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  5. 開業医の引退年齢は何歳が適切なのか?理想の引退とは

クリニック開業 医師 事務長 2021.12.14 公開

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開業医の引退年齢は何歳が適切なのか?理想の引退とは

※本内容は公開日時点の情報です

#開業直後の悩み

目 次

1. 開業医として、何歳まで働くのが一般的なのか

クリニックを開業した場合、何歳まで働くことができるでしょうか。勤務医と違い、クリニックの開業医には定年はありません。医師としての能力と健康状態が維持できれば、本人の意思次第で90代まで現役で働き続ける医師もいます。
2018年の厚生労働省の資料「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、診療所開設者・法人代表者の平均年齢は61.7歳で、10年前(2008年)に比べて2.3歳高齢化しています。診療所開設者・法人代表者の年齢別割合(2018年)では、60〜69歳が35%、70歳以上が約21%となり、クリニック経営者の過半数は60歳を超えています。
公立や民間病院の定年は65歳、もしくは60歳の定年からプラス5年継続雇用する「再雇用制度」が一般的のようですが、厚生労働省では65歳までの雇用確保(義務)に加えて、70歳までの定年延長を推進しています。
後述の後継者探しの困難もあり、クリニック開業医の場合でも健康や環境が許す限り70歳までは現役で働く開業医が増えています。

診療所開設者・法人代表者(年齢別割合)

「平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概要」をもとに筆者作成

参照:厚生労働省「平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 統計表1」

2. 開業医が抱える、引退時の問題・悩み

2021年は新型コロナの影響もあり、診療所の「休廃業・解散」が急増しています。開業医にとって引退は単に仕事を辞めるだけではありません。廃業となると、職員が失業する、かかりつけ医がいなくなる、地域の医療機関がなくなるなど、地域への影響も考えなくてはなりません。
できれば、親族などの後継者にクリニックの経営を引き継いでもらえるといいのですが、親族がいても診療科目の違いや大病院での勤務医を選択するなど承継は簡単ではありません。引退時の問題について解説します。

①開業時の資金の返済

クリニックのライフサイクル

筆者作成

クリニックの開業を考えるときに、企業と同じようにクリニックのライフサイクルを考えることが大事です。開業後、順調に患者を集め収益が上がるようになるまでの「導入期」、かかりつけの患者の増加とともに組織も拡大する「成長期」、地元の信頼を集め経営が安定する「繁栄期」、引退もしくは承継を考える「衰退期」まで、クリニックの成長にも波があります。
早く開業し軌道に乗せることができれば繁栄期を長く維持し、利益を積み上げることができますが、開業時期が遅れると繁栄期は短くなり、開業時の借入返済にも支障が出ます。
引退時期に残っている開業時やその後の設備投資の借入金の返済は、廃業か事業承継かによって異なります。廃業の場合はとにかく中古品などで換金できるものは処分し返済にあてますが、廃業コストもかかるので廃業後も残債返済に苦しむことになります。
そのため、借入残債がある場合は早めに事業承継の計画を立て、譲渡資金で借入返済と引退後の資金を確保できるようにしましょう。

②後継者問題

開業医の引退時の問題として、最近特にクローズアップされているのが、後継者不足です。日本医師会の調査「医業承継の現状と課題」によると、2017年時点で約8割を超える診療所では後継者が不在となっています。
医師である実子がいたとしても親の診療所を引き継がず、勤務医を選択する医師も増加しており、第三者への事業承継を支援する医療機関のM&A専門会社も増加しています。
計画では65〜70歳での引退を考えていても、後継者がいないままM&Aにも踏み切れずに70歳を越してから健康を害して、やむを得ず廃院という事例も少なくありません。
実子や親族、もしくは第三者へ事業承継するにしろ、保険診療の場合は一定期間、後継者と一緒に診療・経営を行い、スムーズに引き継ぎを行うことが大切です。健康を害したり患者が少なくなったりしてから慌てて後継者を探すのではなく、70歳ごろの引退時期に合わせて、数年かけて準備をすることが大事です。

2017年 後継者不在率(施設別)

引用:日本医師会総合政策研究機構「日医総研ワーキングペーパー No.422 医業承継の現状と課題(2019年1月8日)p.6」

③引退後の必要資金の目安

引退後の生活に必要な資金の考え方は、個人医院と医療法人で異なります。引退後の資金源としては、公的年金と個人年金および貯蓄などの金融資産の取り崩しとなります。個人医院では公的年金は国民年金だけですが、医療法人の場合は、国民年金に加えて厚生年金を受け取ることができ、さらに医療法人で退職金を準備できます。
人生100年時代を想定して、老後に必要な資金額を考えるときのポイントは、老後の生活プランから試算した必要な支出と年金・退職金などの収入について、時期と金額を一覧できるマネープランを作ることです。

イメージ

老後の不安の多くは、先が見えないことです。具体的に毎月の生活費がいくら、ローン残金、レジャーや住宅維持費、家族のイベントなどの臨時支出がいくらと書き出すと具体的な金額や必要な時期がわかるので安心です。
毎月の生活費のうち、公的年金と医師年金などの個人年金で用意できる金額を差し引いて毎月の不足額を出し、その約30年分+臨時支出の合計が必要貯蓄額の目安となります。それを退職金もしくは保険、長期投資、貯蓄などで準備しましょう。

3. まとめ

医師という職業は、健康でスキルさえあれば、60代の定年時期を越えても自分のペースで医師としての専門的な仕事を続けられます。クリニック承継後も、承継したクリニックの非常勤医師として週1、2回ご自分の患者さんを診続けたり、専門性を生かして他の医療機関でスポット勤務したり、執筆や講演活動を行ったり、ご家族とのセカンドライフを楽しみながら、仕事を続けることも可能です。もちろん、仕事から完全に離れて海外旅行や趣味を満喫する生活を選ぶこともできます。
そんな自分らしいセカンドライフを迎えることができるのも、健康でかつ予定通り承継できて初めて実現することです。そう考えると、開業を決めたときから引退する日とその後のライフプランを考えて、家族や周りの方にもオープンにして計画を立てておくことがハッピーリタイアメントの秘訣と言えるかもしれません。

筆者プロフィール

株式会社アイリスプランナー
中小企業診断士/医業経営コンサルタント
奥野 美代子(おくの みよこ)

https://www.irispl.jp/

外資系ブランド27年の実績をもとにした「魅力発信ブランディング」コーチングで院長のビジョン実現とスタッフ育成を行い、採用・集患に悩むことなく地域から選ばれる開業医の魅力発信・ブランディングを支援します。

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