《ここがポイント!》
- 厚労省の医師偏在対策推進本部が、偏在是正に向けた経済的インセンティブ策で保険者の協力を求める方向性を示したことに、社会保障審議会医療部会で反発が相次いだ。連合や健保連の委員らは、保険料を目的外使用することへの懸念を表明。
- 一方で、「医師少数区域」での勤務経験を管理者要件とする案にも、病院団体から逆効果を懸念する声が上がった。厚労省は年末までに規制も含めた対策パッケージを策定予定。
~社会保障審議会 医療部会(第110回 9/5)《厚生労働省》~
社会保障審議会の医療部会が5日に開いた会合では、医師の偏在を是正するための経済的なインセンティブで医療保険者の協力を求める方向性が厚生労働省の対策推進本部の論点とされたことに連合の佐保昌一委員(連合総合政策推進局長)などが反発した。
特定の地域や診療科への医師の偏在是正策を検討する厚労省の対策推進本部がこの日に開いた初会合では、経済的インセンティブによる偏在の是正を進めるに当たり、国や地方だけでなく、保険者などにも協力を求めることが論点に盛り込まれた(資料P41参照)。
しかし、医療保険部会の佐保委員は「提供体制の確保(の費用負担)を患者や被保険者に求めることはおかしい。給付と負担に基づく社会保険の原則からしても到底納得いかない」と、釘を刺した。
また、河本滋史委員(健康保険組合連合会専務理事)は「(この論点の)具体的な内容がよく分からない」とした上で、「保険給付以外の目的に保険料を使用することは、保険料を負担する被保険者や事業主に対して正直説明がつかない。現時点では当然賛成できない」と述べた。
井上隆委員(経団連専務理事)も「事業者サイドとしても違和感がある」と指摘した。
厚労省は、経済的なインセンティブと規制的な手法を組み合わせた偏在対策のパッケージを年末までに作る方針で、対策推進本部では「医師少数区域」などでの勤務経験を管理者の要件にする医療機関の大幅な拡大も検討する。
ただ、医療部会では「中小病院には病院長になるなら開業するという医師が多い」「院長を押し付けられるかもしれないから(医師少数区域などでの勤務経験の)認定を受けないという逆インセンティブになりかねない」という指摘が病院団体の委員から相次いだ。
佐保委員は、医師が多い地域では保険医の新規登録を行わないなど、規制強化による対応を求めた。
(資料公表日 2024-09-05/MC plus Daily)
資料:医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案について(報告)(厚生労働省)
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