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電子処方箋、HPKIカードに加えカードレス型のセカンド電子証明書にも対応

電子処方箋に電子署名をする際にはHPKIカードを含むICカードが必要となりますが、利便性を高めるため、カードレス型の「HPKIセカンド電子証明書」も用意されています。本コラムでは、ICカード発行の現状や、セカンド電子証明書の概要についてご紹介します。

ICカード(HPKIカード)の現状

電子処方箋の利用にあたっては、ICカードによる資格認証と電子署名が必要となります。ICカードの代表的なものがHPKIカードです。しかし近年、世界的に半導体が不足し、HPKIカードを含むICカード発行にも影響が生じています。HPKIカードの発行を早急に進めるべくHPKIファストトラック窓口なども設置されていますが、2023年6月にはHPKIカードの発行が一時停止される事態となり、電子処方箋普及の足かせともなりかねないとの懸念が広がりました。

HPKIカードなしでできること

しかし、HPKIカードがなくとも、電子処方箋に関するさまざまな機能を利用することができます。電子処方箋管理ソフトを導入している医療機関および薬局では、処方・調剤情報の登録や閲覧が可能であり、患者の同意があれば他の医療機関・薬局の情報を閲覧することもできます。また、重複投薬等のチェックもできる点は特に大きなメリットでしょう。薬剤師と医師の間の連絡事項の伝達も、HPKIカードがなくとも実施できます。詳細は下図をご参照ください。

図 HPKIカードなしで実施できること

セカンド電子証明書とは

さらには、HPKIカードの発行の一次停止に対処するため、当面のあいだはHPKIセカンド電子証明書(以下、セカンド電子証明書)のみを先行して発行するという措置が取られることとなりました。

セカンド電子証明書は、もともとはHPKIカードを補完するものと位置付けられ、2022年12月から運用が開始されました。HPKIカードは物理的なカードであるため、カードの紛失・破損時には電子処方箋に署名ができず、業務が遅滞してしまうことが当初より問題点として指摘されていました。これを解決するため、HPKIカード発行対象者向けに2つ目の電子証明書として発行されることとなったのがセカンド電子証明書です。セカンド電子証明書はカードレス型で、セキュリティが確保されたクラウド上にHPKI電子証明書が格納されています。スマートフォン等のモバイル端末による生体認証を行うことで、HPKIカードがなくとも電子署名が可能です。

今回は、電子処方箋とHPKIカード、およびセカンド電子証明書についてご紹介しました。現時点ではHPKIカードの発行が滞っているものの、カードなしで利用できる機能も整備されています。また2023年10月からは、マイナンバーカードとHPKIセカンド電子証明書との紐付けにより、マイナンバーカードでも電子処方箋への電子署名が行えるようになる予定です。電子処方箋をまだ導入していないという場合も、ぜひ前向きに検討を進めてみてはいかがでしょうか。

※今後の電子処方箋の厚生労働省による仕様の進捗により、内容が変わる場合はございます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/denshishohousen.html
電子処方箋ページ(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/denshishohousen.html)の内容をもとに、ウィーメックス株式会社で独自に解釈、編集したものです。