レセプト業務の流れは?個別指導や査定・返戻を防ぐために知っておきたいポイントを解説
日々の診療に加え、膨大な事務作業に追われている方も多いのではないでしょうか。とくに、自院の経営を支える「レセプト業務」は、ミスが許されない重要な仕事です。しかし、業務が立て込みやすい月末月初に膨大なレセプトを目視チェックするのは限界があります。「記載漏れはないか」「適用外使用に該当しないか」…これらをすべてドクターや不慣れなスタッフだけで完璧にこなすのは、精神的にも時間的にも大きな負担です。何より怖いのは、日常業務の些細な見落としが入金遅れや減額、さらには返還のリスクになっていることに気づけないことです。本記事では、開業医が必ずおさえるべき「レセプト業務の流れ」を解説します。業務の全体像に加えて、現場でよくある困りごとと解決策についても紹介するため、参考になさってください。
※本内容は公開日時点の情報です
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目次
レセプト審査までの流れ

レセプト審査は、診療報酬を受け取るまでに必ず通過するプロセスです。全医療機関共通で毎月1日から月末までの診療内容をまとめ、翌月10日までに審査支払機関へレセプトを提出します。
提出されたレセプトは、審査支払機関で内容の正確性や算定ルールの適合性がチェックされます。審査を通過したレセプトは保険者へ送られ、診療報酬が医療機関へ支払われる仕組みです。
記載ミスや算定漏れがあると返戻や査定の対象となり、修正対応が発生します。スムーズな入金のためには、正確なレセプト作成と期限内提出が欠かせません。
レセプト業務の具体的な流れと作業内容

レセプト業務は、診療情報の入力から審査対応まで順を追って進めていきます。診療報酬の確実な入金のためには、日々の診療や会計など質の高い運用サイクルが必要です。ここでは、レセプトの流れに沿って各業務内容を解説します。
診療情報の入力と確認
診療情報の入力はレセプト業務の起点です。患者さんの保険情報入力から診察内容のカルテ記載まで、一連の流れにおいて正確性が求められます。
入力ミスは後の査定や返戻につながるため、マイナ保険証によるオンライン診療確認や算定のサポート機能が充実したレセコンや電子カルテだと、負担を軽減しながら進められるでしょう。そのほか、日々の業務をマニュアル化し改善する形も、費用をかけずにできる方法として有効です。
レセプトの作成と点検
月末から翌月初旬にかけて、レセプトの作成と点検作業を進めます。レセコン・電子カルテに蓄積された1か月分の診療データをもとに、患者さんごとのレセプトを出力します。出力後は、算定内容と病名との整合性や算定回数の上限超過がないかなど、内容を1件ずつ確認する形が通例です。
とくに初・再診料の算定ミス、検査や処置の重複算定、摘要欄への記載漏れは査定されやすい傾向にあるため重点的なチェックが必要です。なお、診療の都度、簡易的でも点検する体制が整えられると、業務負担を分散しコスト圧縮の部分でも効果を発揮します。
正確なレセプト作成が返戻や査定のリスクを減らし、安定したキャッシュフローにつながります。
審査支払機関への提出と返戻・査定への対応
点検を終えたレセプトは、翌月10日までに審査支払機関へ提出します。提出方法は電子レセプトによるオンライン請求が基本で、紙媒体での送付は2024年3月で終了しました。
提出後、審査支払機関で内容審査が実施され、不備があると返戻または査定の通知が届きます。返戻は記載ミスや必要事項の不足が原因で、修正して再提出すれば請求可能です。一方、査定は算定ルール違反と判断されたもので、該当部分の診療報酬が減額されます。
通知が届いたら内容を確認し、必要に応じて修正や再審査請求の手続きを進めます。入金遅れや減収をおさえるためには、迅速な対応ができる体制を構築するとよいでしょう。
開業医が恐れるレセプトの「3つのリスク」
レセプト業務には、医療機関の経営を揺るがす「返戻」「査定」「新規個別指導」の3つのリスクが潜んでいます。
各リスクは、知識不足や確認漏れが原因で起きるケースが多く、ベテランスタッフの経験に依存した運用体制ほど顕在化しやすい傾向があります。適切な対策を講じれば回避できる部分でもあるため、以下で内容と対応方法を解説します。
返戻とは:入金遅れの原因
返戻とは、審査支払機関がレセプトの記載内容に不備を発見し、医療機関へ差し戻す処理です。
保険証の記載ミス、病名と診療行為の不整合、摘要欄への必要事項の記載漏れなどが返戻の主な原因して挙げられます。たとえば、患者さんの保険番号が誤っている場合や、特定の処置に必要なコメントが摘要欄に記載されていない場合は返戻対象です。
返戻が発生すると、通常であれば診療の翌月に確定する収入が少なくとも1か月遅れます。4月に実施した診療の報酬は5月に請求し6月に入金されるはずが、返戻により7月以降にずれ込んでしまいます。収入の遅れはキャッシュフローを圧迫し、とくに、開業間もないクリニックでは資金繰りを困難にするリスクです。
返戻対応には内容確認や修正作業、再提出手続きに時間と労力が必要で、担当者が不慣れな場合は人数と時間がかさんでしまうでしょう。
返戻を受け取ったら、通知内容を確認して該当箇所を修正し、速やかに再提出する必要があります。日頃から正確な入力と提出前の点検を徹底すれば、返戻のリスクを減らせます。
レセプト返戻へすぐできる対策をまとめた記事もあるため、運用の参考になさってください。
関連記事:【経営に直結】レセプト返戻による影響とすぐできる対策を解説!
査定とは:売上の減額
査定とは、審査支払機関がレセプトの算定内容を審査し、不適切と判断した部分の診療報酬を減額する処理です。
算定回数の上限超過や病名に対して不必要と判断された検査や投薬、算定ルールに適合しない処置などは査定対象です。たとえば、風邪の診断で高額な画像検査を実施した場合や、算定期間の制限を超えて同じ処置を繰り返した場合は査定されるリスクが高まります。
査定されると該当部分の報酬が支払われないため、その分だけ収入は減少します。返戻と異なり、査定は再提出しても認められないケースが多く、売上への影響が直接的です。
査定が続く状況を放置すれば、経営を圧迫し続けます。適切な病名登録と算定ルールの理解が、査定を防ぐポイントとなります。
査定対策含めたレセプト請求ガイドを用意しているため、以下リンクから手元資料としてご活用ください。
資料のダウンロード(無料)はこちらから:レセプト請求ガイド 返戻・査定を減らすためのレセプト請求の攻略
新規個別指導とは:開業1年目の山場
新規個別指導とは、保険医療機関として新規に指定された医療機関を対象に、厚生局が実施する指導です。開業後おおむね1年以内に実施され、診療報酬の請求状況やカルテ記載の適切性などが審査されます。
実際の指導は、過去数か月分のレセプトとカルテを照合し、算定ルールの理解度や記録の正確性などの確認が焦点です。不適切な請求が見つかった場合、返還請求や改善指導の対象となり、悪質と判断されれば保険医療機関の指定取消しにつながる可能性もあります。
開業直後は診療に追われて算定ルールの確認が疎かになりがちですが、新規個別指導を見据えた日々のレセプト管理が求められます。
詳しい対策については関連セミナー動画でも解説しているため、以下リンクからご覧ください。
セミナー視聴はこちらから:開業の意外な落とし穴「新規個別指導」対策
開業医が悩みやすい「レセプト業務の困りごと」Q&A
レセプト業務では、摘要欄のコメント作成に時間がかかる、過去の請求ミスへの対応方法がわからない、スタッフの入力ミスが繰り返されるといった悩みがよく聞かれます。ここでは、レセプト業務につきまとう悩みと解決策をQ&A形式で紹介します。
Q.「摘要欄」のコメント作成を効率化するには?
A. よく使うコメントを定型文として事前に登録しておけば入力手間を削減できます。
レセプト作成で医師の時間を奪うのは、摘要欄へのコメント入力です。特定の処置や検査では、医学的な必要性や実施理由を記載する必要があり、1件ごとに文章を考えて入力すると膨大な時間がかかります。
負担を減らすには、使っているレセコン・電子カルテに搭載されている機能の活用が簡便で効果的です。たとえば、頻出する症例をセット登録することで、自動的にコメントを付与する機能が挙げられます。また、定型文リストを作成し、事務スタッフがコピー&ペーストで処理できるようにする方法でも入力時間を短縮できます。
定型文の整備は初期設定に手間がかかりますが、一度作れば長期的な効率化につながる手段です。
Q.レセプトの取り下げ請求はいつまで遡って行える?
A. 令和2年(2020年)3月診療分までは3年間、令和2年(2020年)4月診療分からは原則5年間が期限です。期限と再請求ルールを確認しましょう。
新規個別指導や適時調査など、請求内容について指摘される前に申し出て取り下げたい場合、いつまで遡って処理できるのか気になるかもしれません。また、他の医師との会話で過去の処置でより高い点数が取れたと知り、今からでも請求し直せるのか疑問に思う場合もあるでしょう。
レセプトの取り下げや再請求の期限は、令和2年(2020年)3月診療分までは3年間、令和2年(2020年)4月診療分からは原則5年間です。現在の診療報酬ルールと異なる場合もあるため、診療月当時のルールとの整合性チェックは必須です。
なお、当月以前の請求を取り下げする際には、審査支払機関への連絡から該当レセプトの特定、修正データの作成、関係書類の提出など事務負担が伴います。複数月分をまとめて処理する場合は、通常業務に影響を及ぼすほど時間と手間がかかる可能性もあるため、日頃から正確な請求を心がけましょう。
Q.スタッフの入力ミスや点検漏れを減らすには?
A. レセコンのチェック機能を活用しましょう。
どれほど優秀なスタッフでも、ヒューマンエラーは防げません。とくに繁忙期や人手不足の時期は、入力ミスや点検漏れが生じやすいタイミングです。
解決手段としては、レセコン・電子カルテの自動チェック機能が効果的です。多くの製品で算定ルール違反や点数の誤り、病名との不整合を自動検出する機能が搭載されており、人の目では見落としがちなミスを発見できます。
また、よく使う詳記コメント(診療の詳細を記載するコメント)などを定型文として登録しておけば、入力の手間とミス自体の軽減が可能です。
ウィーメックスでは、算定をサポートする製品として以下製品を提供しております。
- 医事一体型電子カルテ「Medicom クラウドカルテ」「Medicom-HRf Hybrid Cloud」
- カスタマイズにも対応した医事コンピューター「Medicom-HRf core」
- 圧倒的な処理スピードでレセプト業務の負担を軽減「べてらん君 collaboration Plus」
人材の入れ替わりがあっても一定水準の品質を保てるため、属人化を防ぎながらレセプトの精度維持・向上に貢献します。具体的なシステム選定の一例として、ぜひご検討ください。
【電子カルテ】
クリニック向けクラウド型電子カルテシステム Medicom クラウドカルテ
ハイブリッド型電子カルテシステム(医事一体型)Medicom-HRf Hybrid Cloud【医事コンピューター】
クリニックと共に成長する医事コンピューター Medicom-HRf core【レセプト院内審査支援システム】
レセプト院内審査支援システム べてらん君collaboration Plus
まとめ
レセプト業務は、診療情報の入力から審査対応まで複数の工程があり、期限内に正確な請求をしなければなりません。返戻や査定は入金遅れや減収につながり、新規個別指導は開業医にとって避けられない審査の場です。リスクを減らすには、日々の正確な入力と提出前の点検が欠かせません。
業務の質を維持しながら負担を軽減するには、システム活用が有効です。具体的なシステム選定にあたってはレセプト機能の使いやすさ、開発実績や導入実績を確認しましょう。また、AIによる算定機能のサポートがあるかどうかもチェックすれば、選ぶべきシステムは絞れてきます。
以下のページでは、実際に医事一体型の電子カルテ製品を導入された先生方の声をまとめているため、参考になさってください。
導入事例


