医療法の広告規制には要注意!
医療広告は一般的な製品の広告以上に気を使う
「医学的根拠に乏しい情報が氾濫している」などとして、近頃インターネットでの医療情報の提供のあり方が取りざたされています。このコラムをご覧いただいている先生の中にも「医師でもない輩が適当なことを書いた記事なんて論外だ」とお怒りの方がいらっしゃるかもしれません。しかし、原稿をしたためる人物がたとえ権威ある高名な医師だったとしても、こと医療広告に関しては何を書いても許されるというわけではありません。適切な内容であるかどうか、医療法の広告規制に照らし合わせる必要があるのです。それは医療が一般的な製品とは異なり、命や身体に関わるサービスであり、高い専門性ゆえに患者がその質について判断することも難しいものだからです。
クリニックを開業し経営していくにあたっては、内覧会を開く際や開院する際、また増患のためテコ入れをする際など、広告に関わる機会が多々あることでしょう。そのとき問題のある表現を使用してしまわないよう、今回のコラムでは事例をあげてお伝えしていきます。
主観的過ぎる表現や、治療効果を謳う表現は禁止
「グルメ雑誌○○に取り上げられました!」というアピールを、飲食店などで時おり見かけることがあります。これをクリニックが、新聞折込チラシ等でやるのは問題ないでしょうか? たとえば「病院口コミサイト○○で、受診したいクリニックTOP10に選ばれました!」などという宣伝文句を広告チラシに掲載する場合、とお考えください。「選ばれたことが事実であればOK」と考えた先生がいらっしゃるかもしれませんが、この表現は禁止されています。TOP10という評価自体が口コミ投稿者の主観的判断に過ぎないためです。これがサイトではなく雑誌において高評価を得た場合でも同様で、広告に求められる客観性に欠けると見なされます。
ではクリニックが得意とする治療法について、「患者さまのうち9割以上に効果がありました」などと客観的な実績数を述べた上で広告するのは許されるでしょうか? 残念ながらこの表現もNGです。そもそも治療効果に関する表現が禁止されているのです。治療による効果というものは、当然患者それぞれの状態によって異なるもの。よって医師が個別に患者へ説明すべき事柄であり、広告表現としては適さないと考えられています。
広告できる表現であっても条件付きの場合も
クリニックに設置している医療機器をアピールしたい場合はどうでしょうか。もし競合クリニックに先立って機器を導入したのであれば院長としてはぜひとも宣伝したいところでしょう。嬉しいことにこちらは広告可能です。ただし、薬機法(旧薬事法)において承認済みの機器でなければいけませんし、承認済みであっても表記できるのはメーカー名まで。機器を特定できる販売名や形式番号については記載が規制されています。もちろん先ほどお伝えしたように、効果を謳うこともできません。
条件付きで可能な広告としては、もう一つ自由診療があげられます。眼科のレーシック手術や歯科のインプラント治療などの自由診療については、公的医療保険が適応されないことと、診療にかかる標準的な費用が併記されていれば広告しても良いことになっています。ただし、こちらも承認済みの医療機器を用いる場合のみです。
まだまだ規制は多岐にわたりますが、今回は医療法の広告規制に関連した「医療広告ガイドライン」(厚生労働省発表)より「広告できるのかできないのか」迷いそうな事例をピックアップしました。すべてをご紹介することはできないため、さらに詳しく調べたい方は厚生労働省のホームページをご覧になって下さい。医療広告の相談窓口一覧も掲載してあり、一見の価値有りです。
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