2. 美容整形(形成)外科・美容皮膚科の開業資金・平均年収に関して
(1)開業資金に関して
以下は、美容クリニックの投資予算のサンプルです。
美容クリニック 開業投資予算 サンプル
(C)株式会社G.C FACTORY調べ
※各医療機器の価格はあくまでも参考価格となり、実際は購入のタイミングやメーカーの選定によって変動します。
分 類 |
項 目 |
単 価 |
数 |
単位 |
計 |
税 込 |
不動産 |
敷金 |
1,000,000 |
10 |
カ月 |
10,000,000 |
10,000,000 |
礼金 |
1,000,000 |
1 |
カ月 |
1,000,000 |
1,100,000 |
仲介手数料 |
1,000,000 |
1 |
カ月 |
1,000,000 |
1,100,000 |
設計・施工 |
設計・施工費 |
600,000 |
40 |
坪 |
24,000,000 |
26,400,000 |
看板・サイン |
500,000 |
1 |
式 |
500,000 |
550,000 |
医療機器 |
レーザー 機器① |
4,000,000 |
1 |
台 |
4,000,000 |
4,400,000 |
レーザー 機器② |
4,500,000 |
1 |
台 |
4,500,000 |
4,950,000 |
レーザー 機器③ |
8,500,000 |
1 |
式 |
8,500,000 |
9,350,000 |
レーザー 機器④ |
12,000,000 |
1 |
台 |
12,000,000 |
13,200,000 |
レーザー 機器⑤ |
1,500,000 |
1 |
台 |
1,500,000 |
1,650,000 |
皮膚診断システム |
3,500,000 |
1 |
台 |
3,500,000 |
3,850,000 |
イオン導入機器 |
1,000,000 |
1 |
台 |
1,000,000 |
1,100,000 |
その他(可動式診察台、無影灯、AED、滅菌機など) |
2,500,000 |
1 |
式 |
2,500,000 |
2,750,000 |
システム |
電子カルテ |
3,000,000 |
1 |
式 |
3,000,000 |
3,300,000 |
WEB予約システム |
800,000 |
1 |
式 |
800,000 |
880,000 |
家具・家電 |
家具・家電 |
3,000,000 |
1 |
式 |
3,000,000 |
3,300,000 |
採用 |
採用経費 |
200,000 |
1 |
式 |
200,000 |
220,000 |
マーケティング |
ホームページ制作 |
2,000,000 |
1 |
式 |
2,000,000 |
2,200,000 |
開業前各種広告費用 |
5,000,000 |
1 |
回 |
5,000,000 |
5,500,000 |
資材等 |
ロゴマーク作成 |
100,000 |
1 |
個 |
100,000 |
110,000 |
名刺 |
50,000 |
1 |
式 |
50,000 |
55,000 |
パンフレット |
300,000 |
1 |
式 |
300,000 |
330,000 |
診察券 |
50,000 |
1 |
式 |
50,000 |
55,000 |
封筒 |
50,000 |
1 |
式 |
50,000 |
55,000 |
研修時人件費 |
研修時人件費
| 100,000 |
5 |
人 |
500,000 |
550,000 |
行政手続き |
社労士(労働保険、社会保険) |
100,000 |
1 |
式 |
100,000 |
110,000 |
行政書士(開設届関係) |
200,000 |
1 |
式 |
200,000 |
220,000 |
その他 |
雑費(備品、ユニフォーム等) |
1,000,000 |
1 |
式 |
1,000,000 |
1,100,000 |
計 |
90,350,000 |
98,385,000 |
前提条件を「テナント開業」「40坪(坪単価25,000円)」「医師1名」「手術あり」と仮置きして作成をしています。美容クリニックは自由診療となり、保険診療が使用できません。そのため患者さんの自己負担は大きくなるとともに数十万円を超える単価の手術や処置も多く、患者さんからの期待も大きくなり競争が激しい診療科目となります。以下の項目で他の診療科目よりも投資予算が高くなる傾向にあります。
①不動産関連(敷金・礼金・仲介料など)
- ターミナル駅や駅近くのテナントが望ましく、建物自体もきれいな物件が選ばれるケースが多くなります。その分、他の診療科目より不動産関連の支払いが高くなる傾向にあります。
②内装・家具
- 雰囲気のコンセプト設定によっても変わってきますが、美容クリニックの場合、高級なサロンやエステのような内装や家具をそろえる場合も多く、内装や家具が高くなる傾向にあります。
- 「高級感路線」ではなくあえて「実直な医療機関」というブランドを目指すクリニックもあり、この場合は通常の保険診療のクリニックと同様の価格となります。
- いずれにしてもシンボルになるような凝るべき部分は凝って、抑える部分は抑えるという意識が必要です。
③医療機器
- 美容皮膚科は各種機器が最新型であるという点も集患力に影響します。その点では中古の機器ではなく各機器の最新型を導入し、それをホームページなどで遡及することがあり、そのための費用もかかります。
④マーケティング
- 美容クリニック選びは保険診療のクリニックのように「近いから選ぶ」という要素だけではないため、マーケティングが積極的に行われる診療科目となります。
- 開業する先生の元々の知名度や集患力(SNSのアカウント数など)にもよってきますが、他の診療科目に比べて開業に伴う初期のマーケティング費用が大きくなる傾向にあります。
(2)平均年収に関して
次に平均年収に関してです。他の診療科目のように先生の所得が公開されていないのですが、美容クリニックに関しては勤務医の求人情報を調べても年収2,000万円を超えるような高額求人も多く、事業の収益力の高さがうかがえます。所得が5,000万円を超える例は多く、他の保険診療のクリニックに比べて所得が高いと言えます。
その背景には単価の高さがあります。美容整形外科、美容形成外科のような手術を行うクリニックでは単価100万円を超えるケースもあり、また美容皮膚科のような処置は看護師が行うような治療でも数十万円というような契約単価となります。このように単価が高い前提において、マーケティングに成功をすると結果的に高い所得となるのは当然です。
一方で、マーケティングに失敗すると残るのは高額な費用(高い賃料・設備費・人件費・マーケティングコスト)ということになってしまいます。つまり、当然ではありますが、美容クリニックだから必ず所得が高いということはなく、ハイリスク・ハイリターンの診療科目であり、その中で残っているクリニックの先生は高い所得を得ている傾向にあると言えるでしょう。