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コラム:診療科別のクリニック開業ポイント
コラム クリニック開業ポイント

美容整形(形成)外科・美容皮膚科の開業を検討している方へ。資金や開業ポイント、事例に関して

  • 診療科別のクリニック開業ポイント

1. 序文

医療機関の開業と一口に言っても、診療科目によって必要な投資予算や収益モデルも変わってきます。本稿では「美容整形(形成)外科・美容皮膚科」(以下、美容クリニック)について、開業資金・年収・開業のポイント・事例の記載をします。美容に関する標ぼうについては、美容クリニックなど分かれていますが、今回のテーマにおいては共通する部分が多いためまとめて記載をします。また保険診療の皮膚科クリニックでも一部美容を手掛けているクリニックもありますが、別の記事で紹介をします。

2. 美容整形(形成)外科・美容皮膚科の開業資金・平均年収に関して

(1)開業資金に関して

以下は、美容クリニックの投資予算のサンプルです。
美容クリニック 開業投資予算 サンプル

開業投資予算サンプル (C)株式会社G.C FACTORY調べ ※各医療機器の価格はあくまでも参考価格となり、実際は購入のタイミングやメーカーの選定によって変動します。

前提条件を「テナント開業」「40坪(坪単価25,000円)」「医師1名」「手術あり」と仮置きして作成をしています。美容クリニックは自由診療となり、保険診療が使用できません。そのため患者さんの自己負担は大きくなるとともに数十万円を超える単価の手術や処置も多く、患者さんからの期待も大きくなり競争が激しい診療科目となります。以下の項目で他の診療科目よりも投資予算が高くなる傾向にあります。

①不動産関連(敷金・礼金・仲介料など)

  • ターミナル駅や駅近くのテナントが望ましく、建物自体もきれいな物件が選ばれるケースが多くなります。その分、他の診療科目より不動産関連の支払いが高くなる傾向にあります。

②内装・家具

  • 雰囲気のコンセプト設定によっても変わってきますが、美容クリニックの場合、高級なサロンやエステのような内装や家具をそろえる場合も多く、内装や家具が高くなる傾向にあります。
  • 「高級感路線」ではなくあえて「実直な医療機関」というブランドを目指すクリニックもあり、この場合は通常の保険診療のクリニックと同様の価格となります。
  • いずれにしてもシンボルになるような凝るべき部分は凝って、抑える部分は抑えるという意識が必要です。

③医療機器

  • 美容皮膚科は各種機器が最新型であるという点も集患力に影響します。その点では中古の機器ではなく各機器の最新型を導入し、それをホームページなどで遡及することがあり、そのための費用もかかります。

④マーケティング

  • 美容クリニック選びは保険診療のクリニックのように「近いから選ぶ」という要素だけではないため、マーケティングが積極的に行われる診療科目となります。
  • 開業する先生の元々の知名度や集患力(SNSのアカウント数など)にもよってきますが、他の診療科目に比べて開業に伴う初期のマーケティング費用が大きくなる傾向にあります。

(2)平均年収に関して

次に平均年収に関してです。他の診療科目のように先生の所得が公開されていないのですが、美容クリニックに関しては勤務医の求人情報を調べても年収2,000万円を超えるような高額求人も多く、事業の収益力の高さがうかがえます。所得が5,000万円を超える例は多く、他の保険診療のクリニックに比べて所得が高いと言えます。

イメージ
その背景には単価の高さがあります。美容整形外科、美容形成外科のような手術を行うクリニックでは単価100万円を超えるケースもあり、また美容皮膚科のような処置は看護師が行うような治療でも数十万円というような契約単価となります。このように単価が高い前提において、マーケティングに成功をすると結果的に高い所得となるのは当然です。
一方で、マーケティングに失敗すると残るのは高額な費用(高い賃料・設備費・人件費・マーケティングコスト)ということになってしまいます。つまり、当然ではありますが、美容クリニックだから必ず所得が高いということはなく、ハイリスク・ハイリターンの診療科目であり、その中で残っているクリニックの先生は高い所得を得ている傾向にあると言えるでしょう。

3. 美容クリニックの開業ポイント

次に、各開業工程におけるポイントを記載します。

(1)立地の選定

  • 多くの人がスマートフォンからWEB検索をして来院をしますが、来やすいという意味では駅の出口の近くやシンボリックな建物の近くであると良いです。
  • 多少の視認性の悪さに関しては、WEB検索をしてくる方がほとんどなので、駅の出口からの行き方を詳細に説明する写真や動画を盛り込むことでカバーが可能です。

(2)内装

  • 靴を脱いでスリッパにするか、靴のまま入れるようにするかは、どちらでも問題のない診療科目です。下半身の脱衣の回数によってどちらにするか選びましょう。
  • 患者さんのロッカーを設けるクリニックもあります。
  • パウダールームは広めに確保する必要があり、メイク落としシートなどのアメニティはしっかり揃えておく必要があります。
  • 予約制をとることが多いですが、個室の待合室や契約の内容を他人に聞かれずに話せるスペースを設けると良いです。
  • 患者さんにSNSなどで紹介してもらえるように、写真を撮りやすいスペースを設け、そこはお金をかけて特徴的なデザインにすると良いです。
  • どの施術のマーケティングが成功するかは開業後でないと分からない部分もあるので、ある程度の機器の増設や変更を加味したコンセントの設置と手洗いの設置をしたほうが良いです。

(3)採用

  • 受付・カウンセラー・看護師を採用しているクリニックが多く、また受付とカウンセラーは兼ねているクリニックもあります。
  • 報酬は地域差がありますが、いずれにしても通常の保険診療のクリニックよりも高くしているクリニックが多いです。
  • カウンセラーに対しては、受注に応じてインセンティブを設定しているケースもあります。

(4)マーケティング

  • クリニックの基本的なマーケティングの他に、エステやスポーツジムなどの店舗に似たマーケティングの工夫が求められます(紹介キャンペーンやコース割引、SNSインフルエンサーの活用、患者さんアンケートから接遇改善の実施など)。
  • マーケティングにかけるコストは高く、売上比の30%に及ぶケースも多くあります。
  • 多額の費用になるので、毎月、効果検証をして最適なコストパフォーマンスを求めて修正をしていきます。

(5)その他

  • 施術内容・施術時間・スタッフ構成が保険診療のクリニックよりも多岐に渡るため、柔軟に合わせられる電子カルテシステム・予約システムの選定が必要です。
  • 複数回コースの販売はその時点では売上ではなく前受金になるため、事前に計上ルールや期限等について、税理士も交えてルールを作成する必要があります。
  • 患者さんに施術を納得してもらえないケースも生じてしまうため、契約書・同意書を作成するとともに、医師賠償責任保険の加入や顧問弁護士との契約など、守りも固めておく必要があります。

4. 実際にうまくいった医師の成功事例

以下に、特徴的な方法によって美容クリニックとして成功されている先生の事例を記載します。

(1)オンライン診療を組み合わせた事例

  • 美容整形外科・美容皮膚科がメインのクリニックでオンライン診療も積極導入
  • ドクターズコスメやピルの処方、その他診療を実施
  • 相乗効果でマーケティング効率が上がり、収益増加

(2)オンライン診療を組み合わせた事例

  • 分院展開を行い、男性専門クリニックを設立
  • それに伴い既存院を女性専門へと変更
  • 結果、待合室で異性に会わなくて良いという理由で双方に効果あり
  • マーケティングもターゲットが明確になることで効率化
  • 異性のデリケート部分への施術に抵抗がある看護師もいるため、スタッフの安心度も増加

5.まとめ

自費診療ということと、開業時の投資が大きくなることからどうしてもハイリスク・ハイリターンになってしまう美容クリニックでありますが、勤務医時代から手技を習得したり、SNSのフォロー数を増やしたりと計画的にステップを踏んで開業初月から黒字という先生もいます。保険診療のクリニックとは異なるノウハウが必要になるので、それに知見を持っているアドバイザーを付けたり、既に開業をしている先輩や友人のアドバイスを聞きながら進めていくことが重要となります。

筆者プロフィール

株式会社G.C FACTORY

https://ma.gcf.co.jp/

代表取締役 金子 隆一

コンサルタントとして、医療機関のM&A、開業、運営支援において累計100件以上の実績を有する。クライアントの問題解決に励むと同時に、都内の大規模在宅支援診療所のバックオフィス業務の設計及び実行責任者を兼任している。