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クリニック経営 医師 事務長 2022.12.16 公開

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クリニック経営に必要な労務知識

開業医にとって、スタッフを採用する以上、「労務管理」は重要な業務となります。クリニックを取り巻く経営環境は、少子高齢化に伴う働き手不足や、インターネットの普及、働き方改革などによって大きく変化しています。そこで、クリニック経営に必要な「労務知識」をご紹介します。

※本内容は公開日時点の情報です

#労務管理 #マネジメント

目次

労務管理とは?

「労務管理」とは、看護師や医療事務などスタッフの求人・採用から始まって、人材教育、人事評価、賃金・労働時間の管理といった、組織がスタッフに対して行うすべての管理の総称です。通常は、これらの仕事は人事部が行うのですが、クリニックにはほとんど人事部がありませんので、たいていの場合は院長が兼務することとなります。

求人・採用の変化

「労務管理」について、まず求人・採用から考えていきましょう。近年、少子高齢化の影響で、生産年齢人口(15歳~64歳)が急激に減少しています。その影響は、クリニックにも当然及んでおり、「最近、採用が難しくなった」「求人を出しても人がとれない」という声をよく耳にするようになりました。

また、採用活動は、インターネットの普及が進むことで、ネットメインにシフトしています。多くのクリニックが、自院のサイトに求人ページを用意したり、求人サイトを活用したりするようになりました。さらに、クリニックの口コミを参考に、応募をする人も増えてきており、ネットの口コミが採用活動にも影響をもたらしています。

学生にとっての「働きたいクリニック」

医療事務の専門学校において、「働きたいクリニック(応募したいクリニック)」を聞いたところ、賃金面よりも待遇面を重視する学生が増えているように感じます。例えば、「残業がないクリニック」「有休がとりやすいクリニック」「スタッフ同士が仲の良いクリニック」といったように、明らかに勤務環境を重視するようになっているのです。

クリニックは求人ページにおいて、「働きやすさ」や「人間関係が良好である雰囲気」をしっかりPRする必要があるのす。

これらの変化はネットの普及も当然ありますが、2018年から順次施行されている「働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」が多かれ少なかれ影響しているように感じます。

残業(時間外労働)

「働き方改革関連法」によって、「労働時間の上限規制」が定められています。そもそも労働時間規制の原則は、1日8時間、週40時間です。また、1週間に1日の休日が大原則となります。もし、1日8時間・週40時間を超えて、スタッフに「時間外労働(残業)」をさせる場合は、何の取り決めもないままに働かせることは違法となるため、スタッフとの間に「36(サブロク)協定」を結ぶこととなります。協定書を締結し、それを労働基準監督署に提出すれば、その協定書に書いている範囲内で、労働者に残業をさせることが可能となります。

今回の改正法によって、この36協定を結ぶ場合の上限が定められました。その内容は、時間外労働時間は1カ月45時間、年間360時間を上限とするというものです。

さて、残業の定義ですが、「勤務時間を超える時間」なので、勤務時間が9時~13時、15時~19時(うち1時間休憩)であれば、前後の時間が残業時間にあたります。早く出勤しても、遅くに残っていても、いずれも残業にあたることになるのです。朝の早出は残業にあたらないと考えている方は要注意です。

また、お昼休み等に行われる勉強会・研修会についても、「労働時間は指揮命令下に置かれている時間」という定義に照らし合わせて考える必要があります。例えば、強制参加であったり、受講しないことが業務に支障をきたしたり、レポート提出を義務付けていたりする場合は、賃金支払いの対象となるので要注意です。

有給休暇

「働き方改革関連法」では、10日以上の年次有給休暇が付与されるスタッフに対して、その内の5日について、付与から1年以内に時季を定めることにより有給休暇を与えることが義務化されました。

この義務は、スタッフが自ら有休を取れば、その分は減ります。また、年休(夏休みなど)の計画的付与によって取得された有休日数分についても同じことで、計画的に有休を付与することで、義務を免れることとなります。

この有休ですが、パートタイムやアルバイトでも発生します。労働基準法では、「正社員やパートなどの区別なく、一定の要件を満たした全ての労働者には有休を与える」ことが義務付けられています。有休の付与日数に関するルールは、「就業規則」でしっかり定めておく必要があります。

休憩時間

「働き方改革関連法」では、「事業主は、健康及び福祉を確保するために必要な終業時刻から翌日の始業時刻までの時間の設定(勤務間インターバル)を講ずるように努めなければならない」とされました。このため、夜勤明けの日勤といったような連続勤務が起きないようなシフトを組む必要が出ています。

また、労働基準法では、「労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に与えること」とされています。

クリニックでは、午前中の診察が混雑で押してしまい、午後の診療開始までの時間が無くなるケースが存在します。「午前と午後がくっつく」といわれる現象です。この場合、適切な休憩時間が取得できていませんので、休憩時間をスタッフが順番にとる必要があるのです。

まとめ

  • 少子高齢化の影響で求人・採用が難しくなっている。
  • インターネットの普及で採用方法がネットにシフトし、口コミを参考に。
  • 賃金よりも待遇を重視する学生が増えており、「働きやすさ」をアピールする必要がある。
  • 残業、有休、休憩などについて「働き方改革関連法」に基づく正しい理解が必要。

著者情報

大西 大輔

MICTコンサルティング(株) 代表取締役
大西 大輔 氏

2001年 一橋大学大学院(MBAコース)卒業
2001年 病院経営コンサルティングファーム「 日本経営グループ」入社
2002年 医療IT機器の展示場「メディプラザ」設立
     東京、大阪、福岡の3拠点を管理する統括マネージャーに就任
2016年 独立して「MICTコンサルティング㈱」を設立

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