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クリニック開業 医師 事務長 2025.11.14 公開

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【開業前必読】開業医の廃業率と潰れるクリニックの特徴・対策まとめ

開業を検討する中で、クリニックの閉院に関するニュースを目にして不安を感じていませんか。実際に2025年上半期の病院・クリニックの倒産件数は21件と増加傾向にあり、とくに中堅規模以上の医療機関で経営悪化が深刻化しています。しかし、患者さんに自院を選んでもらうための集患対策や、開業時の診療圏分析などで勤務医よりも年収を上げながら運営することは十分可能です。 本記事では、最新の倒産データをもとに閉院するクリニックが増えている現状、開業医が閉院する具体的な理由、そして閉院させないための対策を解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業直後の悩み #事業計画

目次

閉院するクリニックが増えている

東京商工リサーチの調査によると、2025年上半期(1-6月)の病院・クリニックの倒産件数は21件に達し、前年同期比16.6%増加しました。コロナ禍以降5年連続で前年同期を上回る結果です。

とくに注目すべきは、20床以上の病院の倒産が8件と前年同期の2.6倍に急増している点でしょう。従業員50人以上300人未満の中堅規模が6件、従業員300人以上の大規模病院も2件含まれており、地域医療の中核を担う医療機関の経営悪化が深刻化している状況が明らかになりました。

倒産の背景には、コロナ禍で利用したゼロゼロ融資の返済開始時期を迎えたことに加え、診療報酬の上昇が物価高に追いつかないことなどが挙げられます。地域によっては人口減少に伴う患者数の減少も重なり、医療空白エリアが増える可能性も現実味を帯びている状況といえます。

閉院するクリニックが増えている
出典:株式会社東京商工リサーチ「2025年上半期20床以上の病院倒産が急増 「病院・クリニック」倒産21件、5年連続で前年同期を上回る」(2025年7月26日)
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201592_1527.html

開業医が閉院する理由

開業医が閉院を決意する主な理由は、院長先生の高齢化による後継者不足、経営悪化による存続困難、そして経営難からの転職です。潰れるクリニックの特徴ともいえるでしょう。以下では、具体的な閉院理由を詳しく解説します。

(1)院長の高齢化で後継者がいない

多くの開業医は70歳を超えると引退を考え始めますが、その時点から後継者を探しても簡単には見つかりません。とくに子どもが医師の場合、いずれは継承してくれると期待していても自分のキャリアを優先したいなどの理由で、継承を断られるケースが散見されます。

2025年上半期のデータでも、理事長や院長先生の高齢化が医療機関の課題として指摘されています。後継者が見つからないまま閉院せざるを得ない状況に陥る医療機関が増えているのが実態です。早い段階から後継者計画を立て、第三者承継も視野に入れた準備が必要でしょう。

(2)経営が悪化し存続が困難

1985年の医療法改正以降、無床クリニックが急増し当時は積極的な情報発信をしなくても地域のかかりつけ医として患者さんが集まり、経営は安定していました。

しかし、現在の医療環境は大きく変化しています。2025年上半期のデータでは、診療報酬が人件費や電気代、備品・消耗品などの物価上昇に追いつかず、コストと診療報酬のバランスが崩れている状況が明らかになりました。

ホームページやSNSによる情報発信がない、待ち時間が長いなどの理由で患者さんが離れてしまうと、収支バランスが崩れてしまい回復させるのは至難の業です。

また、患者さんの来ないクリニックはスタッフのモチベーションも下がります。「今までと同じやり方で大丈夫」と考えていると、取り返しのつかない状態に陥るリスクが高まるでしょう。

(3)経営難で転職する

開業後も患者数が増えず医療収支が赤字続きの場合、非常勤勤務で収入を補う医師もいます。そのまま黒字化の見通しが立たなければ、勤務医への復帰や別の働き方への転職を検討する必要があるでしょう。

とくに医師が院長先生一人のクリニックで、事務長やスタッフに業務を委任できていない場合、院長先生が仕事を抱え込み、休みも取れずに長時間勤務が続いて限界を迎えてしまいます。

院長先生自身の心身の不調や家庭の事情により経営継続が困難になり、転職を選択して閉院するケースは他人事ではなくなっています。

閉院させないための対策

閉院は倒産とは異なりますが、廃業手続き・医療機器の処分・不動産の原状回復・従業員への退職金支払いなど、さまざまなコストが発生します。

近年、地域医療の中核を担う医療機関の倒産が増加しており、医療空白エリアの拡大が懸念されます。しかし、できる対策は特別なことではありません。ここからは具体的な対策について解説します。

なお、時代に求められるクリニック運営の参考資料も用意しています。開業医の生の声が含まれているため、ぜひご活用ください。

無料ダウンロードはこちらから:これからのクリニック開業戦略 ~開業医から学ぶ5つの対策~

(1)第三者に医療承継する

開業医の多くは子どもに地域医療を継いでほしいと考えています。しかし、実際には子どもが医学部に進学しなかった・医師になったもののクリニックを継ぐ意思がない・適切な親族の後継者がいないなどのケースも少なくありません。

そこで選択肢として考えられるのが、第三者へのクリニック承継です。近年では中小企業のM&Aが増加しており、クリニックも例外ではありません。

M&Aでクリニックを承継するメリットは以下のとおりです。

  • 専門家のネットワークで後継者を探せる
  • 承継手続きを専門家に任せられる
  • 閉院コストがかからず譲渡益を得られる

閉院コストがかからず譲渡益や営業権を得て引退後の資金を確保できます。地域医療や患者さんとの信頼関係を維持できる点も大きな利点でしょう。後継者不足が深刻化する中、第三者承継は有効な選択肢といえます。

事業承継については、複数の関連記事を用意しているため下記をご参照ください。

医院承継(医院承継・継承開業)の基本から流れ、失敗しないポイントを解説
クリニック(医院)の承継でよくある失敗・トラブルのケースとそれを防ぐ対策内容に関して
承継開業と新規開業どちらがいい?メリット・デメリットを比較

(2)経営を安定させる

閉院を避ける方法の2つ目は、クリニックの経営を安定させることです。保険診療のクリニックでは、毎月の来院患者数が安定すると診療報酬の見込みが立ちます。経費と院長先生の収入分、借入金の返済分を差し引いてもマイナスにならなければ、手元資金は減りません。

経営安定化のポイントは、収益増加と経費削減の2点です。収益を増やすためには、待つだけでなく積極的に情報発信しましょう。情報発信が当たり前になっている現代において、患者さんが求める情報を発信していないクリニックは選ばれにくい状況にあるためです。

発信ツールとしては、ホームページやSNS(LINE公式アカウントやInstagramなど)、チラシなどが挙げられます。具体策は以下の記事でも紹介しているため、参考になさってください。

【軌道に乗せる近道】クリニックの集患に効果的な施策7選を解説

経費削減では全体的なカット率を目指すのではなく、必要な経費と無駄な経費を分け、患者満足や従業員満足につながらない無駄な経費から優先的に減らしていく戦略が効果的です。

より詳しい内容は下記を参照ください。

クリニック・病院経営の赤字を黒字化するにはどんな経費削減が必要? 病院の経費削減のコツとは?具体的な手順も解説

(3)物価高騰に合わせた体制を整備する

2025年上半期のデータが示すように、診療報酬の上昇が人件費や光熱費、備品・消耗品などの物価上昇に追いついていない状況が続いています。このような環境下で経営を維持するには、物価高騰に対応した体制整備が不可欠です。

具体的には、人件費の見直しや業務効率化、診療の幅を広げることで収益源を多様化する対策が考えられます。診療報酬と実際のコストバランスを定期的に見直し、価格転嫁が可能な自費診療の導入も手段の1つです。

対策を効果的に講じるには、次に述べる医療DXの活用が有効です。デジタル技術を活用すれば、コスト削減と収益向上を同時に実現できる可能性が高まります。ただし、人件費の削減は従業員満足度の低下につながる可能性があるため、慎重な判断が必要でしょう。

(4)医療DXを取り入れる

医療DXの導入は、患者さんの利便性向上による集患対策と、業務効率化によるコスト削減の両面でメリットがあります。なぜなら、患者さんの利便性が向上すれば新患の獲得や既存患者さんの定着につながり、収益の安定化が期待できるためです。たとえば、電子カルテを導入すると受付・診察・会計までスムーズに進行できます。

さらに、業務効率化により人件費や時間的コストを削減でき、物価高騰に対応した体制整備にも貢献します。

具体例は以下のとおりです。

  • マイナ保険証で受付業務を効率化
  • オンライン予約システムで待ち時間を削減
  • 自動精算機で会計業務を効率化

システムは初期投資が必要ですが、長期的には人件費削減や患者満足度向上につながり、経営の安定化に寄与するでしょう。

2025年現在、医療DXは単なる選択肢ではなく、クリニック経営を継続するための必須要件となりつつあります。

まとめ

開業医の閉院率は増加しており、物価高騰や人件費増などクリニック運営に向かい風が強い状況が続いています。

しかし、患者さんに自院を選んでもらうための集患対策や、開業時の診療圏分析などで勤務医よりも年収を上げながら運営することは十分可能です。

ご自身の状況で開業すべきかどうかタイミングを見計らっている先生は、開業相談もご検討ください。基本から専門的な内容まで担当スタッフが並走いたします。

お問い合わせはこちらから:新規開業・事業承継・M&A等に関するお問い合わせ

著者情報

武田 直也 様

フリーランスWebライター。18年間、医療事務として合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かしたカルテ監査やDPCデータ分析、クリニカルパスなどの医療情報利活用に精通している。

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