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薬局経営 薬剤師 薬局経営者 2023.08.28 公開

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健康サポート薬局とは?認定要件や研修内容、メリットも解説

サポート薬局に認定されるにはどうしたら良いのでしょうか。本記事では、制度の概要や認定要件、申請方法、認定を受けるメリットなどについてわかりやすく解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策

目次

2016年4月に健康サポート薬局の認定制度が施行され、同年10月より薬局による届出が可能になりました。健康サポート薬局に認定されるには、かかりつけ薬局としての基本的機能に加え、地域における連携体制の構築や「健康サポート薬局研修」の修了などの要件を満たす必要があります。本記事では、制度の概要や認定要件、申請方法、認定を受けるメリットなどについてわかりやすく解説します。

健康サポート薬局とは?

健康サポート薬局とは、かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加えて、市販薬や健康食品、食事や介護などに関する相談にも対応できる薬局のことです。健康サポート機能をもつ薬局は、地域住民の主体的な健康維持や増進を積極的に支援する役割を担い、かかりつけ機能以外には下記のような取り組みを行います。

・医薬品など安全かつ適正な使用に関する助言
・健康の保持増進に関する相談を受け付け、必要に応じた専門職種や関係機関への紹介
・積極的かつ具体的な地域住民の健康サポート
・地域の薬局への情報発信や取り組みの支援 など

『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則』の第一条第二項第五号では、「患者が継続して利用するために必要な機能及び個人の主体的な健康の保持増進への取組を積極的に支援する機能を有する薬局」と定義されており、地域で気軽に訪れられる場所として住民の健康を促進する役割が期待されています。

健康サポート薬局制度が作られた背景

健康サポート薬局とは?認定要件や研修内容、メリットも解説

健康サポート薬局の認定制度ができた背景には、少子高齢化で高齢者に関わる医療や介護の需要が増加している状況があります。これにより政府は、高齢者が重度の要介護状態でも住み慣れた地域で最後まで自分らしい暮らしができるよう、「地域包括ケアシステム」の体制構築を推進しています。

医療や介護、住まい、予防、生活支援の一体的な提供を目指してさまざまな取り組みが進められており、健康サポート薬局の認定制度も地域包括ケアシステムを支えるための大切な役割を担っているのです。

認定数

健康サポート薬局の認定数は、全国で3,123軒です(令和5年9月30日時点)。厚生労働省が目標としていた15,000軒の約2割程度で、今後の普及が課題となっています。

参考:健康サポート薬局のあり方について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/matome.pdf
参考:健康サポート薬局の届出件数(令和5年9月30日時点)(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/001163649.pdf

健康サポート薬局で薬剤師ができること

健康サポート薬局は通常の薬局とは違い、薬剤師ができることが異なります。通常のかかりつけ薬剤師やかかりつけ薬局の機能に加えて、ほかにもさまざまな機能を兼ね備えているのです。

具体的には、健康相談や医薬品・介護用品に関する相談、週末や休日の相談などができます。それぞれどのようなことを薬剤師がしていくのか、詳しく見ていきましょう。

健康相談

健康サポート薬局では、健康相談を行っています。「最近少し調子が悪くて…」「仕事が忙しくてなかなか運動の時間が取れない」など、日常生活での相談を受けることが多いでしょう。このような相談を受けた薬剤師は、患者さんがどのような生活習慣を送っているのかを詳しくヒアリングし、適切なアドバイスを行います。

「医師に相談するまではないけど、ちょっと健康が気になる」といった内容が多いため、患者さんが日常の範囲内でできるアドバイスを行うことが求められるケースがほとんどでしょう。適切なアドバイスを行うためにも、薬剤師は健康に関する正しい知識を身につけておかなければなりません。

患者さんの状況によっては、受診勧奨を行うことも必要です。どこまでなら患者さん自身で対処ができ、どこからは受診が必要なのか、薬剤師がしっかり線引きを行って患者さんの健康を守る必要があります。

通常の薬局では、薬物治療が必要な患者さんにしかアドバイスを行う機会がありません。しかし、健康サポート薬局では未病の段階にある患者さんも相談に来られます。対応する範囲が広がるため、薬剤師はさらに幅広い知識を身につけておくことが必要とされるでしょう。

医薬品・介護用品に関する相談

健康サポート薬局では、健康相談はもちろんのこと医薬品や介護用品に関する相談も受けます。医薬品といっても、処方薬に限定されるわけではありません。市販薬の相談も多く受けることになるため、薬剤師は市販薬についても把握しておく必要があります。

「処方された薬とこの市販薬は一緒に服用して大丈夫?」「◯◯の症状に合う市販薬はある?」などの相談を受けることが多いでしょう。介護用品の選定やアドバイス、調達などを任されることもあります。

週末や休日の相談

週末や休日は、通常の薬局だと閉まっていることがほとんどです。しかし健康サポート薬局は、かかりつけ薬局としての機能も備えているため、週末や休日の患者対応にも応える必要があります。24時間対応を行っているため、いつでも患者さんの求めに応じられるのです。

健康サポート薬局の認定要件

健康サポート薬局の認定を受けるには、厚生労働省が定める次の要件を満たす必要があります。

かかりつけ薬局としての基本的機能

かかりつけ薬局としての基本的機能では、[1]服薬情報の一元的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導、[2]24時間対応・在宅対応、[3]かかりつけ医をはじめとした医療機関などとの連携強化が求められます。とくに在宅対応においては過去1年に在宅で療養する患者さまに対し、薬学的管理と指導を行った実績がなければなりません。

詳しい要件については以下で確認しましょう。

参考:健康サポート薬局のあり方について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/matome.pdf

地域における医療機関等との連携体制の構築

一般用医薬品等や健康の維持・増進に関する相談を受けた場合、患者さまの了解を得て、かかりつけ医と連携し、必要に応じて受診勧奨を行うことが求められます。また、地域の医療機関や多職種、関連機関の連絡・紹介リストを作成して連携する体制を構築します。その際に必要な情報は、患者さまの同意を得て(電子媒体を含む)文書で共有するよう取り組みます。

薬剤師の資質確保

「一般用医薬品や健康食品等の安全かつ適正な使用に関する助言や健康の維持・増進に関する相談、適切な専門職種や関係機関への紹介等に関する研修」を修了し、一定の実務経験を有する薬剤師が常駐していることが求められます。これは「健康サポート薬局研修」と呼ばれるもので、詳細については後述しているのでチェックしておきましょう。

薬局の設備

患者さまが相談しやすい環境を構築するために、相談場所をパーテーションで区切るなどの対応が必要です。また、個人情報に配慮した相談窓口を設置していることを証明するために、申請書には写真などの資料の添付を求められます。

健康サポート薬局であることの表示

地域の方々が安心して利用できるよう、下記を明示して周知する必要があります。

<薬局外>
・健康サポート機能をもつ薬局であること
・一般用医薬品や健康食品などに関する助言や健康の保持増進に関する相談を行っていること

<薬局内>
・取り組んでいる健康サポートの具体的な内容を掲示する

要指導医薬品、衛生材料、介護用品などの取り扱い

患者さまが最適な要指導医薬品、衛生材料、介護用品などを選択できるように、供給機能および助言を行う体制の構築が必要です。さらに、かかりつけ医との適切な連携と受診を妨げることがないように、適正な運営を行うことが求められます。 患者さまからの相談があった場合には、状況や製品の特性を十分に踏まえて、専門的知識に基づく対応をしましょう。

開局時間

地域住民が相談したいときにできる体制構築が必須です。平日の開局日には連続して開局している(8時から19時までの時間帯で8時間以上が望ましい)こと、加えて土日どちらかが一定時間以上開局していることとされています。

健康相談・健康サポートの取組

地域住民に対する健康の意識を高めてもらうため、下記のような取り組みも要件とされています。

・健康の維持や増進に関する相談への対応と記録の作成
・健康サポートに関する取り組みの実施(薬の相談会、禁煙相談、健診の受診勧奨、糖尿病予防教室、栄養相談会など)
・健康に関するパンフレットの配布やポスターの掲示

薬局が認定を得るメリット

続いて、薬局が健康サポート薬局の認定を得るメリットを見ていきましょう。

「健康サポート薬局」を標ぼうできる

認定を受けた薬局では、店頭や店内などに「健康サポート薬局」を標ぼうできます。その結果、患者さまに健康サポート薬局の存在を知ってもらうきっかけになるほか、患者さまにとって薬局が身近な場所として認識してもらえたり、患者さまの信頼が得られたり、薬局にとってもさまざまなメリットがあるでしょう。

イベントの開催による集客・認知拡大

健康サポート薬局としてイベントを開催することで、地域における知名度の向上が期待できます。来局する患者さまが増えれば、薬局全体の売上アップにもつながるでしょう。

健康食品やOTC医薬品の販売増が期待できる

健康食品やOTC医薬品の相談会の実施は、これらの販売促進になり得ます。健康に関する悩みを解決することが、患者さまの信頼を得るきっかけにもなると考えられます。

「薬局機能情報提供サービス」での検索が可能に

患者さまが薬局を適切に選択できるよう、2009年に「薬局機能情報提供制度」が施行されました。この制度に基づき、各都道府県が提供する薬局機能情報提供サービスで地域ごとの薬局をインターネットで検索できるようになっています。
健康サポート薬局の認定を受けていれば、それを明示できるうえ、認定の有無を条件に検索して薬局を探している患者さまに見つけてもらいやすくなるわけです。

「健康サポート薬局研修」とは

前述の通り、研修実施機関が開催する「健康サポート薬局研修」を受講・修了した薬剤師の常駐は認定の必須条件です。研修の内容は「技能習得型研修」と「知識習得型研修」に分かれています。

研修内容と所要時間

それぞれの研修で学ぶ内容と所要時間は、以下の通りです。

技能習得型研修(集合研修) 知識習得型研修(e-ラーニング)
  • 健康サポート薬局の基本理念(1時間)
  • 地域包括ケアシステムにおける多職種連携と薬剤師の対応(3時間)
  • 薬局利用者の状態把握と対応(4時間)
  • 地域住民の健康維持・増進(2時間)
  • 要指導医薬品等概説(8時間)
  • 健康食品、食品(2時間)
  • 禁煙支援(2時間)
  • 認知症対策(1時間)
  • 感染対策(2時間)
  • 衛生用品、介護用品等(1時間)
  • 薬物乱用防止(1時間)
  • 公衆衛生(1時間)
  • 地域包括ケアシステムにおける先進的な取組事例(1時間)
  • コミュニケーション力の向上(1時間)
出典:日本薬剤師会・日本薬剤師研修センターが行う「健康サポート薬局研修」について~研修受講から修了までの流れ〜(日本薬剤師会)
https://www.nichiyaku.or.jp/activities/support/kensyu.html

技能習得型研修は2種類の研修に分かれており、知識習得型研修とあわせて3つの受講証明書を取得できます。その受講証明書と必要書類を研修実施機関(日本薬剤師研修センター)に提出すれば、研修修了証が交付されます。ただし、健康サポート薬局の認定を受けるためには、薬局において5年以上の実務経験がある薬剤師が常駐することが条件になるので注意しましょう。
研修会の日程やかかる費用、更新手続きなどについては日本薬剤師会のホームページを参考にしてください。

出典:健康サポート薬局のあり方について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/matome.pdf
参考:日本薬剤師会・日本薬剤師研修センターが行う「健康サポート薬局研修」について~研修受講から修了までの流れ〜(日本薬剤師会)
https://www.nichiyaku.or.jp/activities/support/kensyu.html

健康サポート薬局の届出について

健康サポート薬局の申請をするには、前述の要件をすべて満たしたうえで、それを証明する書類を添えて所轄の保健所へ届け出ます。細かい申請内容や手順は自治体により異なる可能性があるため、事前に所轄の保健所へ確認しましょう。

東京都における、健康サポート薬局の申請時の必要書類は次の通りです。

・変更届書
・届出書添付書類(=チェックリスト)
・届出書添付書類に記載がある書類

変更届書に必要事項を記入し、「届出書添付書類(=チェックリスト)」で定められている項目の関連書類を添付します。その後、添付を忘れている書類がないか「届出書添付書類」の右側にチェックをして確認のうえ、変更届書にあわせて添付して提出してください。

参考:健康サポート薬局について(東京都保健医療局)
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/anzen/iyaku/kakaritsuke/support.html

健康サポート薬局の動向を踏まえて対応を

健康サポート薬局は、地域の人々の健康保持や増進を支援する重要な役割をもつ一方で、まだまだ知名度が低いのが現状です。

認定取得後は、健康サポート薬局を利用するメリットを患者さまに伝えて気軽に活用してもらえるように働きかけていくことが必要でしょう。

また、健康サポート薬局の運営には、地域連携や患者さまの一元的かつ継続的な服用管理が重要になります。WEMEXが提供する「保険薬局用電子薬歴システム PharnesX-MX」は、そうした管理・共有をスムーズにし、健康サポート薬局における地域連携をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

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