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電子カルテ 医師 事務長 2022.09.08 公開

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電子カルテのクラーク運用の教育方法

電子カルテのクラーク運用の成功失敗のカギは、「スタッフ教育」にあります。短期間で一人前のクラークに仕立てるためには、教育メカニズムをあらかじめ知っておくことが大切です。そこで、今回は電子カルテのクラーク運用の教育方法について解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討 #開業直後の悩み #紙カルテの電子化 #レセプトの悩み #業務効率化

電子カルテのクラーク運用を始める2つのケース

電子カルテのクラーク運用を始めるには2つのケースが想定されます。1つは紙カルテから電子カルテへの移行のケース、もう1つは電子カルテの運用を効率化したいと考えて始めるケースです。前者は、医師がパソコン操作が苦手であったり、電子カルテ操作を医師が行うことが非効率と考えたりする場合です。後者は、患者が増えてきて、医師の電子カルテ操作が患者の待ち時間につながっており、何とかスピードを上げたいと考えている場合となります。

どちらのケースも、クラークの担い手としては、受付スタッフをクラークにコンバートすることが新たな人員を増やすことなく効率的と考えるのが普通でしょう。新たに、クラークを採用するのも一つの方法ですが、育成する機関があまりないため、適切な人材が取れる見込みが少ないことと、新たにスタッフの増員となり、費用が嵩んでしまいます。

クラーク教育のメカニズム

さて、受付スタッフをクラークにコンバートする際の教育方法について考えてみましょう。医師に代わって、電子カルテを操作するクラークは、電子カルテの本来の目的である、診療行為とコストの関係を理解し、適切なレセプト(診療報酬明細書)作成につながる仕組みを理解している必要があります。そのためには、診療報酬の仕組みやレセプトの仕組みを知っていることが前提となります(受付スタッフはこのスキルを事前に持っていると考えて解説します)。

教育ステップとしては、①目的と効果の理解②仕組みの理解③スキルの習得―の3ステップを順序立ててトレーニングしていくこととなります。

<クラークのトレーニング>
①目的と効果の理解(Goal)
クラークの導入目的と効果を全員で理解し共有します。これを行うことで、クラーク運用を進める医師とスタッフの目的のすり合わせができ、共通のゴールに向けて取り組む姿勢・考え方が確立します。何のためにクラーク運用を始め、その結果、どんなクリニックになりたいかをスタッフに周知することは大切なプロセスです。

②仕組みの理解(Solution)
クラークは、まずどのようなメカニズムでカルテが出来上がるかの仕組みを理解する必要があります。そのため、カルテ記載のルール(SOAPの仕組み)を理解した上で、電子カルテの仕組みを理解し、結果としてクラークが診療の中でどの部分を担っているかを学ぶことで、クラーク運用を進める上での基礎が確立します。個別のパーツと全体像を一緒に学ぶことで、クラーク全体の仕組みを理解することが可能です。

③スキルの習得(Skill)
仕組みを理解していてもそれを実行に移すためには、反復練習が必要です。そのためには、カルテ作成スキル、電子カルテ操作スキル、コミュニケーションスキルを習得する必要があります。ちなみに、ここでいう「コミュニケーション」とは、話すことを指しているのではなく、診察室の情報を「見て聞いて感じる」ことになります。情報をカルテに記録として落とし込むためには、視覚・聴覚を鍛えそれを文字にする感覚を磨く必要があります。

この3つのスキルをマスターすることでクラーク業務を確実に実行できるようになります。

クラークトレーニングは実践重視

クラークを短期間で学ぶためには、座学よりも実践トレーニングが重要であると考えています。「習うよりも慣れよ」の精神で、体で覚えることで、現場で使えるスキルになると考えるからです。そこで、実際の電子カルテを利用し、実際の診療と同じ状況で、トレーニングを行うことをお勧めします。

例えば内科であれば、あらかじめ「かぜ症状」「腹痛」「頭痛」「生活習慣病」などいくつかの問診票を用意し、そこから実際の診療の流れに合わせて、カルテ作成を行っていくロールプレイングを行っていくのです。電子カルテ操作が未熟なうちは、紙カルテを利用して行ってもよいでしょう。

患者の主訴(S)から所見(O)、評価(A)、計画(P)、検査・画像や薬、注射、処置について、情報の振り分け方法を流れの中で理解していくのです。

クラークの仕組み化

クラーク教育が終了し、スタッフが育成できたとしても、そこで終了ではありません。スタッフの個別スキルから、クリニック全体の仕組みとすることで、クラーク運用が仕組みとして定着することになります。仕組み化のプロセスとしては、
①役割分担とケーススタディ
②ルール化(運用設計図)
③シミュレーション
の3つのステップが必要となります。

<クラークの仕組み化>
①役割分担とケーススタディ(院内の役割分担の方法を他院の事例に基づき考える)
②ルール化(事例を参考に、クリニックの導入目的に合ったクラーク運用のルールを決定する)
③シミュレーション(運用ルールに基づきシミュレーションを繰り返し行い、改善点を探し修正する)

まとめ

電子カルテのクラークの教育を成功させるためには、以下の5つのポイントがあります。
(1)クラーク運用を始める目的と効果を理解しゴールを明確化する。
(2)カルテ、電子カルテ、クラークの仕組みなど流れを理解する。
(3)カルテ作成、電子カルテ操作、コミュニケーションのスキルをマスターする。
(4)実際の診療と同じ状況の中で、具体的な診療ケースに基づき、実践形式でトレーニングする。
(5)役割を明確化し、ルール化し、シミュレーションで仕組み化する。

筆者情報

大西大輔

MICTコンサルティング(株) 代表取締役

大西大輔

2001年一橋大学大学院MBAコース卒業。同年、日本経営入社。2002年に医療IT製品の常設総合展示場「メディプラザ」を立上げ、IT導入コンサルティング、システム選定アドバイス、研修事業等を担当。2016年にMICTコンサルティング(株)を設立。多くの医療機関の導入サポートや取材経験より団体などでの講演や執筆多数。

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