統合報告書 2026

Business糖尿病マネジメントドメイン

糖尿病マネジメントドメインでは、血糖測定(BGM)システムの開発・製造・販売を通じ、革新的なソリューションを展開しています。高精度な測定技術とシームレスなデータ連携、デジタル糖尿病管理により、患者さんが簡便かつ正確に血糖値を把握できる環境を実現し、健康状態の改善とQOL(生活の質)向上にグローバルに貢献します。

売上収益全社比率27.9%

FY25 実績

売上収益
売上収益

売上収益は、BGMは市場縮小影響を受けるも、欧米で販売が堅調に推移、対ユーロでの為替の好影響、CGMの販売増もあり前年同期比増収

  • 先進国でのシェア獲得
  • 米国での単価向上、販売数量増加施策効果
  • 対ユーロ為替の好影響
  • アルジェリアにおける現地化施策の進展
  • CGMの販売増(Q3まで)
  • 先進国における市場の縮小
  • 低価格チャネルへの移行
営業利益
営業利益

営業利益は、BGMの好調や、コスト改善施策効果、償却費の減少もあり大幅な増益。CGMは第3四半期までの増収と第4四半期の譲渡による赤字縮小により増益に貢献

  • 収益性の高い先進国の好調
  • 米国での収益性改善施策効果
  • コスト改善施策効果
  • 償却費の減少
  • CGM事業譲渡による赤字縮小
  • 本社機能見直しによる影響額3億円
営業利益率19.8%

ドメイン戦略

佐藤 浩一郎

佐藤 浩一郎

PHCホールディングス株式会社
代表取締役副社長/COO/CSO
糖尿病マネジメントドメイン長

収益性維持、改善

BGM:注力セグメント強化とコスト最適化による収益性改善

CGM:365日センサの販売強化

営業利益率改善幅:2.5%(FY24~FY27)

新しい体制に移行し、世界の糖尿病患者さんを支援し続ける

糖尿病マネジメントドメインは、80年以上にわたり、糖尿病患者さんがご自身の健康状態を把握できるよう支援しています。現在、私たちの製品は世界90以上の国と地域で利用されています。

2025年度は、BGM事業が、市場縮小の影響を受ける中でも順調に推移しました。特に先進国市場において好調に推移し、米国では売上の増加に加え、新製品の投入もあり、民間及び政府系医療保険支払機関との契約を約50件獲得しました。OTCチャネルでもナショナルブランドとしてNo.1シェアを維持※しています。欧州においては、主要な市場でのリーディングポジションをさらに強固にしました。また、アルジェリアでは現地生産品の販売を開始しました。

※出所:自社調べ

こうした取り組みに加え、2025年度は2つの大きな決断を行いました。1つ目は、 CGM販売事業の譲渡です。当ドメインでは、BGM事業に加え、Senseonics社とのパートナーシップを通じてCGMソリューションも提供してきました。一方で、当該事業が成長を続ける中、BGMとの事業モデルの乖離が大きくなったため、Senseonics社傘下で開発・製造・販売の一貫した体制を構築することが事業成長の加速に最適であると判断し、CGM事業を譲渡いたしました。また、この判断はポートフォリオ管理強化を重要課題として掲げる中期経営計画2027の方針に基づいたものであり、これにより、当ドメインの収益性は大きく改善する見込みです。

2つ目は、BGM事業部長兼アセンシア ダイアベティスケアホールディングス社長の交代です。これまで両組織を率いてきた私の後任として、2026年4月にピーター・ボドルンド氏へその役割を引き継ぎました。ボドルンド氏は20年以上にわたり医療業界でシニアリーダーとして経験を積み、2022年よりアセンシアのCOOを務めてきました。同氏の豊富な経験とリーダーシップが、糖尿病マネジメント事業の持続的な発展を力強く牽引してくれるものと期待しています。

2026年度は、新体制のもとで迎える最初の事業年度です。引き続き、糖尿病マネジメントのリーディングカンパニーとして、糖尿病患者さんの生活の質(QOL)向上に尽力してまいります。

糖尿病マネジメント事業※

アセンシアダイアベティスケア

市場環境・見通し

BGM市場の推移
BGM市場の推移

出所:自社調べ

市場環境
  • 測定頻度の高い患者さんは、主に成熟市場においてBGMからCGMに移行
  • BGMは、多くの方々にとってCGMと併用される重要な糖尿病管理ツール。
    新興市場では、費用負担やアクセスの観点から、増加する糖尿病人口を背景にBGM需要が継続
  • 一部の市場では価格下落圧力により金額ベースでの伸びは限定的
今後の見通し
  • CGMの拡大は続くものの、BGMの減少はより緩やかになる見込み
  • 高価格帯市場が縮小し低価格帯市場が成長すること、医療費抑制などによる価格圧力により、平均価格が下落する見込み

主要な製品・サービス

CONTOUR®
当社のBGM CONTOUR®は、ご自身で簡便・正確に血糖値の測定が可能です。極めて高い精度と使いやすさで、糖尿病管理をサポートしています。90以上の国と地域で製品を販売し、約1,000万人の患者さんに提供しています。
CONTOUR®
世界シェア3

出所:自社調べ

戦略・目標

戦略
  • 収益性の高いセグメントに対してリソースを優先的に配分し、市場シェアの成長を促進
  • 高い投資利益率(ROI)が見込めるイニシアティブに選択的に投資
  • 利益率の低い市場での市場参入戦略を変更し、収益性を向上
  • 構造的コスト及びその他の運営費用の最適化を継続
目標(FY24-FY27)
売上CAGR:-3.0%
主な要因:
  • 米国:販売協業終了による影響は終息
  • アルジェリア:FY25末に現地生産を開始、FY26は通期で業績に寄与

事業戦略

ピーター・ボドルンド

ピーター・ボドルンド

PHCホールディングス株式会社
執行役員
アセンシア ダイアベティスケア
CEO・社長

糖尿病マネジメント事業は収益性を維持しつつ、市場環境の変化に的確に対応する戦略を展開しています。先進国では、BGMが徐々にCGMに置き換わる状況を踏まえた上で、高い収益が期待されるセグメントに注力し、シェア向上に向けた投資を行ってまいります。先進国でも利益率の低い地域においては、効率性の向上と市場でのプレゼンス確保のため戦略を再構築しています。一方、新興国では、BGMは費用対効果が高く高精度で利用しやすい製品として、成長の余地を残しています。

BGM市場全体では縮小が見込まれるものの、売上の減少幅は緩やかになると予測しています。また、米国におけるOTC市場の成長や2025年度から市場に再参入したアルジェリアでの現地生産がさらに後押しとなると考えています。投資はROI(投資利益率)の高い販売施策に集中させる一方で、組織運営に関わる経費は厳密に管理していきます。インフレと医療保険償還政策の変化による価格圧力がある中、堅実な基盤を維持することを目指し、2024年度から2027年度までの売上収益において、年平均成長率マイナス3.0%を目標としています。

私たちの「精緻な技術」

1,000万人を支える、高精度と使いやすさ
当社は1941年に世界初の血糖測定器を発売して以来、一貫してイノベーションを追求し続けています。これまで、当社の CONTOUR®は、第三者機関主導による複数の研究※1※2において、一貫して最も高精度な血糖測定器の一つとして評価されています。また、SmartLight機能は、糖尿病患者さんが数値を読み取る負担を軽減し、血糖管理に対する安心感をもたらします。消費者調査によると、ユーザーにとって最も重要な特長は「高精度」と「使いやすさ」であり、CONTOUR®は両項目で競合製品を上回る優れた評価を得ています。
2026年第1四半期に米国で実施した最新の市場調査では、CONTOUR®は、他の大手BGMメーカー製品に対して、ネット・プロモーター・スコア※3で引き続き首位を維持しています。
当社の精緻な技術は、世界中で約1,000万人に及ぶユーザーの糖尿病管理の改善に貢献しています。これからも、私たちは糖尿病患者さんが必要とすることに注力し、糖尿病管理において信頼されるパートナーとなることを目指してまいります。
  • ※1 Pleus S.ほか「4種の血糖測定システムに関するユーザー性能評価及びシステム精度評価」、2022年
  • ※2 Kenning ほか「血糖測定システムの比較精度評価」、2024年
  • ※3 ユーザーに対し、その製品やサービスを他人にどれだけ薦めたいかを数値化した指標