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診療圏は都心で半径1〜3km、郊外で半径3〜5km


診療所のマーケティングを考える場合、「診療圏」は重要なテーマです。
外来患者がどのエリアから来るのか、そのエリア内でどの程度のシェアを目指すべきか、競合となる医療機関はどこか、専門医療機関の連携先はどこにすべきか…。これらはいずれも、診療圏を設定することによって、はじめて具体的にイメージできるようになります。
では、診療圏はどれくらいの広さを見込めばよいでしょうか。診療所と病院で若干異なりますが、基本的に外来診療圏を考える場合は、都心部で半径1~3km、郊外で半径3〜5kmを目安としています。
この距離はどのように導き出したのかというと、表を見ていただくとわかります。これは、我々が支援してきた医療機関における、外来患者さんの自宅からの距離別分布です。患者さんの7〜8割が住んでいるエリアは、都心ではだいたい半径1~3km、郊外では半径3km 前後ということがおわかりいただけると思います。
当然、同じ都心でも、オフィス街ではより狭い範囲になり、郊外でも人口密度が低ければ、より広い範囲になります。また、医療機関の特徴によっても異なり、不妊治療や児童精神科、特殊な手術を行う医療機関では、全国から患者さんが来院することがあります。
診療圏を移動時間で考える

この1km、3kmという距離を、別の観点で考察してみましょう。
一般的に患者さんが移動する手段は、徒歩、自転車、自動車のいずれかです。そして、患者さんが体調の悪いときに移動できる時間は、おそらく5分以内が理想、10 分なら何とか、といったところではないかと思います。
徒歩は時速5km(分速80m)、自転車は時速15km(分速250m)、自動車は時速40km(分速666m)とした場合、5分ないし10分で移動できる距離はそれぞれ、徒歩で400m・800m、自転車で1.25km・2.5km、自動車で3.3km・6.6km です。
つまり、都心の1km診療圏は徒歩10分、自転車で5分程度の距離、郊外の3km診療圏は自転車で10分ちょっと、自動車で5分以内の距離になります。
診療圏に基づくマーケティング戦略
診療圏の概念は、さまざまなマーケティング戦略を考えるためのヒントを提供してくれます。
たとえば、診療圏内に住所地がある人の数を住民基本台帳で推定し、そのうち何人が自院の患者さんになっているかという「シェア」の概念です。また、競合としてどこの医療機関を意識すべきかということが明確になります。
さらに、看板や求人広告、チラシの配布といった広告宣伝の「エリア」もある程度決めることができ、効果的・効率的なマーケティング施策を打つことができるようになります。
ちなみに、我々が経験した事例の中で、地元の患者さんが多く来院する医療機関で、診療圏内の住民の7割が最低一度は来院していたという、驚くべきケースもありました。
それぞれの医療機関の診療圏は、患者さんの来院エリアを地図にプロットすることですぐにわかります。しかし、新規開業の場合や、分析に手間がかけられないときは、ここにあげた2つの数値、「1km」と「3km」を意識していただくとよいと思います。
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