PHCを選んだ理由は?
子どもの頃からものづくりや機械いじりが好きで、大学では機械力学や材料力学を学んでいました。好きなことに没頭してきましたが、将来、自分は何のために働くのだろうかを考えたとき、技術を人のために生かせる仕事がしたいと思うようになり、医用工学研究室に所属しました。PHCは血糖値センサや電子カルテ、調剤機器など身近な医用機器が多く、この会社なら自分のやりたいことが実現できると思って入社を決意しました。
今、どんな仕事をしていますか?
自動錠剤包装機の開発、また自動錠剤包装機に使用するタブレットケースの開発に携わっています。お年寄りや重い病気を患っている方は、一度に何種類もの薬を服用しないといけないことがあります。そうした方の飲み忘れや誤飲防止のために複数の錠剤を1回分ずつ袋に自動投入する装置で、薬ごとに数百種ものタブレットケースが内蔵されています。本来は、薬の種類・形状ごとにタブレットケースを作製するのですが、現場の使い勝手を考えて、より安価で効率的に扱えるよう、複数の薬に応用できる汎用性の高いタブレットケースの開発に取り組んでいます。
開発を進めるうえで難しいことは?
人の体に入る薬剤を取り扱う装置なので、“万が一”を極力排除した万全な装置でなければなりません。自動錠剤包装機内部やタブレットケース内部で起こる錠剤同士のぶつかりやハネ、剤遅れといった不確定要素をいかに排除していくか――それには「なぜその現象が起こったか」を考え抜いて、原因を究明する姿勢が肝要です。この壁を乗り越えることが最も難しいです。暗中模索の中で仮説を立てて検証し、設計と実験を繰り返して壁を突破できたときは、大きな達成感を感じます。困難と達成感は、まさに背中合わせだと実感しています。
PHCはどのような会社だと思いますか?
「個」が成長できる会社だと思います。私自身、会議ではどんどん発言して、自分のやりたいことや考えを伝えるようにしています。若手のうちから意見を言えて、いい提案であれば取り入れて実行させてくれる風通しのいい職場だと思います。
技術開発者に必要なのは?
チャレンジ精神は不可欠です。開発段階で立ちはだかる数々の壁を乗り越える情熱をもちつづけること。それを支えるのは「より良いものを生み出したい」「世の中にないものを生み出したい」という純粋な探究心です。しかし、単に新しいものを目指すのでは足りません。現場で使う薬剤師さんたちにとって便利かつ安心で、最終的には患者さんが薬を飲む助けになる、使う人の目線に立ったものでなければならないと考えています。
社名の由来であるPrecision(精緻)をどう実現していますか?
妥協なき挑戦です。開発者として最後まで責任をもたねばならないのは「品質」。新規開発は、設計完成から製品へと昇華させる過程がじつはとても重要で、装置が正しく機能するのか、さまざまな条件下で一定の品質を維持できるか、厳しい目で評価を重ねる粘りが必要です。技術者に求められるのはより良いものを生み出したいという飽くなきチャレンジ精神、しかも、それは妥協なき挑戦でなければ意味がないと考えています。
PHCを目指す学生にメッセージをお願いします。
会社に入る前は正直なところ、社会人ってなんだろう、自分に務まるのだろうかと不安ばかりでした。しかし入社後は、自分の好きなものづくりに携わりながら、自分自身も成長できることにやりがいを感じています。「自分自身のために」という視点を忘れずに頑張ってほしいです。