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クリニック開業 医師 2024.03.13 公開

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産婦人科を開業するには?開業資金や年収、成功事例をご紹介

産婦人科・婦人科は、診療方針によって開業の際のポイントが異なります。お産を行う場合には広大な土地や競合院の調査も必要です。本稿では、開業前に知っておきたい注意事項や開業資金、年収をご紹介いたします。また、成功事例は自分がどのようなクリニックを目指すかの参考にお役立てください。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討

目次

1. 産婦人科・婦人科の開業資金・平均年収に関して

(1)開業資金に関して

以下は、産婦人科・婦人科クリニックの投資予算のサンプルです。

産婦人科・婦人科 開業投資予算 サンプル

分 類 項 目 単 価 単位 税 込
不動産 敷金 480,000 6 ヵ月 2,880,000 2,880,000
礼金 480,000 1 ヵ月 480,000 528,000
仲介手数料 480,000 1 ヵ月 480,000 528,000
設計・施工 設計・施工費 550,000 40 22,000,000 24,200,000
看板・サイン 500,000 1 500,000 550,000
医療機器 機器①(超音波検査、コルポスコープ、内診台、診療ユニット) 6,500,000 1 6,500,000 7,150,000
機器②(分娩監視装置、全自動血圧計、バルスオキシメーター、血球測定器) 3,000,000 1 3,000,000 3,300,000
その他(AED、滅菌機、その他) 600,000 1 600,000 660,000
システム 電子カルテ 3,000,000 1 3,000,000 3,300,000
WEB予約システム 800,000 1 800,000 880,000
家具・家電 家具・家電(PC含む) 2,500,000 1 2,500,000 2,750,000
採用 採用経費 200,000 1 200,000 220,000
マーケティング ホームページ制作 1,000,000 1 1,000,000 1,100,000
開業前各種広告費用 2,000,000 1 2,000,000 2,200,000
資材等 ロゴマーク作成 100,000 1 100,000 110,000
名刺 50,000 1 50,000 55,000
パンフレット 300,000 1 300,000 330,000
診察券 50,000 1 50,000 55,000
封筒 50,000 1 50,000 55,000
研修時人件費 研修時人件費 100,000 5 500,000 550,000
行政手続き 社労士(労働保険、社会保険) 100,000 1 100,000 110,000
行政書士(開設届関係) 200,000 1 200,000 220,000
その他 雑費(薬品、備品、ユニフォーム等) 1,500,000 1 1,500,000 1,650,000
48,790,000 53,381,000

(C)株式会社G.C FACTORY調べ
※医師会入会費に関しては地域差があるのと、入らない先生もいるので外しています。
※各医療機器の価格はあくまでも参考価格となり、実際は購入のタイミングやメーカーの選定によって変動します。
※機器の括りに関しては特別な意図はありません。

前提条件を「テナント開業」「40坪(坪単価12,000円)」「医師1名」「お産無し」「中絶手術なし」と仮置きして作成をしています。産婦人科・婦人科は、お産や不妊治療をどこまで行うかによって大きく予算が変わってきます。お産ができるようにするには、病床を確保した建物にする必要があり、投資予算が大きく上がります。不妊治療もタイミング法などの一般不妊治療までなのか、高度生殖医療まで行うのかで大きく異なってきます。高額なものを一切行わないしても、若い女性も多く来院する診療科目ですので内装や家具への配慮は必要です。

(2)平均年収に関して

次に平均年収に関してです。まず出典の統計データだと入院収益ありで8,494万円、入院収益なしで1,834万円(※1)となっています。やはり入院収益がある方が高くなっています。参考値として記載をしておりますが、もちろん統計値に過ぎず、当然全ての入院収益ありの産婦人科が上手くいっているわけではありません。投資やランニングコストが高いため、仮にお産を獲得できずに空床が続くと、その分赤字の幅も大きくなるので注意が必要です。

※1…中央社会保険医療協議会「第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告-令和元年実施- p.149〜151(PDF)

2. 産婦人科・婦人科の開業ポイント

では、各開業工程におけるポイントを記載します。

(1)立地の選定

  • お産を行う場合は、大きい建物と土地が必要になってきますので、都心の一等地などよりも静かで駐車場なども確保できる場所が適しています。
  • 地域の産科の不足具合や競合院のお産の件数などを調べて開業することも必要です。
  • お産をやらずに、婦人科外来をメインとする場合は、都心の物件や駅の近くなど多少狭くても良いので好立地の場所が向いています。
  • 緊急時に備えて、院長の家の近くに開業をする先生も多いです。
  • 婦人科健診や検査などにおいて、MRI・CT・マンモグラフィーが必要になることもあります。その際に自院で確保しない場合は、連携先の目星をつけておく必要があります。

(2)内装

  • 産科の有無で大きく変わります。産科と婦人科の両方を行う場合は、同伴者の男性が立ち入るエリアとピルなどの外来のみのエリアとを分けるクリニックもあります。
  • トイレやパウダールームは設備が充実しているところが多いです。
  • 重い機械を入れる際には搬入経路と耐荷重の確認が必要です。
  • 産科を行う場合は、ベッドやストレッチャーの寸法と廊下や入口の幅に留意をして移動も可能なようにする配慮が必要です。
  • 婦人科の場合、診療内容にもよりますが、基本的にプライバシーに配慮をして窓や入口がガラスの場合には中が見えないようにしたり、待合のイスも患者さん同士が向き合ったりしないようにする工夫が必要です。
  • 防音や密閉にも特に配慮が必要な診療科目と言えます。

(3)採用

  • 看護師と医療事務を採用しているクリニックがほとんどです。
  • お産を行う場合は助産師も採用します。
  • 調理師を雇ったり、栄養士が栄養指導をしていたりする場合もあります。

(4)マーケティング

  • 産婦人科も一般婦人科もマーケティングにかかる費用が高くなる傾向にあります。
  • 対象となる患者さんが若い女性が多いため、通常の広告や看板に加えて、SNSの活用やクリニックチャンネルの作成なども必要です。
  • 産婦人科においては、院内の内装や雰囲気が伝わる写真をプロに撮影してもらい、ホームページで掲載するなども有効です。
  • またホームページに口コミなどを書いてもらった際には良い意見には御礼を、悪い意見にはお詫びと改善策を返答するなど、評判や対応に配慮が必要となります。
産婦人科を開業するには?開業資金や年収、成功事例をご紹介

3. 実際にうまくいった医師の成功事例

以下に、産婦人科・婦人科として成功されている先生の事例を記載します。

(1)美容との組み合わせ

  • 都内で、大変盛況の婦人科クリニック
  • 婦人科の患者さんの中に、美容には興味があるが、忙しくてあまり行けない方や美容皮膚科のクリニックには抵抗があるという方がいることを知り、知り合いの美容皮膚科の医師に非常勤できてもらい、基本的なレーザーやドクターコスメを取りそろえ、院内で宣伝を実施
  • 本来は集患に大変なコストがかかる美容皮膚科の領域ですが、院内の女性患者さんにお伝えすることでマーケティング費を抑えつつ、かつ患者さんとしても気軽に利用できることから収益の向上に成功

(2)オンライン診療との組み合わせ

  • 郊外の婦人科クリニック
  • 新型コロナウイルスの影響で外来が落ち込んだことが理由で、オンライン診療を活用開始
  • 元々来院していた人の利便性が上がるだけでなく、ピルやモーニングアフターピルなどで新規に活用する人も増加
  • 結果的にオンラインで診療をした人も、クリニックの近くに住んでいる人は別の疾患の際に来院するようになり、売上増加に繋がる

4. まとめ

産婦人科・婦人科は、お産・中絶・不妊治療の有無によって大きく変わりますので、一概にまとめるのは難しいですが、若い女性が患者層の割合が他の診療科目より多いという点はマーケティング手法において配慮が必要です。また、不妊治療などだけではなく、自由診療やオンライン診療など、選択肢は多いので、医療機器などの必要投資と開業地の立地や競合も踏まえた方針検討が必要になります。

著作情報

金子 隆一

株式会社G.C FACTORY 代表取締役
https://ma.gcf.co.jp/

コンサルタントとして、医療機関のM&A、開業、運営支援において累計100件以上の実績を有する。クライアントの問題解決に励むと同時に、都内の大規模在宅支援診療所のバックオフィス業務の設計及び実行責任者を兼任している。

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