のルール(契約の内容)に従って、療養の給付及び費用の請求を行う必要がある。
○ 保険医は、保険診療のルールに従って、療養の給付を実施する必要がある。
また、保険診療として診療報酬が支払われるには次の条件を満たさなければならないとしています。
①保険医が②保険医療機関において③健康保険法、医師法、医療法、医薬品医療機器等法の各種関係法令の規定を遵守し④『療養担当規則』の規定を遵守し⑤医学的に妥当適切な診療を行い⑥保険医療機関が診療報酬点数表に定められたとおりに請求を行っていること。
 医師は、診療報酬点数表に則ったレセプトを作成する必要があるのです。診療報酬点数表は2年に一度改正されますが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大などの非常事態においては、その都度改変が行われます。

レセプトの返戻・査定

レセプトは審査支払機関(支払基金・国保連)に集められ問題がないかの点検が行われます。もし点検の結果、不備が発覚すれば、返戻(差戻し)・査定(減点)が行なわれます。医療機関は指示に従い修正のうえ、再提出する必要があるのです。
したがって、電子カルテには「正しいレセプトを作成する機能」が備わっていなければ、不十分と言えるでしょう。

このコラムの後編はこちらから
電子カルテは『レセコン』である②

(著:MICTコンサルティング(株) 代表取締役 大西大輔)
2001年一橋大学大学院MBAコース卒業。同年、日本経営入社。2002年に医療IT製品の常設総合展示場「メディプラザ」を立上げ、IT導入コンサルティング、システム選定アドバイス、研修事業等を担当。2016年にMICTコンサルティング(株)を設立。多くの医療機関の導入サポートや取材経験より団体などでの講演や執筆多数。

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