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クリニック開業 医師 事務長 2026.10.29 公開

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医院継承の全体像を解説|確認しておきたいポイントとチェックリスト

開業にあたり、自分らしく取り組める新規開業か、すでにある土台を活かした医院継承かで悩む先生は多いのではないでしょうか。医院継承は費用や準備期間をおさえやすい一方、相場感や注意点を把握しないまま進めると、思わぬ行き違いにつながる場合があります。本記事では医院継承の全体像から新規開業との違い、確認しておきたいポイントを整理しました。最後にはチェックリストも用意しているため、ご自身の状況と照らしあわせながら次の一歩を検討する材料としてご活用ください。

※本内容は公開日時点の情報です

#マネジメント #事業計画 #開業検討

目次

医院継承の全体像

医院継承とは、すでに開業しているクリニックの運営を引き継ぐ方法です。後継者不在に悩む院長先生と、開業先をさがす先生をつなぐ仕組みとして、地域医療の維持に貢献する選択肢といえます。

医院継承の全体像を解説|確認しておきたいポイントとチェックリスト

医院継承の大まかな流れは下記のとおりです。

  • 開業条件の整理
  • 専門家への相談
  • 候補先の検討
  • 契約締結
  • 引き継ぎ

契約後は、保健所や厚生局への届出など行政手続きも並行して進める必要があるため、準備には数か月単位の時間がかかると考えておきましょう。

なお、後継者さがしに苦労している院長先生は多くおられます。帝国データバンクが発表した「医療機関の倒産・休廃業解散動向調査」では、2025年に過去最多の件数を記録しました。最大の要因に「経営者の深刻な高齢化と後継者不足」が挙げられており、難しい実態を表しています。

出典:帝国データバンク「医療機関の倒産・休廃業解散動向調査(2025年)(2026年1月23日発表)」(https://www.tdb.co.jp/report/industry/20260123-iryoukikan2025/)

医院継承は、希望の診療科・地域・時期に合う案件があって成り立ちます。具体的な流れをまとめた資料を用意しているため、ダウンロードのうえご活用ください。

▶医院継承について情報をまとめた資料をダウンロードする(無料)

次の章から新規開業との違いを軸に、医院継承について詳しく見ていきましょう。

新規開業との違い

医院継承を検討する際は、新規開業と比較したうえで判断したい先生もいらっしゃるでしょう。ここでは医院継承のメリット・デメリットと、新規開業と比べた際の特徴を整理してお伝えします。

医院継承のメリット

医院継承の主なメリットは、下表のとおりです。

メリット 詳細・理由
開業資金をおさえやすい

内装や医療機器、土地・建物(所有の場合)を引き継げる場合は、新規開業で必要な工事や機器購入の費用をおさえやすくなる

※ただし、譲渡対価は別途必要

患者基盤を引き継げる
  • 地域の患者さんを引き継げるため、開業初日から来院が見込める場合がある
  • 過去の経営データを参考にできるため、事業計画も現実的な内容にしやすい
準備期間を短縮しやすい 開業地の選定や内外装の設計といった工程を省略できるため、新規開業より準備期間を短くしやすい

理想の医療を早く実現したい先生にとって、大きな魅力といえるでしょう。

医院継承のデメリット・注意点

医院継承は費用や期間の面で利点がある一方、特有の注意点もあります。主な注意点は、下表のとおりです。

デメリット・注意点 詳細・理由
患者層が偏る場合がある 患者層がご自身の領域とマッチしない場合、新規開業と同様に集患へ力を入れる必要が出てくる
人件費が高い場合がある 前院長先生の代から人件費が高めに設定されているケースもあり、収支計画には注意が必要
業務オペレーションの変更が難しい場合がある
  • 既存スタッフとの関係を保ちながら、業務オペレーションを変える必要がある
  • 電子カルテなど新しいシステムを導入する場合は、丁寧な説明と時間をかけた移行が求められる
引き継ぎ期間の確保が必要になる 院長先生交代後もスタッフや患者さんに安心してもらうには、数か月単位で前院長先生と連携しながら引き継ぎを進める姿勢が必要
建物の老朽化リスクがある 建物が老朽化している場合は、修繕や移転に多額の費用がかかる可能性がある

詳しい確認事項は、後の章で紹介します。

なお、メリット・デメリットなど、判断軸や診断チェックリストを設けた記事もご用意しているため、あわせて参考になさってください。

医院継承の相場

医院継承では、既存の設備や内装を引き継げる場合、立地選定や内外装工事にかかる初期投資をおさえやすくなります。

参考として、テナントビル内で新規開業する場合の費用を目安に、継承での違いを表にまとめました。なお、継承では新規開業にはない譲渡対価(継承元へ払う金額などのこと)が加わる点は確認が必要です。

項目 新規開業の目安 継承の場合
テナント契約費用 約360万円 賃貸契約を承継する場合は、条件の確認が必要
内装工事費 約3,600万円

引き継げれば新設は不要

改修・修繕費は別途

医療機器・什器備品 約2,650万円

引き継げれば購入は不要

更新費用は別途

開業準備費用 約750万円 採用・届出・広告などは一部必要
運転資金 約3,000万円 必要(診療報酬入金までの資金)
譲渡対価 - 別途必要。個別に変動

※金額はあくまで目安であり、立地・物件・診療方針によって変動します。

継承における譲渡対価の金額は、クリニックの収益力や資産価値によって大きく変わります。価格を左右する要素には、年間の利益額や建物の価値、内装の状態などが含まれます。

また、譲渡対価には、営業権(患者基盤などの価値にあたる部分)や、建物・医療機器などの有形固定資産に消費税がかかる場合があります(土地は非課税)。税の扱いは譲渡する側の状況によって異なるため、資金計画には税理士への確認も含めておくと安心です。

出典:国税庁「営業の譲渡をした場合の対価の額」(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/14/01.htm)

具体的な金額を確認されたい場合は、お問い合わせください。先生のご状況を伺いながら市場を調査し、次のステップについてサポートいたします。

▶相談・お問い合わせはこちら

医院継承を進める前におさえておきたいポイント

ここでは第三者間・親子間でのポイントと、継承時に確認しておきたい点を紹介します。

第三者間で継承する場合

親族ではない第三者からクリニックを継承する場合の主な確認ポイントは、下表のとおりです。

確認ポイント 理由
資産や負債の全容 過去の診療報酬請求に問題がないか、未払い債務がないかなど、専門家による調査を経たうえで判断する必要がある
医療機器や内装の老朽化
  • 導入時期や修理履歴を確認せずに継承すると、想定外の設備投資が発生する場合がある
  • 建物の耐震性や水回り、電気設備の状態もあわせて確認する
スタッフの引き継ぎ 地域や患者さんを熟知したスタッフが継続して働いてくれれば、業務は円滑に進みやすくなる

親子間で継承する場合

親子間でのクリニック継承の主な確認ポイントは、下表のとおりです。

確認ポイント 理由
相続に関する備え
  • 院長先生に不測の事態が生じた場合、クリニックの資産は相続財産として扱われ、配偶者を含めた相続人全員に分配される可能性がある
  • 土地・建物・医療機器などは早めに特定し、生前贈与や売却といった対策を税理士に相談しながら検討しておく
専門領域の違い 診療科が変わると既存患者さんの通院継続が難しくなるため、事前に他院への紹介など配慮した対応を考えておく形が望ましい
診療方針・経営方針の変化への配慮
  • 親子間で診療方針や経営方針が割れる可能性がある
  • 親が経営に関与し続けるケースもあるため、感情的な対立を避けるには、継承前に役割分担を確認しておく

医院継承で確認しておきたい点

医院継承では、契約前後の手続きや準備がつまずきやすいポイントです。とくに、見落としやすい点は下表のとおりです。

確認ポイント 理由
個人クリニックを継承する場合の雇用
  • 個人クリニックでは、院長先生が代わると雇用主も変わる
  • 既存スタッフに継続して働いてもらうには、スタッフ本人の同意を得たうえで、雇用契約を結び直さなければならない
  • 院長先生の交代を急ぎすぎると離職につながるため、引き継ぎ期間を十分に確保し、丁寧に説明する
新規スタッフを採用するタイミング 最終合意の前に破談になるリスクがあるため、採用の時期は、契約の見通しが立ってから慎重に判断する
カルテと個人情報の取り扱い
  • 継承する先生が前院長先生の定めた利用目的の範囲を超えてカルテを利用すると、患者さんから個人情報の利用をやめるよう求められる場合がある
  • カルテの情報は、利用目的を事前に確認したうえで慎重に扱う
契約内容の確認
  • 条件があいまいなまま契約に進むと、譲渡後に想定外の責任を負う場合がある
  • 譲渡対象になる資産の範囲(医療機器、診療材料、カルテなど)も、契約書に明記しておく
  • 弁護士など専門家の確認を経たうえで契約に臨む準備を整える

雇用やカルテ・個人情報の取り扱いについては、弁護士監修のお役立ち資料でも解説しています。あわせてご活用ください。

▶承継開業時に見逃してはいけない4つの法的ポイントをダウンロードする(無料)

確認用チェックリスト

ここまでの内容を踏まえ、医院継承の検討状況を確認できるチェックリストを用意しました。当てはまる項目にチェックを入れ、次の一歩を考える材料としてお役立てください。

チェック項目の多くに印がついた先生は、具体的な情報収集の段階に進むタイミングといえるでしょう。印のつかなかった項目は、必要に応じて特集ページをご活用ください。その際、以下の順で進めると整理しやすくなります。

  • 開業条件(診療科・地域・予算)を整理する
  • 目的に応じたコンテンツで情報を集める

▶特集ページはこちら

▶継承・開業物件情報はこちら

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まとめ

医院継承は、引き継げる設備や既存の患者基盤を活かして、初期投資をおさえやすい開業方法です。相場の考え方や確認しておきたい点を事前につかんでおけば、想定外の行き違いを避けやすくなるでしょう。

医院継承は単なる資産の引き継ぎではなく、地域医療と患者さんの信頼を受け継ぐ役割も担っています。今回のチェックリストをもとに、ご自身に合う開業方法の選択を一歩進めてみてはいかがでしょうか。

著者情報

武田 直也 様

フリーランスWebライター。18年間、医療事務として合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かしたカルテ監査やDPCデータ分析、クリニカルパスなどの医療情報利活用に精通している。

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