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診療報酬・調剤報酬 医師 事務長 2024.03.15 公開

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2024年度診療報酬改定が答申。個別改定項目を解説

2月14日に行われた中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で、2024年度診療報酬改定の答申が行われ、改定項目の概要が明らかになりました。本コンテンツでは、主にクリニックにおいて重要と考えられる改定項目について、わかりやすく解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策

目次

改定の基本方針

2024年度診療報酬改定が答申。個別改定項目を解説

12月11日の社会保障審議会(社保審)の医療部会で2024年度診療報酬改定の「基本方針」が決定しました。
改定に当たっての基本認識としては、①物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応、②全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応、③医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現、④社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和の4点が示されています。

改定率

また、改定率については、12月20日に予算大臣折衝が行われ、診療報酬本体が+0.88%、薬価等が▲1%、全体では▲0.12%となりました。各科の改定率は、医科が+0.52%、歯科が+0.57%、調剤が+0.16%となっています。
「診療報酬本体」いわゆる技術料については、その内訳として、①40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置分として、+0.28%程度。②看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種について、2024年度にベア2.5%、2025年度にベア2.0%を実施していくための特例的な対応として、+0.61%。③入院時の食費基準額の引き上げ(1食当たり30円)の対応として+0.06%。④生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編等の効率化・適正化として▲0.25%が計上されています。

個別改定項目

2月14日に行われた中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で、2024年度診療報酬改定の答申が行われました。答申により、改定項目がほぼ出そろったことになります。そこで、主にクリニックにおいて重要と考えられる改定項目に絞り、解説します。

外来・在宅ベースアップ評価料の新設

外来医療または在宅医療を実施している医療機関(医科)において、勤務する看護職員、薬剤師その他の医療関係職種の賃金の改善を実施している場合の評価として「外来・在宅ベースアップ評価料」が新設されます。初診時に6点、再診時に2点、訪問診療時の同一建物居住者以外の場合は28点、同一建物居住者の場合は7点となります。
算定に当たっては、事前に地方厚生局長等に届け出たうえで、主として医療に従事する職員の賃金の改善を図る体制を整えた場合に、算定できるとしています。施設基準については、主として医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く)が勤務していること。専ら事務作業(医師事務作業補助者、看護補助者等が医療を専門とする職員の補助として行う事務作業を除く)を行うものは含まれないとされています。評価料を算定する場合は、2024年度及び2025年度において定期昇給を除き、対象職員の賃金の改善を実施する必要があります。2024年度及び2025年度における保険医療機関に勤務する職員の賃金の改善に係る計画を作成し、計画に基づく職員の賃金の改善に係る状況について、定期的に地方厚生局長等に報告することを求めています。
また、ベースアップ評価料(Ⅰ)では、賃上げが十分ではない医療機関への救済措置として、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」が新設されます。初診又は訪問診療を行った場合は8点、再診時は1点となりますが、同点数は8段階に区分されており、最大で初診又は訪問診療を行った場合は64点、再診時は8点となります。算定要件については、事前に地方厚生局長等に届け出たうえで、主として医療に従事する職員の賃金の改善を図る体制を整えた場合に、外来患者に対して診療を行った際に、基準に係る区分(8段階)に従い、それぞれ所定点数を算定するとしています。こちらの点数の算定には、計算式が用意されており、対象職員の賃金の平均と、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の算定見込み、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定見込みにより計算し、値がゼロ以上で算定可能としています。
今回の試み(外来・在宅ベースアップ評価料Ⅱ)により、定期的に変更が可能な点数が創設されたことになり、結果として賃金を他業界に比べても遜色のない水準に引き上げることができるか、今後の動向に注目する必要があります。

初再診料の引き上げ

初再診料の引き上げについても、外来診療において標準的な感染防止対策を日常的に講じることが必要となっていること、職員の賃上げを実施すること等の観点から、初診料を3点、再診料を2点引き上げるとしています。

医療DXの評価

医療情報・システム基盤整備体制充実加算については、オンライン資格確認導入が2023年4月に原則義務化されたことを踏まえ、体制整備に係る評価から、情報取得・活用にかかる評価へ変更され、名称も「医療情報取得加算」に見直されています。
また、オンライン資格確認により取得した診療情報・薬剤情報を実際に診療に活用可能な体制を整備し、電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービスを導入し、質の高い医療を提供するため医療DXに対応する体制を確保している場合の評価として、「医療DX推進体制整備加算(8点)」を新設するとしています。なお、電子処方箋ならびに電子カルテ情報共有サービス、マイナ保険証の実績については経過措置が設けられています。
さらに、2024年6月から居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムが開始予定であり、併せて電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスを活用することにより、質の高い医療を提供することを目的に、「在宅医療DX情報活用加算(10点)」が新設されます。

情報通信機器を用いた診療に係る評価

閉塞性無呼吸症候群に対する持続陽圧呼吸(CPAP)療法を実施する際の基準を踏まえ、「在宅持続陽圧呼吸療法指導管理」について、情報通信機器を用いた診療を実施した場合の評価(218点)を新設するとしています。
また、「小児特定疾患カウンセリング料」についても、発達障害等、児童思春期の精神疾患の支援を充実する観点から、カウンセリングの実態を踏まえ、要件及び評価を見直すとともに、情報通信機器を用いた診療を実施した場合の評価を新設するとしています。
さらに、「情報通信機器を用いた精神療法に係る指針」を踏まえ、「通院精神療法」について、情報通信機器を用いて行った場合の評価が新設されるとともに、情報通信機器を用いた診療の初診の場合には向精神薬を処方しないことをホームページ等に掲示していることを要件として追加するとしています。

疾患別リハビリテーション料の実施者別区分の創設

「疾患別リハビリテーション料」については、NDB・DPCデータにより疾患別リハビリテーションの実施者ごとの訓練実態を把握できるように、リハビリテーションを実施した職種ごとの区分が新設されます。その結果、理学療法士、作業療法士、医師、それ以外(柔道整復師)に分けて点数が設定されることとなります。点数自体の変更は行われませんでした。

生活習慣病に係る医学管理料の見直し

生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進する観点から、「生活習慣病管理料」の評価及び要件の変更が行われます。「生活習慣病管理料(Ⅰ)」に名称変更され、点数も一律40点引き上げられています。算定に当たっての変更点としては、生活習慣病管理料における療養計画書を簡素化するとされ、2025年から運用開始予定の電子カルテ情報共有サービスを活用する場合は、血液検査項目についての記載を不要とするとしています。あわせて、療養計画書について、患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスにおける患者サマリーに、療養計画書の記載事項を入力した場合、療養計画書の作成及び交付をしているものとみなすとしています。その他、生活習慣病の診療実態を踏まえ、少なくとも1月に1回以上の総合的な治療管理を行う要件が廃止されています。
また、検査等を包括しない「生活習慣病管理料(Ⅱ)(333点)」が新設されることになります。加算については、血糖自己測定指導加算(500点)、外来データ提出加算(50点)が設けられています。

特定疾患の対象疾患の見直し

生活習慣病管理料が変更される一方で、「特定疾患療養管理料」の対象疾患から、生活習慣病である糖尿病、脂質異常症及び高血圧を除外するとしています。これは処方料及び処方箋料の「特定疾患処方管理加算」についても同様となります。また、「特定疾患処方管理加算」については、特定疾患処方管理加算1を廃止するとともに、特定疾患処方管理加算2の評価が10点引き下げられています。さらに、特定疾患処方管理加算2については、28日超処方だけではなく、リフィル処方箋を発行した場合も算定を可能となります。

地域包括診療料等の見直し

かかりつけ医機能の評価である「地域包括診療料」および「地域包括診療加算」については、かかりつけ医と介護支援専門員との連携の強化、かかりつけ医の認知症対応力向上、リフィル処方及び長期処方の活用、適切な意思決定支援及び医療DXを推進する観点から、要件及び評価を見直すとしています。変更された新たな要件にすぐに対応することは難しいことから経過措置が設けられています。

外来感染対策向上加算の見直し

「外来感染対策向上加算」については、要件の見直しを行うとともに、加算の届出を行う保険医療機関において、適切な感染防止対策を講じた上で発熱患者等の診療を行った場合の加算(20点)が新設されます。また、外来感染対策向上加算の施設基準における新興感染症発生時の対応に係る要件についても、第8次医療計画における協定締結の類型に合わせて内容が見直されています。

小児かかりつけ診療料の見直し

「小児かかりつけ診療料」については、発達障害を疑う児の診察等を行うこと、不適切な養育にも繋がりうる育児不安等の相談に乗ること、医師が発達障害等に関する適切な研修及び虐待に関する適切な研修を受講していることが望ましいことを要件に追加するとしています。また、新型コロナウイルスの検査の取扱いの変更及び処方等に係る評価体系の見直し等を踏まえ、点数自体も一律で引き上げられています。

在宅医療

介護保険施設等の入所者の病状の急変時に、介護保険施設等の協力医療機関であって、定期的なカンファレンスを実施するなど、平時からの連携体制を構築している医療機関の医師が往診を行った場合の評価として「介護保険施設等連携往診加算(200点)」が新設されます。
「往診料」については、①往診を行う医療機関において訪問診療を行っている患者、②往診を行う医療機関と事前に往診に関する連携体制を構築している他の医療機関において訪問診療を行っている患者、③往診を行う保険医療機関の外来において継続的に診療を受けている患者、④往診を行う医療機関と平時からの連携体制を構築している介護保険施設等に入所している患者に対する往診以外の往診について「緊急の往診」に係る評価を見直すとしています。
「在宅時医学総合管理料」及び「施設入居時等医学総合管理料」については、単一建物診療患者の数が「10人以上19人以下」「20人以上49人以下」「50人以上」の場合の評価が新設されることになり、点数も一律で引き下げられています。一方、他の保険医療機関等の関係職種がICTを用いて記録した患者に係る診療情報等を活用した上で、医師が計画的な医学管理を行った場合の評価として、「在宅医療情報連携加算(100点)」が在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の加算として新設されます。

通院・在宅精神療法の見直し及び早期診療体制充実加算の新設

「通院・在宅精神療法」については、60分以上の精神療法を行った場合は引き上げられ、30分未満の精神療法を行った場合の評価が引き下げられています。30分以上の場合の評価は変更がありませんでした。一方で、精神疾患の早期発見及び症状の評価等の必要な診療を行うにつき十分な体制を有する医療機関が精神療法を行った場合について、通院・在宅精神療法に「早期診療体制充実加算」が新設されています。

処方箋等の見直し

「一般名処方加算」については、医薬品の供給不足の状況が続いていることに鑑み、供給不足等の場合における治療計画の見直しに対応できる体制の整備、患者への説明、院内掲示にかかる要件を新たに設けるとともに、評価が一律3点引き上げられています。また、医療DXの推進による効率的な処方体系の整備が進められていること並びに一般名処方加算、後発医薬品使用体制加算及び外来後発医薬品使用体制加算の見直しに伴い、薬剤情報提供料が6点引き下げられ、処方箋料も一律8点の引き下げとなっています。

検査、処置及び麻酔の見直し

外来診療の実態を踏まえ、効率的な検査、処置及び麻酔の実施を図る観点から、一部の検査、処置及び麻酔の評価を見直すとしています。具体的には、「眼底三次元画像解析」「細隙灯顕微鏡検査(前眼部及び後眼部)」「耳垢栓塞除去(複雑なもの)」「トリガーポイント注射」を見直されています。

まとめ

2月14日に中医協総会で答申が行われたことにより、個別改定項目に点数が入り、大枠が確定しました。3月上旬の告示をもって確定されることになります。今後は、6月の施行に向けて、疑義解釈など通知が出され、不明点等が明らかになっていきます。
2024年度の診療報酬改定は、プラス要素としては、職員の賃上げや医療DXの対応を進めることが重要となり、一方で生活習慣病関連の大幅な見直しや、処方箋料の引き下げなど、多くの診療所にとって影響をもたらすものとなっています。早めに情報を取得し、シミュレーションなどを行いながら、今後の対応を考えていく必要があります。

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