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クリニック・薬局経営コラム

オンライン資格確認に伴うレセプト振替機能解説

オンライン資格確認が、2021年10月より本格的に運用開始となりました。オンライン資格確認では、医療事務の業務負担の軽減と効率化、未収金の削減などが期待されています。今回の記事では、オンライン資格確認の導入にともなうレセプト振替・分割機能について解説します。

2021年10月に本格運用となったオンライン資格確認とは

オンライン資格確認は、マイナンバーカードのICチップまたは現在の健康保険証の記号・番号を利用して、医療機関や窓口で患者の保険資格情報を確認する仕組みです。従来すべて手作業で行っていた医療保険の入力・確認作業の効率化・正確化を目的とし導入されました。

オンライン資格確認では、クリニックに以下のようなメリットがあります。
① クリニックの窓口で、患者の直近の資格情報など(加入している医療保険や自己負担限度額等)の確認が可能
②期限切れの保険証による受診で発生する過誤請求や、手入力による事務コストを削減
③マイナンバーカードを用いた本人確認により、医療機関や薬局で特定健診情報や薬剤情報の閲覧が可能
④特定検診等情報や薬剤情報を確認でき、紹介状の補助方法として活用可能

患者側には、以下のようなメリットがあります。
①別の医療機関へ受診時も、病気や治療の情報を引き継げる
②旅行先での急病や被災時に、別の医療機関で処方や治療を受けられる
③限度額適用認定証の申請なしで限度額情報を取得できるため、窓口で限度額以上を支払う必要がなくなる
④お薬手帳を持参しなくても薬の飲み合わせや重複投与をチェックしてもらえる

オンライン資格確認は、クリニック・患者双方にメリットの大きい施策として、国をあげて導入が推奨されています。詳細については以下の記事も参考にしてください。

オンライン資格確認とは?導入するメリット・注意点などを解説
オンライン資格確認をいま始めるべき理由とは?
クリニックの待ち時間を減らす電子カルテとオンライン資格確認の導入

オンライン資格確認のレセプト振替・分割機能とは

オンライン資格確認が審査支払機関に導入されたたことで、2021年9月診療(調剤)分以降に提出された電子レセプトのうち、資格変更が判明したものに対して自動で「振替」「分割」される2つの機能が開始されました。

従来、レセプト提出後に審査支払機関で資格喪失や移行などが判明すると、すべて返戻対象となっていました。加えて、返戻には数ヶ月かかるため、患者の受診が途切れているなどして再確認が困難なケースもありました。

現在は、審査支払機関で資格変更が判明した場合に、レセプトを自動で新資格に振替または分割できるようになりました。これによりレセプト返戻数の減少ならびに事務コストの軽減が期待されています。これは、電子レセプトであれば恩恵を受けられる機能で、医療機関にオンライン資格確認を導入しているかどうかは問いません。

ただし、電子レセプトの振替・分割機能によって100%レセプト返戻がなくなるわけではありません。振替・分割機能の対象となるのは、受診日時点では資格を喪失していても、審査支払機関での資格確認時点で新しい資格がある場合に限ります。

審査支払機関での資格確認時点で新しい資格がなく、被保険者証がすでに回収されていた場合はレセプトが返戻されるので注意が必要です。

厚生労働省「【オンライン資格確認】レセプト振替・分割に係る概要」

出典:厚生労働省「【オンライン資格確認】レセプト振替・分割に係る概要」

振替と分割機能の違い

レセプトが振替されるか分割されるかは、当該月の算定日などの情報がすべて新資格に変更されているか、新旧の資格をまたぐかで決定します。すべて新資格に変更されたレセプトは振替対象です。一方、新旧の資格をまたぐレセプトは分割対象となり、新旧の保険者に分割されて送付されます。

なお、振替・分割レセプトが社保から国保に変更となっているケースでは、支払基金と国保連合の間でレセプトを交換するため、クリニックでは特別な事務手続きは不要です。

レセプト振替・分割機能の注意事項

新しい資格が判明していてもレセプト振替・分割できず、保険者への請求後返戻されるケースがあります。具体的には、以下のレセプトです。

レセプト振替・分割機能の注意事項

また、特記事項が記載されている事例についても、保険者へ請求後に返戻となる場合があります。

レセプト振替・分割機能の注意事項

出典:厚生労働省「【オンライン資格確認】レセプト振替・分割に係る概要」

資格過誤によるレセプト返戻は年間約500万件以上

レセプト返戻には2種類あり、保険者の申出により返戻される再審査請求分と、審査支払機関から返戻されるものがあります。厚生労働省によると、2014年に審査支払機関から返戻されたレセプトのうち、資格過誤によるものは年間約500万件にのぼりました。レセプト返戻への対応が医療事務の大きな負担となっていることがうかがえます。

これまでは、クリニックが返戻レセプトを受領したあとは、患者が再度受診した際に最新の資格情報を確認し、判明した場合は再申請を行っていました。しかし患者が再受診しないなどの理由により最新の資格情報がわからない場合には、クリニックから患者へ電話や文書での確認を行わなければなりませんでした。

さらに、それでも最新の資格情報が判明しない場合は、再申請できずに未収金が発生することもあったのです。

資格過誤によるレセプト返戻は年間約500万件以上

出典:厚生労働省「健康保険証の資格確認がオンラインで可能となります」

医療事務への負担

厚生労働省が行った「資格過誤に関わる業務量調査」によると、資格過誤における医療機関の業務量を以下のように推計しています。

医療事務への負担

※1:図表内の件数及び作業時間の値は四捨五入の上、表記している。業務量の推計値は四捨五入前の件数及び作業時間を乗じて算定した値のため、図表内の数値を用いて算定した値とは一致しない場合がある。
※2:労働時間:8 時間/日、労働日数:20日/月、1人年/年:1920時間として、人年/年の単位に換算した。

出典:厚生労働省「医療保険制度における社会保障・税番号制度の活用に 関する調査研究事業」 報告書(抄)

一件にかかる時間は、数分から10分程度かもしれませんが、医療機関全体では年間で数百万件ともなり、膨大な業務量です。レセプト返戻には期限もあり、患者数が多くなるほど医事業務の負担は大きくなります。

しかし今後、電子レセプトであればこれらの業務の一部は自動で新資格への振替・分割が行われるため不要となります。さらにクリニックへオンライン資格確認を導入すれば、クリニックの窓口で資格喪失が確認でき、その場で患者に新資格の有無を聞くことができるため、さらに返戻の数が減らせると期待されています。

本記事のポイント

1.審査支払機関にオンライン資格確認が導入されたことで、電子レセプトの振替・分割が可能となり、レセプト返戻が減る
2.新資格が不明なレセプト及び、振替・分割対象外の電子レセプトの場合は、これまでと同様レセプト返戻が発生するケースがある
3.クリニックでオンライン資格確認を導入することで、その場で資格喪失がわかるため、レセプト返戻がさらに減らせる

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