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コラム:診療科別のクリニック開業ポイント
コラム クリニック開業ポイント

眼科の開業を検討している方へ。資金や開業ポイント、事例に関して

  • 診療科別のクリニック開業ポイント

1. 序文

医療機関の開業と一口に言っても、診療科目によって必要な投資予算や収益モデルも変わってきます。本稿では「眼科」について、開業資金・年収・開業のポイント・事例の記載をします。

2. 眼科の開業資金・平均年収に関して

(1)開業資金に関して

以下は、眼科クリックの投資予算のサンプルです。
眼科 開業投資予算 サンプル

開業投資予算サンプル (C)株式会社G.C FACTORY調べ ※ 医師会入会費に関しては地域差があるのと、入らない先生もいるので外しています。 ※各医療機器の価格はあくまでも参考価格となり、実際は購入のタイミングやメーカーの選定によって変動します。

前提条件を「テナント開業」「40坪(坪単価12,000円)」「医師1名」「手術なし」と仮置きして作成をしています。機械の投資予算について、眼科は新たな技術や機器が次々に生まれるため、なかなか「一般的な例」としてまとめるのが難しい診療科目となります。またレーザー機器は価格も高く、それによって投資予算も変わるため開業前には慎重なコンセプト設計が求められます。
図表には多くの先生が導入をする機器をまとめています。この機器代を加えたものが内装工事の費用となります。眼科は完全な暗室が必要なため、壁を天井まで建て遮光カーテンをかけたり各部屋複数の配線(電気とインターネット回線)を施したりする必要があり、その分はほかの診療科目より高くなる傾向にあります。

(2)平均年収に関して

次に平均年収に関してです。まず、統計データでは、眼科の平均年収は約1,511万円(※1)となっています。こちらは統計値に過ぎないという点と、眼科の場合は上記の通り、機器の選定や主たる医療内容(「結膜炎、ものもらいなどの一般外来」「レーシックやICLなどの近視治療」「緑内障外来」「コンタクトレンズ」「白内障などの日帰り手術」「その他(網膜剝離など)」、またはその組み合わせ)によって収益モデルも変わってくるため、この統計のみで眼科が良いとは言い切れません。実際には、この統計値を超えて所得を得ており、自費診療や手術をうまく獲得して法人化後にグループ展開を行い、所得が5,000万円を超えている場合もあります。

3. 眼科の開業ポイント

次に、各開業工程におけるポイントを記載します。

(1)立地の選定

  • 競合調査は単に診療科目だけではなく、注力領域の確認をすると有効です。

(2)内装

イメージ
  • 目の疾患をお持ちの方が来院されるので、バリアフリーは必須です。
  • 同様に院内掲示の字の大きさや位置、照明の強さや位置まで配慮をすると良いです。
  • 検査室を中心に動線を作る眼科の独特な平面図は、経験のある設計士に頼む必要があります。
  • 新型コロナウイルスの対策としてはもちろんですが、ものもらいの患者さんなども来院されるため消毒や手洗いの数に関しては他科よりも配慮が必要です。
  • 各部屋(特に検査室)は配線の数や容量に注意が必要です。

(3)採用

  • 視能訓練士(ORT)に関しては、合格者総数として2019年の統計で16,199人(※2)です。ただし、こちらは昭和46年の第一回試験からの合格者総数のため、実際にはここから引退した人もいます。看護師が就業している人数で1,218,606人(准看護師を除く)(※3)、理学療法士が昭和41年から現在までの合格者総数で182,893人(※4)であることを考えると、もちろん受け入れる就業場所の総数にも差がありますが、地域によっては視能訓練士の採用に苦労する地域もありそうです。
  • 視能訓練士の報酬は、正規職員で405.7万円(±138.5万円)であり、平均時給は1846.9円(±746.9円)(※5)でした。
  • 実際の開業支援の際には、視能訓練士は知り合いの紹介で採用をする先生が多い印象であるのと、助手の募集の際に、眼科検査員(OMA 現在は廃止された民間資格)の資格者保有者歓迎といった文言を入れている先生もいます。
出典:
※2…公益社団法人 日本視能訓練士協会「視能訓練士とは?
※3…厚生労働省「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 p1
※4…公益社団法人 日本理学療法士協会「統計情報
※5…日本視能訓練士協会「視能訓練士実態調査報告書 2015 p/11

(4)マーケティング

  • 単に認知をするだけではなく、自院がどこを売り出しているのかを明確にするという意味で、WEB広告(リスティング広告や各種ポータルサイトなど)が非常に重要な診療科目です。
  • 同様の意味でホームページの充実は必須とも言えます。
  • 同じ眼科でも得意領域や機器の構成の違うクリニックへ挨拶にいき連携をしている先生もいます。

(5)その他

  • 眼科開業支援のシェアの多くを眼科専門の機器卸やメーカー、コンタクトレンズ会社が持っており、ほかの診療科目では有力な選択肢であるコンサルタントや会計事務所に依頼する場合は眼科の経験の有無を確認するほうがいいでしょう。
  • 院内でのコンタクトレンズの販売をかつては行えず入口を分けるなどの指導がされていましたが、現在はコンタクトレンズの販売が『患者のために、療養の向上を目的として行われるものである場合に限り可能』とされています。(※6)
※6…厚生労働省 事務連絡

4. 実際にうまくいった医師の成功事例

以下に、特徴的な方法によって眼科として成功されている先生の事例を記載します。

(1)コンタクトレンズ店の近隣で開業

  • 開業をした先輩からコンタクトレンズ店や眼鏡店を紹介してもらい、開業計画の有無などを打ち合わせ
  • コンタクトレンズ店からは出店に当たっての市場調査のレポートを共有してもらい開業地選定
  • コンタクトレンズ店が知っている業者などを紹介してもらい、コンサル会社がセカンドオピニオンに付きながら開業準備を実施(この際に役務の提供や金銭的メリットの享受はできないので注意が必要)
  • 診療内容はコンタクトレンズ販売に特化せずに通常の眼科医院としてマーケティングを実施
  • 患者さんの利便性も高く、開業時から盛況

(2)徹底したWEBマーケティングを実施した視力矯正専門クリニック

  • 自費の視力矯正手術に特化した眼科クリニック
  • 専門特化しているため、機器の購入も競合となるクリニックの価格や保証期間などを調査し自院のサービスプランの決定
  • 開業初月から多額マーケティング費用を投下(リスティング広告・ディスプレイ広告・アフィリエイト広告・SNS広告・チラシなど)
  • 視力矯正手術の患者さんにアンケートを実施し、その数値とマーケティングの結果の数字を参照に次月のオペレーションとマーケティングの方針を修正(これを繰り返す)
  • 開業1年半で法人化し分院設立。分院でも本院と同様のオペレーションとマーケティングを展開。本院・分院ともに盛況

5.まとめ

眼科は、同じ「眼科の診療所」としても、ほかの診療科目よりも戦略がより分かれていく診療科目と言えるでしょう。最初にその戦略をしっかりと立ててから、開業地選定(競合調査)→機器選定→平面図作成→開業準備と進めていくことで無駄のない開業ができます。この工程でミスをしなければ、経営においては堅い診療科目と言えるでしょう。

筆者プロフィール

株式会社G.C FACTORY

https://ma.gcf.co.jp/

代表取締役 金子 隆一

コンサルタントとして、医療機関のM&A、開業、運営支援において累計100件以上の実績を有する。クライアントの問題解決に励むと同時に、都内の大規模在宅支援診療所のバックオフィス業務の設計及び実行責任者を兼任している。