《ここがポイント!》
- 厚労省が介護保険総合データベース(介護DB)のクラウド活用に向けたガイドライン改正案を発表。12月から介護DBのデータをクラウド上で分析可能にするプラットフォーム「HIC」の利用受付を開始し、NDBとの連結案件から対応。データ利用期間を原則6カ月間とし、安全管理措置を緩和。利用手数料はNDBと同様の改正を予定。
- 一方で、NDBの手数料免除条件の厳しさや料金設定の引き上げに対し、専門家から懸念の声。詳細な手数料改正案は今後の審議で検討予定。
~匿名介護情報等の提供に関する専門委員会(第17回 9/9)《厚生労働省》~
厚生労働省は9日、クラウドを活用した介護保険総合データベース(介護DB)のデータ利用に関するガイドラインの改正案を「匿名介護情報等の提供に関する専門委員会」に示した。介護DBのデータをクラウド上で分析可能にするプラットフォーム「HIC」の利用受け付けを12月から開始するのに伴い、用語の定義や介護DBのデータ利用期間の上限など、手続きに関して必要な事項を追記した(資料P2参照)。
現行では、介護DBの利用申請があった場合、抽出したデータを保存したハードディスクを申請者へ発送し、データの使用後にはディスクの返却を求めている。厚労省はHICの運用を開始することで、介護DBのデータ利用に伴う時間的・事務的コストの削減を図りたい考えだ。
HICの運用を巡っては、介護DBでの利用に先立ち、2023年12月に匿名医療保険等関連情報データベース(NDB)での利用を開始している。24年12月から利用受け付けを始める介護DBについては、NDBとの連結案件から受け付けを開始する(資料P2参照)。
厚労省が同専門委員会に示した「介護DB利用に関するガイドライン」の改正案では、原則として「NDBの利用に関するガイドライン」の内容を介護DBに置き換えている。HICなどの用語の定義を追記したほか、ハードディスクによるデータの取り扱いに比べ、HICではデータを利用する部屋への入退室管理や盗難・のぞき見防止などの安全管理措置が緩和されることを踏まえ、データ利用期間の上限をNDBに合わせて原則6カ月間とした(資料P4参照)。
介護DBの利用手数料については、現在見直しを進めているNDBの利用手数料と同様の改正を行うこととした。
これに対し今村知明構成員(奈良県立医科大学教授)は「NDBの利用手数料が免除となる条件が厳しい」と述べた。厚労省が公表した見直し案では、NDBの手数料が免除となる対象は厚労科学研究や日本医療研究開発機構(AMED)が採択した補助事業などに限定され、免除を受けるためには補助金交付決定通知の写しと、研究計画書または交付申請書にデータ利用の申請者全ての名前が記載されている必要があるとしており、ハードルが高いと指摘した。
また、今村構成員はNDBの手数料設定がこれまでより引き上げられたことも踏まえ、NDBと同様の減免規定や料金設定をすることに難色を示した。厚労省の担当者は「手数料の改正案が固まったら、改めて審議をお願いしたい」と回答した。
(資料公表日 2024-09-09/MC plus Daily)
資料:介護DBの利用に関するガイドラインの改正(HICに関する内容の追加)について(案)
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