ガバナンスの取り組み

コーポレートガバナンス

マテリアリティ KPI 目標値
コーポレートガバナンスの強化 取締役会における多様性(国籍)
取締役会の有効性評価 年1回実施
機関投資家・証券会社アナリストとの打ち合わせ回数
リスクマネジメントの強化 リスクマネジメント委員会の開催回数 年2回実施
コンプライアンスに関する研修を受講した従業員の割合 100%
サイバーセキュリティの強化 サイバーセキュリティ・データ保護に関する研修を受講した従業員の割合 100%
重要なITベンダーにおけるサイバーセキュリティレビューの実施割合
(2年間で全てのベンダーをレビュー)
100%
PHCグループサイバーセキュリティ委員会の開催回数 年4回以上

コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方

当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、当社の経営理念である「わたしたちは、たゆみない努力で、健康を願うすべての人々に新たな価値を創造し、豊かな社会づくりに貢献します」という理念を実践する上で、その基礎となる法令の順守や定款、規程等の順守について、 経営者自らが効率的に確認することができる体制を構築することにあります。また、経営の健全性・効率性及び透明性を確保し、持続的に企業価値を向上させていく観点からも、適切なコーポレート・ガバナンスの構築やその実施に取り組んでいます。

コーポレートガバナンスの強化

当社は、経営の透明性、公平性、迅速性を確保し、持続的な企業成長と恒常的な企業価値向上を果たすためにもコーポレート・ガバナンスが重要であると考えております。経営における執行と監督の明確化・強化もその一つであり、企業経営の迅速な執行のため、執行役員制の導入とともに、取締役会による監督と監査役による適法性監査の二面での複層的な監督機能を有する監査役会設置会社を選択しております。
企業経営における業務監督機能と業務執行機能を分離し、取締役の責任を明確にすることにより、ガバナンス機能を強化しております。
監督体制について、当社は取締役会において複数の独立社外取締役を任命することで、監督機能及び透明性の高い経営の実現に取り組んでおります。
更に、監査役のうち過半数を社外監査役で構成しており、取締役の職務執行に対する独立性の高い監査体制を敷いており、客観的・中立的な立場から取締役会全体の実効性について、監視・助言する体制を構築しております。
また当社は、取締役会を支える機能として独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名・報酬委員会を設置しています。

PHCグループ ガバナンス体制図

PHCグループ ガバナンス体制図

取締役会

取締役会は、社外取締役6名を含む取締役8名で構成されており、毎月の定例取締役会の他、必要に応じて臨時取締役会を開催し、経営全般に関わる重要な業務執行を決定し、取締役の職務執行を監督しております。当社の経営理念、ビジョン、価値観を共有し、これに基づいて中期経営計画や単年度計画及び重要施策について議論し、決議しております。
また取締役会は、経営陣から業務執行状況等の報告を受け、それを踏まえた重要な業務執行を決定しています。

指名・報酬委員会

当社は、取締役会を支える機能として独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名・報酬委員会を設置しております。指名・報酬委員会は、株主総会に提出する取締役の選任、解任及び代表取締役・執行役員の後継者計画等の指名に関する事項、取締役及び執行役員の報酬に関する事項について審議のうえ、提言内容を決定しております。
代表取締役社長(CEO)については、当社の企業理念・経営理念の実現及び当社の持続的な成長に向けてリーダーシップを発揮しうる人物を選任することとしています。

指名・報酬委員会の活動状況

2022年度は、全8回開催し、各会ともに委員の出席率は100%となっております。主な審議・報告内容は以下のとおりです。

  • サクセッション・プランについて
  • 新執行役員の任命、新報酬、業績目標設定について
  • スキル・マトリクスの改定
  • 社内研修プログラムの進捗報告

グループ経営会議

当社は、経営に関する意思決定の効率化及び意思決定手続の明確化を目的としてグループ経営会議(Executive Committee)を設置し、月次で開催しております。グループ経営会議では、当社グループ(全ての資本下位会社含む)の経営に関する重要な事項を決定する執行の会議体として当社グループ全体の目的及び計画進捗の管理を行っております。
なお、現在のグループ経営会議の構成は以下のとおりです。構成員:宮﨑正次(議長)、佐藤浩一郎、平嶋竜一、フレデリック・ライデンバック、山口快樹、池内孝一(オブザーバー)

役員の選任について

役員の選任決議は、株主総会において決議権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めております。また、役員の選任決議については、累積投票によらないものとする旨も定款に定めております。
社外役員の選任に当たっては、常勤役員及び執行役員のスキル・経験を考慮した上で、当社として補うべきスキル・経験を有した人物を選任することを基本としています。

独立社外取締役の独立性判断基準及び資質

当社は社外取締役及び社外監査役を選任するにあたり、株式会社東京証券取引所が定める独立性基準および、当社にて具体的な数値または、金額に基づき定めた「社外役員の独立性に関する基準」から独立性を判断し、豊富な知識や経験に基づき客観的な視点から当社の経営に対し適切に貢献していただける方を選任することとしております。社外取締役及び社外監査役の選任にあたっては、指名・報酬委員会で独立性に関する基準及び方針との適合性について審議し、その結果を取締役会に上申し、取締役会において審議した上で決議することとしています。

役員トレーニングの方針

当社は、取締役・監査役に限らず、広く全社員に対し、職責や業務上必要な知識の習得や適切な更新等のために様々な研修機会を斡旋しており、役員トレーニングも同様の方針に基づいております。
取締役・監査役それぞれに必要な知識の取得・更新の機会を設けるとともに、各役員がそれぞれの必要に応じ自主的に参加する講習会・交流会等の費用は当社が負担することとしております。
また、新任の社外役員が就任する場合には、取締役・監査役の法的な役割・責務に加え、透明性、公平性の視点から当社の経営に対する実効的な監督を行うために必要な情報(当社が所属する業界、当社の歴史・事業概要・財務情報・戦略、組織等)を提供することとしています。

社外取締役(社外監査役)のサポート体制

社外取締役・社外監査役については、取締役会で十分な議論が可能となるよう、法務・コンプライアンス部において、取締役会議案の事前説明や情報提供等のサポートを実施しております。また、社外監査役については、監査役及び監査役室(監査役会の事務局として専任のスタッフで構成)において、情報提供等のサポートを実施しています。

取締役会の実効性評価

当社は、2023年2月から3月にかけて、全ての取締役(8名)及び監査役(3名)を対象に、取締役会全体の実効性に関して、下記の項目についてのアンケート調査及び個別インタビューを実施いたしました。
(1)取締役会の構成
(2)取締役会の運営に関する事項
(3)取締役会全体の実効性
(4)社外取締役の支援・連携に係る体制
なお、アンケート内容の設定、個別インタビューの実施及び評価結果の分析・評価については、客観性を確保するため、第三者機関のサポートを受けております。第三者機関による分析の結果を踏まえ、取締役会において現状及び課題について評価を行いました。

1. 評価結果の概要

取締役会全体としては概ね適切に機能しており、実効性が確保されていると判断しております。しかし、更なる実効性の向上のために、下記の点が今後の主な課題であると認識しています。

  • 特に、投資案件等の重要な議案に関する取締役会への付議時期及び資料配布時期の早期化
  • 投資案件等の実行後の定期的なフォローアップ

2. 今後の対応

今回認識した課題の改善に向けて対応していくとともに、今後も毎年実効性評価を実施し、取締役会全体の実効性を高めるための取り組みを継続していきます。

役員の報酬について

1. 基本方針

  • 経営委任の対価として適切であり、当社グループの成長と業績向上に結び付くものであること
  • 会社業績と個人業績との連動性を考慮した仕組みであること
  • 業界ベンチマークを行い、更に独立社外取締役が半数を占める指名・報酬委員会で議論する等、ステークホルダーに対して、説明可能な内容であり、透明性が確保されていること

2. 報酬構成

  • 取締役の報酬は、月額報酬、短期業績連動報酬、退職慰労金により構成されております。
  • 社外取締役の報酬は、月額報酬のみにより構成され、また独立社外取締役の報酬は、月額報酬と株式報酬により構成されております。
  • 社外監査役の報酬は、月額報酬のみにより構成されております。

3. 基本報酬

月例の定期報酬であり、役割責任に応じて、外部機関の調査結果に基づき決定しています。

4. 短期業績連動報酬

  • 業績達成への短期インセンティブとして短期業績連動報酬を支給しています。
  • 短期業績連動報酬の評価指標は、事業の成長性を評価する指標として「コア売上高」、収益性を評価する指標として「営業利益」及び「純利益」を活用することとしております。

5. 中長期業績連動報酬(株式報酬)

持続的な企業価値の向上を動機づけるインセンティブを与えるとともに、取締役と株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的として、株主総会において決議された報酬限度の範囲内で、株式報酬としてのストック・オプションを割り当てております。

6. 報酬ガバナンス

  • 報酬構成及び報酬構成比率、基本報酬の水準並びに業績連動報酬の業績指標及び評価方法は、任意の指名・報酬委員会の審議、答申を踏まえ決定しています。
  • 各取締役の報酬の額は、独立社外取締役が半数以上を構成する任意の指名・報酬委員会の審議、答申を踏まえ、取締役会の決議により決定しています。

2022年度の役員の報酬等の総額、役員ごとの連結報酬等(1億円以上)については、「第10期定時株主総会招集ご通知」をご参照ください。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/6523/announcement/89357/00.pdf

報酬構成

役員区分 報酬等の
総額
(百万円)
報酬等の種類別の総額(百万円) 対象役員の
員数(名)
固定報酬 ストック・
オプション※1
業績連動
報酬※2
退職慰労金 その他 左記のうち、
非金銭報酬等
取締役
(社外取締役を除く)
1,898 116 15 268 902※3 595 15※4 3
監査役
(社外監査役を除く)
23 21 1 1
社外役員 87 79 7 7※5 7※6
  • ストック・オプションの記載額は2023年3月末時点の算定価格を記載しています。
  • 当連結会計年度における当該業績連動報酬に係る指標の目標及び実績は下表のとおりとなります。各指標は、当社事業の成長性、収益性及び効率性のバランスと網羅性を考慮し、指名・報酬委員会にて諮問し、取締役会で承認したものです。
  • 取締役(社外役員を除く)の退職慰労金には、2022年6月29日開催の定時株主総会の決議により、2022年4月28日に取締役を退任したジョン・マロッタ氏に対する退職手当739百万円を含めて記載しております。
  • ストック・オプションの記載額は2023年3月末時点の算定価格を記載し、非金銭報酬として計上しております。
  • 独立社外取締役のストック・オプションの報酬限度は、2022年6月29日開催の定時株主総会の決議により、年額70百万円以内(決議時点における独立社外取締役の員数3名)となっております。ストック・オプションの記載額は2023年3月末時点の算定価格を記載し、非金銭報酬として計上しております。
  • 社外役員の員数には、期中に退任した社外取締役を含み、無報酬の社外取締役及び社外監査役の員数を除いて記載しております。
  • 取締役の報酬限度額は、2020年11月30日開催の臨時株主総会の決議により、年額1,500百万円以内(決議時点における取締役の員数7名)となっております。
  • 監査役の報酬限度額は、2021年8月13日付の臨時株主総会の決議により、年額60百万円以内(決議時点における監査役の員数3名)となっております。

短期業績連動報酬

  評価指標 ウエイト 2023年3月期の目標 実績 目標値
1 コア売上高 26.0% 335,264 百万円 356,434 百万 107%
2 調整後EBITDA 30.0% 64,504 百万円 64,882 百万 101%
3 ROIC 19.0% 10% △3% △30%
4 個人別業績目標 25.0% 各人別に設定 各人別に設定 各人別に設定

内部統制システム

当社は、当社で定める内部統制システムの整備に関する基本方針に従って、以下の体制等を整備していきます。

  • 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合する体制
  • 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
  • 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
  • 取締役の職務の執行が効率的に行われる体制
  • 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合する体制
  • 当社及び子会社からなる企業集団における業務の適正を確保する体制
  • 監査役の職務を補助する使用人に関する事項及び当該使用人の取締役からの独立性に関する事項
  • 監査役の職務を補助すべき使用人に対する監査役の指示の実効性の確保に関する事項
  • 当社の取締役及び使用人等並びに子会社の取締役、監査役及び使用人等が当社の監査役に報告をするための体制
  • 監査役への報告をした者が報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けない体制
  • 監査役の職務執行について生ずる費用又は債務の処理に関する方針
  • その他監査役の監査が実効的に行われることを確保する体制

政策保有株式

当社は、原則として政策保有株式は保有しない方針ですが、事業戦略等の観点から保有する場合は、必ず取得時にその保有意義につき取締役会での確認を経ることとしています。また、保有意義について財務部が定期的に棚卸しを行い、保有意義が認められない場合は売却を検討します。検討結果を毎年、取締役会に報告しています。
議決権行使につきましては、一律に基準を定めることはせず、投資先企業の経営方針や経営戦略等を尊重した上で、当社の中長期的な企業価値の向上に資するものであるか否かを総合的に判断した上で、行使しています。

株主との建設的な対話に関する方針

当社は株主をはじめとするステークホルダーとの信頼関係を構築するにあたり、株主からの期待を把握し適切に経営に反映させることが重要と捉えており、IR/SR活動について積極的に対応していきます。

活動実績

  • 当社では、IR担当執行役員がグループのIR活動を管掌しております。IR・広報部を設置し、投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材を積極的に受け付けるとともに、アナリスト・機関投資家向けに決算説明会を開催し、社長とCFOが説明を行っております。株主との対話(面談)の対応は、代表取締役社長及びCFO、IR担当執行役員が行い、IR・広報部がサポートしています。
  • 対話を補助する体制としてIR・広報部が各事業部門及び管理部門と日常的な連携を図っています。
  • 株主や投資家に対しては、決算説明会を開催するとともに、適宜、海外投資家向けロードショウ等を実施してまいります。その他、投資家とスモールミーティングを逐次実施していきます。
  • IR/SR活動のフィードバックについて、定期的にIR担当執行役員から取締役会に報告しています。
  • 投資家との対話の際は、決算説明会やスモールミーティングを問わず、当社の持続的成長、中長期における企業価値向上に関わる事項を対話のテーマとすることにより、インサイダー情報管理に留意しています。

監査役会

監査役会は、社外監査役2名を含む監査役3名で構成されており、定例監査役会の他、必要に応じて臨時監査役会を開催し、ガバナンスのあり方や取締役の業務の執行状況や財産状況に関する日常的経営活動の監査を行っています。経営理念のもと、株主だけに留まらず、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーの立場を十分に考慮してそれらのステークホルダーと適切に協働を確保しつつ、株主からの受託者責任を果たし、会社や株主共同の利益を高め、持続的な成長と中長期的な価値の創出に努めています。
監査役が必要と認めた場合、当社及び当社グループの取締役又は使用人にヒアリングを実施する機会を設けています。その他、監査役は、会計監査人や重要な子会社の監査役等との定期的な会合を設け連携を図るとともに、重要な会議に出席しています。

内部監査の状況

当社は、代表取締役社長CEO直轄組織としてグループ内監査部を設置し、グループ内部監査部長以下全15名にて当社全部門並びに子会社を対象に内部監査(業務監査及び内部統制監査)を計画的に実施しております。監査結果の報告は、グループ内部監査部長より代表取締役社長CEO及び関係役員に対し、文書(監査報告書)をもって行っています。
グループ内部監査部は、代表取締役社長CEOに対して四半期に1回内部監査の監査活動状況について報告を行い、監査役とは月に1回それぞれの監査の状況について報告、情報交換、意見交換等を行っています。社外役員は取締役会及び監査役会を通じて内部監査の報告を受け、意見を述べることにより監査の実用性を高めています。

(統合報告書 2023)