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  5. 電子カルテ導入の流れとは?運用までの手順やメリット・デメリットをご紹介

電子カルテ 医師 事務長 2023.09.04 公開

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電子カルテ導入の流れとは?運用までの手順やメリット・デメリットをご紹介

クリニックの業務効率化のカギとなる電子カルテ。いざ電子カルテを導入・運用するとなったらどうしたら良いのか。導入に向けた電子カルテ選定ポイントや、気を付けるべきポイント・運用時の注意点などを解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討 #機器選定ポイント #業務効率化 #紙カルテの電子化 #システム入替

目次

1.電子カルテ導入に向けた検討

電子カルテはクリニックの業務効率化のカギとなるもの。開業前はさまざまなタスクをこなす必要があるからこそ、システム選定は余裕をもって着手したいですね。円滑な導入を実現するために、「開業場所が決まったらすぐ」をタイミングの目安として、検討を開始しましょう。

電子カルテ導入の流れとは?運用までの手順やメリット・デメリットをご紹介

(1)電子カルテの普及率について

電子カルテの普及率は、近年上昇傾向にあります。電子カルテの普及率の推移は、以下の通りです。

令和2年 平成29年 平成26年
一般病院 57.2% 46.7% 34.2%
病床規模別 400床以上 91.2% 85.4% 77.5%
200〜399床 74.8% 64.9% 50.9%
200床未満 48.8% 37.0% 24.4%
一般診療所 49.9% 41.6% 35.0%

調査によると、400床以上の一般病棟では、90%以上が電子カルテを導入しているとの結果が出ています。その一方で、200床未満の一般病院や一般診療所では、50%弱と普及率は高くありません。

中小規模の病院で普及率が低い一つの要因として、電子カルテ導入にかかるコストが負担になっていると考えられます。

▽参考記事
厚生労働省『電子カルテシステム等の普及状況の推移』(PDF)

(2)導入の目的

選定に向けた要件定義の前提として、「何を目的として電子カルテを導入するのか・どのような課題を解決したいのか」を改めて考えてみましょう。このとき、目的をできるだけ具体的なレベルにブレークダウンすることで、よりクリニックに適したシステム選定を進めやすくなります。たとえば、「業務を効率化する」という目的であれば、もう一歩踏み込んで、どのようなシーンで効率化を達成したいのかを明らかにしていきます。カルテへの入力を簡素化したいのか、医療事務を効率化したいのか、あるいは他のシステムとの連携を進めたいのか、など、目指す姿を具体化してみましょう。こうした目的を達成できる電子カルテはどれか、という観点で、今後選定を進めていくことになります。

(3)タイプと種類

電子カルテには「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。クラウド型は、インターネット上のサーバーでデータ管理をする電子カルテです。一方、オンプレミス型はオンプレ型とも呼ばれ、医療機関内にサーバーを設置してデータ管理する電子カルテを指します。

家屋や建物といった意味を持つ「プレミス(premise)」から派生し、自院に設置して運用する方法をオンプレミス(on premise)と呼ぶようになりました。

クラウド型とオンプレミス型、それぞれの特徴やメリット・デメリットは、以下の通りです。

クラウド型 オンプレミス型
サーバー 外部に設置 院内に設置
コスト 初期費用が抑えられる 初期費用が割高になりがち
セキュリティ システム側で対策可能 院内で対策可能
カスタマイズ 制限あり 制限なし
メンテナンス システム側が管理
バージョンアップ無償
院内で対応
バージョンアップ有償
▽関連記事
クラウド型電子カルテとは?仕組・特徴・導入メリット
電子カルテのクラウド型とオンプレミス型を比較!選ぶ際の比較ポイントを解説

(4)費用

予算も電子カルテ選定にあたっての重要な検討事項です。導入時に必要となる初期費用だけでなく、導入後も維持費用がかかることに注意しましょう。電子カルテの費用は、クリニックの規模、導入の形態、他のシステムとの連携の有無などにより異なります。おおまかな予算を設定したら、各メーカーから見積を取り、自院の導入目的を達成するにはどの程度の費用がかかるかを確認しましょう。予算と照らし合わせて候補を絞り込んでいきます。場合によっては、予算を再度検討する必要が生じるかもしれません。

▽参考記事
アスピック「電子カルテの導入の流れは?手順やメリット・デメリットも解説」

(5)電子カルテ導入検討時に加味すべき項目

もう一つ、導入前にしっかりと検討しておきたいのがサポートです。特に、電子カルテの操作やパソコン、インターネットなどに不慣れなスタッフが多い場合は、研修時や導入時の立ち会いサポートなど、手厚いサービスを提供するメーカーを選ぶと良いでしょう。連絡方法も、メールやチャットだけでなく、電話やリモートのサポートがあれば、システムに習熟していないスタッフでも安心です。自院の状況に基づき、適切なサポートを明らかにして、選定要件に加えましょう。

電子カルテに関して詳しく知りたい方はこちら

2.電子カルテを導入するメリット・デメリット

電子カルテには業務効率化などのメリットがある一方で、デメリットもあります。電子カルテの導入を検討する際、メリットやデメリットを考慮し、自院の課題解決につながるかどうか、慎重に判断しましょう。

(1)電子カルテを導入するメリット

電子カルテを導入するメリットは、以下のようなものが挙げられます。

  • 業務の効率化につながる
  • 情報共有が可能となる
  • 保管場所を削減できる
  • 医療ミスの削減につながる

電子カルテの最大のメリットは、業務の効率化につながることです。電子カルテは、複数のスタッフが同時にカルテを閲覧できるため、紙カルテのように作業が滞ることがありません。

紙カルテの場合、陳列されている場所から閲覧したいカルテを探す手間がかかります。電子カルテであれば、どこにあるか探す手間が省けるでしょう。また、紹介文などの書類テンプレートなど、文書作成の手間も削減可能です。電子カルテはレントゲンや採血などの画像やデータを取り込めるため、検索や閲覧がスムーズに行えます。さらに、ネットワークでつながれば、院内だけでなく、他の医療機関とも情報共有が可能となるでしょう。

電子カルテは、クラウド上や医療機関内に設置したサーバー上にデータを保管します。紙カルテのように保管場所を必要としないため、限りある院内のスペースを有効に活用できるでしょう。

さらに、投薬の規定値を表示できる電子カルテであれば、医薬品の処方・投薬ミス防止につながります。紙カルテのような字の読みづらさがないため、読み間違いによる医療ミスの削減にもつながり、医療の質や安全性の向上が期待できます。

(2)電子カルテを導入するデメリット

電子カルテの導入にはメリットがある反面、以下のようなデメリットもあります。

  • 操作に慣れるまで時間がかかる
  • 導入や運用にコストがかかる
  • 院内の体制変更が伴う
  • 停電時や充電切れ時に使用できない

電子カルテはデジタルツールの操作が必要なため、高齢の医師や看護師などは、使いこなすのに時間がかかる場合があります。導入前の研修やマニュアルを充実させたり、システムの使いやすさを確認したりしておきましょう。

電子カルテは、導入費用だけでなく、毎月のランニングコストがかかります。システム設定や、スタッフの研修費用などがかかる場合もあるでしょう。自院にとって必要な機能を搭載しているか確認し、費用対効果を検討することが必要です。

また、電子カルテの導入に伴い、院内の運用体制を変更しなければなりません。紙カルテで運用していた記録の書き方や、さまざまな帳票類の保管方法など、導入前に決める必要があります。

電子カルテのうち、オンプレミス型は停電時に使用できません。クラウド型は、タブレットやノートパソコンの充電がなくなってしまうとアクセスできなくなり、カルテ入力ができなくなってしまいます。ネットワーク環境の不具合や、停電時の対応を事前に決めておくと安心です。

▽関連記事
電子カルテを導入するメリット・デメリットとは?

3.電子カルテの選定・発注

検討プロセスを経て、自院がどのような電子カルテを求めているかを明らかにしたら、続いて具体的な選定に移ります。選定は開業の3ヵ月前を目安に完了するようにして、発注作業に入りましょう。スムーズに選定を進めるためのポイントを確認していきましょう。

(1)電子カルテの選定フロー①

自院が重視する項目に基づき、候補となるメーカーを絞り込んでいきます。電子カルテの使い勝手は、日常的な業務に大きな影響を及ぼします。1社だけを見て発注を決めるのではなく、少なくとも3社を候補として、比較・評価を行うと良いでしょう。候補企業を決めたら、各社の担当者に連絡を取ります。

(2)電子カルテの選定フロー②

担当者との打ち合わせでは、クリニックの診療科目などの基本情報、電子カルテ導入で実現したい内容、デモで確認したいポイントなどを伝え、要件を具体化していきます。電子カルテ以外にも実現したい内容があれば、あわせて相談しておくと良いでしょう。電子カルテと連携できるシステムは昨今ますます拡大しています。電子カルテとともに導入をすれば、業務効率もさらにアップする可能性が高まります。

(3)電子カルテの選定フロー③

打ち合わせの内容に基づき、デモを行います。実際の機材やソフトを確認できる機会ですので、操作性やレイアウトなどを確認しておきましょう。
デモと並行して、メーカーが提供するサポート内容もしっかりと確認します。導入前には見落としがちですが、スムーズな運用を実現するうえで重要なポイントですので、事前に定義しておいた要件を満たすことができるか、漏れのないようチェックしておきましょう。

▽関連記事
クリニックでの電子カルテ導入におけるメーカー選定のポイントは?

4.電子カルテの試験運用

選定プロセスを経て、無事電子カルテを発注したあとは、メーカーの担当者と仕様設定のための打ち合わせを行います。処方、治療、病名などで、入力する頻度が高くなりそうな項目は、この段階で設定しておけば、スムーズに利用を開始できるでしょう。設定作業を終え無事に納品されたら、開業1~2ヵ月前を目途に、実際にシステムを利用するスタッフを対象とした説明会や研修を開催し、さらに開業1週間前には試験運用を行います。スタッフの目線でシステムの操作方法を確認すると、それまでは見えていなかった課題や不明点が出てくることもあります。メディコムのように、研修の実施や試験運用時の立ち会いを提供するメーカーもありますので、活用を検討すると良いでしょう。

5.電子カルテの稼働

検討・選定・発注・試験運用というステップを経て、ようやく電子カルテを本稼働させることができます。クリニックの開業とも重なり、非常に忙しい時期ですが、不慣れなシステムで思わぬトラブルが発生することもしばしばあります。開業後に販売代理店のインストラクターがクリニックに立ち会うサポートを提供しているところもあり、メディコムもそのひとつです。

6.電子カルテの運用時に注意すべきこと

実際に運用を開始すると、導入前には想定していなかった障害やトラブルが起こることもあります。特にどのようなポイントに注意するべきでしょうか。

(1)運用時に注意すべきこと①

電子カルテ運用にあたり、最も回避すべき事態の1つが、データの消失です。これには、サーバーの故障や自然災害、不慮の事故などさまざまな要因がありますが、豊富なデータバックアップのオプションで幅広い要因に対応できるメーカーを選定しておくと安心です。

(2)運用時に注意すべきこと②

電子カルテはネットワークへの接続が必要となりますが、このとき注意したいのがセキュリティです。対策を講じないままでは、不正アクセスやウイルス感染などにより、最悪の場合は患者さんなどの重要な個人情報を漏えいする事態ともなりかねません。ファイアウォール、URLフィルターやウイルス対策ソフトなど、メーカーの提供するセキュリティ機能がどの程度充実しているか事前にしっかりと確認し、自院に必要な対策を講じましょう。

7.電子カルテ稼働後に生じ得る課題とその対処法 ~新規開業編~

クリニックの開業後、実際に患者さんの対応が始まると、準備期間には見えていなかった課題が明らかになってきます。診療と並行してこれらの課題に対処することとなり、これまで以上に効率的な対応が求められます。今回は、開業後の電子カルテ・レセコン運用をめぐる主な課題とその対処についてご紹介します。

開業直後に見えてくる課題とは

開業当初は、とりわけ忙しくなる時期です。ほとんどが初診の患者さんばかりとなるため、保険証の情報、住所、連絡先、問診内容など、電子カルテやレセコンに多数の項目を入力しなくてはなりません。患者さんを長い時間お待たせしないためには、入力項目やタイミングにも優先順位をつけて対応しましょう。例えば、診療に関わる保険証や問診内容は診察前に入力すべきですが、住所や連絡先の情報は診察後に入力する方がスムーズかもしれません。
実際に患者さんに対応すると、準備の時点では想定していなかった事態が数多く起こります。いざとなると使い方が分からない機能があったり、クリニックの運用に合わない項目が明らかになったりします。メーカーのなかには、開業後に販売代理店のインストラクターがクリニックに立ち会うサポートを提供しているところもあり、メディコムもそのひとつです。忙しい開業当初の時期には、こうしたサポートがあれば電子カルテやレセコンの疑問や不安もその場で解決できて安心です。

運用が落ち着いたら考え始めることとは

開業から1~2年程度経つと、スタッフも電子カルテやレセコンを円滑に利用できるようになってきます。一方、各システムで改善すべき点が見えてくる時期でもあります。
クリニックの魅力をさらに高めるためには、患者さんの診療や接遇に十分な時間を確保することが非常に重要です。そのためには、システム操作に費やす時間をできる限り削減し、業務効率化を進めましょう。日頃電子カルテやレセコンを利用しているスタッフからもヒアリングを行い、改善すべきポイントをピックアップします。
注意しておきたいのは、運用開始後の機能追加に対する柔軟性やサポートの有無については、メーカーごとに差異があるという点です。導入時には、カルテの操作性に加えて、文書作成・画像取り込み・検査結果の参照などの一般的な機能が選定の要件に挙げられることが多いものですが、 実際に運用を開始すると、外注検査のオーダーや機器連携などの機能追加をご依頼いただくケースがよく見られます。運用開始後にもクリニックの個別要望に応えることのできる、柔軟性に優れたメーカーであれば、導入時は必要最低限の機能にとどめて初期費用を抑えつつ、後から業務の実態にあわせて機能追加をするといった対応も可能です。さまざまな要望にも対応できるよう、豊富なオプションが用意されているかという点も、システム選定時から意識しておきたいポイントです。

8.まとめ

本記事では、電子カルテ導入の流れや運用までの手順、メリット・デメリットを解説しました。電子カルテにはクラウド型とオンプレミス型の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。電子カルテを導入することで、業務効率化などのメリットがある反面、運用コストの負担などのデメリットがあるのも事実です。メリット・デメリットを踏まえた上で、自院の課題解決につながる電子カルテを選定し、スムーズな稼働を目指しましょう。

9.商品紹介

メディコム製品は、豊富なラインナップと充実したサポートで、さまざまなご要望にも対応します。

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