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コラム:診療科別のクリニック開業ポイント
コラム クリニック開業ポイント

小児科の開業を検討している方へ。資金や開業ポイント、事例に関して

  • 診療科別のクリニック開業ポイント

1. 序文

医療機関の開業と一口に言っても、診療科目によって必要な投資予算や収益モデルも変わってきます。本稿では「小児科」について、開業資金・年収・開業のポイント・事例の記載をします。

2. 小児科の開業資金・平均年収に関して

(1)開業資金に関して

以下は、小児科クリックの投資予算のサンプルです。
小児科 開業投資予算 サンプル

開業投資予算サンプル (C)株式会社G.C FACTORY調べ ※ 医師会入会費に関しては地域差があるのと、入らない先生もいるので外しています。 ※各医療機器の価格はあくまでも参考価格となり、実際は購入のタイミングやメーカーの選定によって変動します。

前提条件を「テナント開業」「40坪(坪単価12,000円)」「医師1名」「レントゲン設備なし」と仮置きして作成をしています。レントゲンに関しては小児科クリニックの場合必須ではなく、撮影のために時間がかかることから連携先を紹介する先生もいます。
小児科では必ず同伴者(親)がいて、かつベビーカーで来院されることも多いです。また感染隔離室を設けることも多く、成人が対象の内科クリニックよりは広めのテナントにする必要があります。一方で治療や検査に関する機器は最低限でも可能であり、一般的には開業資金は低めと言える診療科です。(上記の表では約4,469万円となっています)

(2)平均年収に関して

次に平均年収に関してです。まず、統計データでは、小児科の平均年収は約3,068万円(※1)となっており、各診療科目の中で一番高い結果となっています。もちろんこちらは統計値に過ぎないという点と、この統計には医療法人が含まれていない点の加味が必要です。そして、こちらの統計は令和元年実施のものであり、新型コロナウイルスの流行が起きた2020年3月以降においても小児科が一番高い結果になるかは注視が必要です。小児科は今回の流行で売上が下がった傾向にある診療科目と言えます。しかし、今後新たに小児科で開業をしても上記の統計のような年収を得られないのかというとそうではなく、今後新型コロナウイルスにうまく順応した開業方法を取ることでまだまだ高年収に達する可能性がある診療科目といえます。

3. 小児科の開業ポイント

次に、各開業工程におけるポイントを記載します。

(1)立地の選定

  • ベビーカーを押して来院することが考えられるので、1階または広めのエレベーターのある建物であることが望ましいです。
  • 同様の理由で、できれば駐車場があり、車が寄せられる建物である方が良いです。
  • 駅に近いほうが良いものの、風紀上問題のあるテナントと同居することは避けたほうが良いでしょう。

(2)内装

  • 受付台などの凹凸は少なくする必要があります。
  • 待合室は広めにするか、完全予約制にする必要があります。
  • キッズスペースを設ける場合は、頻繁に消毒し抗菌の玩具を置くなどの配慮があると良いです。
  • 診察室・処置室に関しても基本的に同伴者が入るため、入口や患者さん側のスペースを広めに設定すると良いです。

(3)採用

  • 基本的に内科と同じように受付と看護師の体制としているところが多いです。
  • 若い両親のコミュニティやSNSを通じて口コミが広まりやすい診療科なので、子ども対応が好きな人、接遇の高い人であることが求められます。

(4)マーケティング

  • マーケティングの対象となる両親に若い人が多いため、WEB広告(リスティング広告や各種ポータルサイトなど)が非常に有効な診療科目です。
  • ホームページの充実は必須とも言えます。
  • 院長の人となりを知れる勉強会やイベント、動画配信なども効果的です。
  • 開業時に近隣の学校の保健室に挨拶に行く先生もいます。

(5)その他

イメージ
  • 予防接種を受注するため(助成の対象になるため)にも、医師会への加入が必須となる自治体が多いです。
  • 同様の理由から、市の境目の地域で開業をする場合には医師会のルールの確認が必要となります。(診療圏にいる患者さんのうち半数に予防接種をできないことになり兼ねないため)
  • 夜間に往診を実施している先生もいます。
  • 小児の医療費の無償化は自治体によってルールが異なるため開業前に確認が必要です。
  • 近年は感染防止の観点や長時間待てない子どものために完全予約制にしている先生も多いです。

4. 実際にうまくいった医師の成功事例

以下に、特徴的な方法によって小児科として成功されている先生の事例を記載します。

(1)スタッフも全員お母さん。夕方には閉まってしまう小児科クリニック

  • 郊外(近畿エリア・戸建て開業)に所在する小児科クリニック
  • 特徴は院長もスタッフも「お母さん」であり、それをホームページなどでも伝達
  • 通常小児科は、夕方に来る患者さんも多いため18時や19時まで診療を行うことが一般的であるが、このクリニックは15時で診療が終了してしまう。(院長やスタッフも保育園にお迎えに行かなくてはならないため)
  • 一方で「お母さん」の気持ちがわかる院長やスタッフに受診をしたいと、来院者が絶えない
  • 子育てのカウンセリングも実施している

(2)圧倒的な利便性を追求した都心の小児科クリニック

  • 東京23区内のアクセスの良い立地で開業
  • 固定費を有効に活用するために夜間や土日も診療を実施(21時まで診療。好立地のため手軽に非常勤の医師の採用が可能)
  • 徹底したオペレーション研修を実施し、来院時のベビーカーの預かり方などまでスタッフ間でのオペレーションの統一実施
  • 完全予約制でWeb問診を患者が自宅で記載し、少ない待ち時間での受診が可能

5.まとめ

小児科は、比較的少ない投資で開業ができ、これまでは経営状況も良い診療科目とされてきました。今後は、少子高齢化の流れと新型コロナウイルスの影響を加味し、保護者のニーズを考えた戦略を取っていくことが求められます。

筆者プロフィール

株式会社G.C FACTORY

https://ma.gcf.co.jp/

代表取締役 金子 隆一

コンサルタントとして、医療機関のM&A、開業、運営支援において累計100件以上の実績を有する。クライアントの問題解決に励むと同時に、都内の大規模在宅支援診療所のバックオフィス業務の設計及び実行責任者を兼任している。