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クリニック経営 医師 事務長 2026.02.18 公開

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【医療従事者の賃上げ】対象は誰で、金額はどうなる?補正予算や診療報酬改定について解説

2026年の賃上げに関する最新スケジュールや支給額の目安、そして複雑な「ベースアップ評価料」をミスなく運用するためのポイントを解説します。2026年度の診療報酬改定で、本体部分が30年ぶりとなる「+3.09%」の水準で引き上げられることが決定しました。さらに政府は、改定を待たずに病院を支援するため、2025年度補正予算による「緊急支援(交付金)」の支給も発表しています。しかし、その原資となる「ベースアップ評価料」などの加算措置は配分ルールが複雑です。そこで本記事では、事務負担を最小限におさえつつ、賃上げ原資を確保するための「システム活用(医事一体型電子カルテ)」のポイントについてご紹介します。

※本内容は公開日時点の情報です

#事業計画 #労務管理 #開業直後の悩み #医療政策

目次

【速報】2025年度補正予算で決まった「医療機関への緊急支援」

近年の物価高騰や賃金上昇により、医療機関の経営環境は厳しさを増しています。たとえば、2024年度の医業利益率は、病院・診療所ともに2023年度よりも悪化しました。

【速報】2025年度補正予算で決まった「医療機関への緊急支援」
【速報】2025年度補正予算で決まった「医療機関への緊急支援」
出典:厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会(第623回)医療機関を取り巻く状況についてP11・P48」(https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001588127.pdf

そこで政府は、2026年6月の診療報酬改定を待たず、医療機関の経営安定と賃上げを支援するための緊急措置「医療・介護等支援パッケージ」を決定しました。

【パッケージの主な内容(計1兆368億円)】

  • 賃上げ・物価上昇対応支援:5,341億円
  • 施設整備の促進に対する支援:462億円
  • 福祉医療機構による優遇融資の実施:804億円
  • 生産性向上に対する支援:200億円
  • 病床数の適正化に対する支援:3,490億円
  • 産科・小児科への支援:72億円
出典:厚生労働省「令和7年度補正予算案の主要施策集 P2」(https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/25hosei/dl/25hosei_20251128_01.pdf

本措置は単なる報酬の引き上げではなく、医療従事者の処遇改善と病院・診療所の経営改善を同時に進める「両軸の支援」として位置づけられています。

病院・診療所ごとの交付金支給額と内訳

支援パッケージのうち、賃上げ・物価高騰対応分として各施設が受け取れる支給単価は以下のとおりです。

施設区分 交付額(合計) 賃金分 物価分 給付ルート
病院 1床あたり 19.5万円 8.4万円 11.1万円 国から直接
有床診療所 1床あたり 8.5万円 7.2万円 1.3万円 都道府県経由
無床診療所 1施設あたり 32.0万円 15.0万円 17.0万円
出典:厚生労働省「令和7年度補正予算案の主要施策集 P4」(https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/25hosei/dl/25hosei_20251128_01.pdf

たとえば19床の有床診療所なら、19床×8.5万円=161.5万円が受け取れる計算です。

【使途の条件と留意点】

賃上げ分(無床診療所なら15万円)については2026年5月までの間、対象職員の賃金水準を低下させないことが条件です。

病院・診療所ごとの交付金支給額と内訳

また、物価高騰対応分(無床診療所なら17万円)は、診療等に必要な光熱水費や医療材料費等の経費に充て、地域医療体制の確保を図ることが目的です。

出典:厚生労働省「令和7年度医療機関等における賃上げ・物価上昇に対する支援事業の実施について P3・P10・P11」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001643278.pdf

対象施設ごとの支援額は?

基本的に、2026年3月1日時点で「ベースアップ評価料」を届出ているすべての診療所が対象です。無床診療所は一律32万円、有床診療所は病床数に応じた金額が支給されます。一方病院に対しては、2026年2月1日時点で「ベースアップ評価料」を届出ていることが前提です。そのうえで、有する機能や実績に応じてさらなる支援が講じられます。

たとえば、救急車の受入件数に応じて加算額が規定されました。病床機能報告の報告数のうち、令和6年度と令和7年度の高いほうを選択できるため、手元に揃えて確認するとよいでしょう。

対象施設ごとの支援額は?
出典:厚生労働省「令和7年度医療機関等における賃上げ・物価上昇に対する支援事業の実施について P6」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001643278.pdf

いつ申請・支給される?2026年前半のスケジュール

2026年1月26日付で、支援事業の実施要項・交付要綱が公表されました。具体的な申請方法や期限は、以下のとおりです。

対象 申請先 申請期限
病院 病院賃上げ支援事業・病院物価支援事業申請システム 2026年5月31日
診療所 未定 未定
出典:厚生労働省「令和7年度 医療機関等における賃上げ・物価上昇支援事業について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_69485.html

診療所については、各都道府県から今後通知される予定です(2026年2月3日時点)。都道府県のホームページや、地域の医師会からの案内を確認しておきましょう。

なお、緊急支援は2026年5月までをカバーし、同年6月に施行される新しい診療報酬体系へと引き継がれる計画です。一時金から恒久的な制度へと、切れ目なく移行する設計がなされています。

2026年度診療報酬改定と「ベースアップ評価料」の仕組み

医療従事者の賃上げを支援する事業から引き継がれる診療報酬が「ベースアップ評価料」です。算定に向けた準備は煩雑になりやすく、算定漏れや査定などのリスクにもなりえます。ここでは、どのような流れでベースアップ評価料へ変わっていくのか、どうすれば算定できるのかを解説します。

診療報酬改定による賃上げはいつから?補正予算との接続を解説

補正予算による一時金が2026年5月まで支給され、6月からは診療報酬による恒久的な引き上げへと移行します。切り替わりのタイミングで空白期間ができないよう「ベースアップ評価料」の届出準備を進めなければなりません。

なお、1か月間の算定実績や1か月あたりの賃金改善見込み額など、継続的な事務作業が必要です。1つの入力ミスが全体に影響するため、手計算では負担が大きくなりやすい点は、体制構築が求められます。

診療報酬改定に関する情報はこれから明確になっていくため、定期的に最新情報を確認しておくと対応漏れを防げます。ワンストップで把握いただける特集ページをご用意しているため、参考になさってください。

「外来・入院ベースアップ評価料」の算定要件

算定要件である職種について、2026年度からは対象職種が拡大しました。従来の職種と追加された職種は以下のとおりです。

(従来の職種)

「外来・入院ベースアップ評価料」の算定要件

(追加された職種)

  • 事務職員
  • 40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師

出典:厚生労働省「診療報酬改定について P1」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001620952.pdf

出典:厚生労働省「令和7年度補正予算案の主要施策集 P4」(https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/25hosei/dl/25hosei_20251128_01.pdf

また、届出には以下の書類が必要です。

「外来・入院ベースアップ評価料」の算定要件

出典:厚生労働省「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)を算定しましょう!」(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001381690.pdf

書類不備があると申請が却下され二度手間になってしまうため、可能な限りダブルチェックを通じた事前確認ができるとよいでしょう。

なお、試算方法や届出書類の書き方などを解説したセミナーをご用意しているため、必要に応じて参考になさってください。

セミナー視聴はこちらから:医療従事者の賃上げ、どう進めたら?実際に計算、申請してみよう

制度改定を乗り切るにはシステムの力が不可欠

今回の改定では、ベースアップ評価料の段階的な引き上げ(2026年度と2027年度で異なる点数)や、物価対応としての初再診診料・入院料の引き上げがなされます。さらには外来データ提出加算の要件化など、事務負担の増加が想定されます。

診療所では専任の事務長がいないケースも多く、院長先生がご自分でレセプトチェックや制度対応を行っている場合、対応しきれないかもしれません。確実に原資を確保するためには、システムの力を活用する方法が確実かつ安全な選択肢と整理できます。

医事一体型で計算を自動化。誤算定・算定漏れをゼロに

レセプトと電子カルテが一体化した「医事一体型の電子カルテシステム」を使えば、レセプト業務の効率化が可能です。たとえば、ウィーメックスが提供しているMedicomシリーズでは、導入いただいたクリニックで「返戻ゼロ」の成果を上げており、負荷のかかる制度改定への対応をバックアップいたします。

面倒な事務作業をシステムに任せることで、院長先生は本来の業務である患者さんと向き合う時間を確保いただけます。

そのほかの導入事例もまとめているため、他院の先生がどのような実感をされているのかの参考になさってください。

導入事例

まとめ|今すぐできる3つのステップ

2026年度は、補正予算による「一時金」と診療報酬改定による「恒久的な評価」が入れ替わる年です。

流れとしては、2025年度補正予算の交付金を申請し、2026年6月からはベースアップ評価料による継続的な収益確保へと移行する形です。以下のステップを参考に、準備を進めてみてはいかがでしょうか。

【今すぐできる3つのステップ】

  • ステップ1:交付金の申請期限を確認
    • 病院は、厚生労働省の特設ページから2026年5月31日までに申請
    • 診療所は、都道府県のホームページまたは地域医師会からの通知で、申請期限と必要書類を確認
  • ステップ2:スタッフ構成と給与総額を整理
    • 現在雇用しているスタッフの職種、常勤・非常勤の別、給与総額を一覧表にまとめておく(交付金申請とベースアップ評価料の届出に必要)
  • ステップ3:計算方法を確認し、今後の対応方法を判断
    • ベースアップ評価料の計算方法を確認し、手計算で対応できるか、それともシステム化が必要かを判断

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著者情報

武田 直也 様

フリーランスWebライター。18年間、医療事務として合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かしたカルテ監査やDPCデータ分析、クリニカルパスなどの医療情報利活用に精通している。

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