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薬局経営 薬剤師 薬局経営者 2024.04.19 公開

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薬局経営者の年収はどれくらい?年収パターンと利益構造などを解説

「薬局を経営する場合、年収はどれくらい?」「薬剤師は、なかなか年収が上がらないから、薬局を経営したらどうかな……」と、薬局経営に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、自身も薬局経営に携わる筆者が、薬局経営者の年収について解説します。薬局経営について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討

目次

薬局経営者の平均年収

薬局経営者の年収はどれくらい?年収パターンと利益構造などを解説

正確な数字は発表されていないので推定の話となりますが、1店舗経営の場合は、500万円〜800万円くらいが相場で、勤務薬剤師の年収とあまり変わりありません。

そして、複数店舗を経営するようになると、年収1,000万円を超える方もいるようです。つまり、薬局経営で勤務薬剤師の年収を超えたいのであれば、複数店舗の経営を視野に入れておく必要があります。

薬剤師の平均年収

厚生労働省が行った令和4年賃金構造基本統計調査によると、薬剤師の平均年収は583.4万円です。賃金構造基本統計調査での、「きまって支給する現金給与額」×12ヵ月に「年間賞与その他特別給与額」を加えて平均年収を算出しました。なお、過去5年間の薬剤師平均年収を、賃金構造基本統計調査によって算出すると以下の通りです。

年度 平均年収
令和4年 583.4万円
令和3年 580.5万円
令和2年 565.1万円
令和元年 561.7万円
平成30年 543.6万円

これを元に考えると、薬剤師の平均年収は550万円〜600万円。一般的な職業よりは高いと考えられるでしょう。そこで、薬剤師が年収を上げていく手段のひとつが「薬局経営」です。薬局経営をすることで、年収を上げられる可能性があります。

出典:「賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429

薬局経営者の年収をパターン別に紹介

もちろん、薬局経営によって、簡単に年収を上げられるわけではありません。経営者として店舗が利益を生み出すよう努力しなければ、勤務薬剤師の年収を超えることすら難しくなります。

薬局経営で年収を上げるには、具体的に何をしていけばよいのか。ここからは、筆者の経験に基づき、薬局経営者の年収パターンをご紹介していきます。

・年収500万円~600万円のケース

薬局経営は、どのように始めるかにもよりますが、いきなり収入が大きくなるわけではありません。開局してしばらくは、自身が管理薬剤師となり薬局を経営することで人件費を抑えることができます。

1日平均30〜40枚の処方箋を応需できれば、薬剤師の平均年収である年収500万円〜600万円が目指せます。経営を軌道に乗せるうえで、この年収500万円〜600万円が目標となるでしょう。

・年収600万円~800万円のケース

コンスタントに1日50枚を超える処方箋が応需できるようになれば、薬剤師の平均年収を超える年収600万円〜800万円を目指せます。ただし、薬剤師一人が1日に対応できる処方箋は40枚と定められているので、薬剤師を雇用する必要が出てきます。

応需する処方箋の性質によっては、人件費が経営を圧迫する場合もあります。正社員ではなくパート薬剤師で対応するなど、しっかりと人事面のマネジメントをしていく必要があるでしょう。

・年収800万円~1,000万円のケース

在宅診療の患者さんなども増やし、介護施設の処方箋も獲得するなど、複数医院の処方箋を応需できるようになると、地域支援体制加算も算定できるようになります。

こうなると、処方箋1枚当たりの技術料も上乗せできるため、年収800万円〜1,000万円が目指せます。このレベルの薬局になると技術料が月200万円に到達するはずです。ただし、このような薬局をいきなり経営することは難しいので、地道に処方箋枚数を伸ばしていく努力が必要です。

また、薬剤師や薬局であることを活かした、物販を取り入れることも有効です。一般用医薬品や要指導医薬品といったOTC医薬品を取り扱うほか、熱が出たときなどに便利な保冷シートや、マスクなど喉や鼻に症状があるときに便利なグッズなども検討してみましょう。

また、新たな処方箋の獲得や特養や老人ホームといった施設の処方箋の獲得などの営業努力も必要となるでしょう。薬剤師や人事マネジメントのスキルだけではなく、営業力などのビジネススキルも必要になってきます。

・年収1,000万円以上ケース

ひとつの薬局で年収1,000万円を超えるのはかなり難しいです。1日平均処方箋が100枚を超え、技術料が月300万円を超えるような大型の薬局であれば可能ですが、そこまでの薬局を作り上げることは困難です。

そのため、薬局経営で年収1,000万円以上を目指すのであれば、複数店舗経営が現実的です。OCT医薬品やサプリメントなどの物販をどのように売っていくか、物販に関するマニュアルを作るなど、複数店舗で売上を作れるよう検討してみてください。

地道に売上を伸ばすことで、月の技術料が150万円〜200万円の薬局を2、3店舗経営できれば年収1500万円〜2,000万円を目指せるでしょう。まずは、1店舗目を年収800万円〜1,000万円を狙えるレベルまで引き上げ、そこから、新店開発や既存薬局のM&Aで店舗を増やすといった方法が検討できます。

薬局の利益構造を理解することが重要

薬局を経営するうえで、その利益構造を知ることはとても重要です。ここからは、薬局の利益構造について解説していきます。

まず、薬局経営の利益構造の基本は「応需する処方箋の枚数」にあります。調剤薬局の場合、処方箋調剤が収入の柱です。定期的に患者が来局する環境で開局することが重要です。開局予定地の近隣に病院やクリニック、施設があるかどうか、患者数はどのくらいかなどを確認しておきましょう。

競合店がないかどうかにも、注意しておく必要があります。近隣にクリニックがあったとしても、自分の薬局よりも立地のよいところに薬局があれば、処方箋はそちらに流れてしまうでしょう。

このほか、2年に1度行われる調剤報酬改定にも注意しておかなければなりません。地域体制加算や後発品調剤体制加算など、算定要件が変わり今まで算定できていた加算が改定により取れなくなってしまうこともあります。調剤報酬改定に関しては、常に注意を払い、算定できなくなるといったことを避けるようにしましょう。

また、薬局経営で重要なのが、薬価差益です。薬価差益とは、医薬品の法定価格(薬価)と納入価格の差です。この薬価差益は、そのまま薬局の利益になります。医薬品卸との価格交渉をしっかりと行いましょう。複数店舗経営していれば、扱う医薬品の量が多くなり、価格交渉が有利になります。

このほか、来店者の傾向を掴み、自店に合った物販商品を揃えることも重要です。処方薬を受け取るついでに、常に何か手に取ってもらうことを意識してみてください。また、どういった症状で通院しているのを把握したうえで、睡眠・運動・食事の状況などを伺えば、サプリメントや他商品を提案できる可能性が高くなるでしょう。

上述のように、保険調剤の収入は、調剤報酬改定や薬価改定によって左右されます。保険調剤だけに頼らぬよう、顧客との関係構築を行い、患者の単価×患者数×リピート率を上げる工夫を意識してみましょう。

シミュレーション例

ここからは、実際に薬局経営を行ったと仮定し、シミュレーションしてみましょう。内科クリニックの門前にあり、応需処方箋が1,500枚の調剤薬局とします。「調剤医療費(電算処理分)の動向〜令和4年度版〜」を元データとして利用し、以下の金額で計算をします。

家賃:月20万円
その他経費:月40万円
薬剤師人件費:月45万円/正社員1名
医療事務人件費:月25万円/正社員1名

内科診療所の処方箋1枚当たり技術料が2,800円、薬剤料が5,749円です。薬価差益を10%で月当たりの粗利益は、1,500×(2,800+574.9)=506,2350となり、およそ500万円となります。経営者が管理薬剤師をつとめる場合、薬剤師2.5人と医療事務2.5人を雇用するのが妥当でしょう。

人件費は、45万円×2.5+25万円×2.5=175万円となります。その他家賃などの固定費を計算した場合、営業利益は500万円―20万円―40万円―175万円=325万円となります。

管理薬剤師を別に雇用する場合は、人件費に管理薬剤師として月60万円を見込んでおくとよいでしょう。それでも、月平均1,500枚処方箋を応需できるのであれば、十分経営として成り立つことがわかります。

経営者になるメリット・デメリット

ここからは、薬局経営者になるメリットとデメリットを紹介します。

・メリット

最大のメリットは、やはり勤務薬剤師では到達できない高年収を狙える点でしょう。また、経営者には、コミュニケーション能力やマネジメント能力が問われます。薬剤師では得ることのできないビジネススキルを習得できる点もメリットといえるでしょう。また、店舗経営に余裕が出てくると、自分が管理薬剤師として働く必要はなくなりますので自由な働き方が可能となります。

・デメリット

薬局経営のデメリットは、収入が不安定になる点です。メインの処方箋応需元のクリニックが閉院したりすると、一気に収入の柱を失ってしまうこともあります。

また、病院とともに新規開業する場合は、地域住民に認知され通院患者が増えるまでは赤字経営を余儀なくされる場合もあります。処方箋枚数が伸び悩み、自分が一人薬剤師として働かなければならない場合などは拘束時間が長くなってしまいます。

薬局を開業する流れとポイント

実際に薬局を開業する場合おおまかなスケジュールとしては以下の通りです。

6ヵ月前までに開業時期とエリア・物件の決定
3ヵ月前までに保健所や専門家への事前相談
2ヵ月前までに薬局開設許可申請書を保健所に提出する
1ヵ月半前に保健所による検査をパスする
1ヵ月前までに厚生局に保険薬局指定申請書を提出する
開局前月の20~25日に厚生局から指定のための審査を受ける
開局月の1日 保険調剤薬局オープン

保健所や厚生局の許可がないと営業できませんので、これらの公的手続きは遅れないように動いていきましょう。店舗を新しく建設する場合などは、工事の進捗状況も重要です。保健所による検査までに、内装までしっかり終わらせていなければなりません。

▽参考記事
よくある失敗から学ぶ、薬局開業で気を付けるべきポイント

まとめ

勤務薬剤師の年収は600万円〜800万円であることが多いですが、独立して経営者になれば、さらに増やしていける可能性があります。

もちろん、門前医院の経営状態に左右されますので、安定した収入が約束されるわけではありません。最初から高年収というわけにはいきませんが、薬局を経営するメリットはたくさんあります。高い収入や、自由な働き方を実現したいのであれば、ぜひ薬局経営に挑戦してみてください。

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