ガバナンスの取り組み

社外取締役メッセージ

当社は社外取締役を選任するにあたり、常勤の取締役及び執行役員のスキル・経験を考慮した上で、当社として補うべきスキル・経験を有した人物を選任することを基本としております。社外取締役の選任を通じて、豊富な経験や知識に基づき客観的な視点で当社グループの経営に対する助言を得ることで、PHCグループの持続的な成長及びコーポレート・ガバナンス体制の強化を図ることを目指しています。
当社の独立社外取締役は、海外及び日本を拠点とする数々の企業での豊富な経験や知識を有しており、当社グループが持続的な成長を遂げていくための重要な役割を担っています。このたび、当社の独立社外取締役3氏に、当社の他社との違いや強み、未来と可能性、ご自身のスキル・経験を通じて経営に生かせること等についてメッセージを頂きました。(統合報告書 2023)

出口 恭子

出口 恭子取締役(独立社外取締役)

真のグローバル企業を目指し、
事業の再編成と人財育成を最重要事項とする
PHCホールディングスにおける自身の役割

PHCホールディングスは、3つの事業セグメントを柱として2021年に上場しましたが、これからは拡大する糖尿病市場に向けた持続血糖値測定システム(CGM)や医師・薬局向けのDXサービスが重要分野になると考えております。しかしながら、現時点では各事業部間の連携がまだ十分とは言えないため、今後は各分野のシナジーをいかにして創出するかが課題と認識しております。そのためには今後、PHCグループにおける組織の一体感を更に高める「ONE PHC」の意識づけとそれに伴う実行が一層必要と感じます。

私自身は、海外での製薬メーカー、外資系化学メーカーといった現場での経験に加えて、バイオテックと医療材料メーカーの経営、及び医療機関運営の経験を生かし、サプライヤー・ユーザー両方の立場からPHCグループの各事業を俯瞰し、事業戦略のモニタリングとアドバイスを行っております。また、積極的に各事業部の視察や社員との対話も行い、現場の声を経営陣に伝え、取締役会で忌憚なく意見、提言をしております。今後M&Aが増える中、現場に行かないと分からないようなコンプライアンス問題にも留意し、健全な経営に結び付けていく必要性を感じています。取締役会における独立社外取締役は3名であり、スキルマトリクス、国籍、ジェンダー等多様性のある人員で構成され、それぞれが経営陣を支える補完的な役割を果たしております。

現在、私が指名・報酬委員会の委員長として取り組んでいるのは、サクセッション・プランニング及び、次世代人財の育成です。次期経営幹部・次世代人財のグローバルレベルでのキャリアパスの構築、「ONE PHC」の実現を目指し、来期から実践に移す予定です。

イヴァン・トルノス

イヴァン・トルノス取締役(独立社外取締役)

ESGの取り組みを通じて、
PHCグループの競争優位に貢献していきます

当社のESGに対する取り組みの姿勢は、この分野への投資とこれまでの成果が示すように、極めて積極的なものと言えます。私は、長年にわたり世界中のESG指標の設定に携わってまいりましたが、当社の経営陣がESGへの取り組みを重要な競争優位とすることに注力しているのは確かであり、その可能性と社会への貢献は限りないものであると実感しています。

環境面では、CO2排出量は国内外の拠点で着実に削減されていくことでしょう。各製造拠点でのISO14001認証取得が進み、更なる改善に向け、この度、ESG全ての項目においてマテリアリティの特定と具体的なKPI目標値も掲げました。

社会的責任の観点では、当社は非常に速いペースでヘルスケア・イノベーションを推進しており、当社グループの強みを生かした製品やサービスの提供を通じて社会に貢献しています。加えて、最近の主な幹部職及び取締役の就任状況からも明らかなように、取締役会と経営陣はダイバーシティの推進に尽力しています。当社の経営陣は、全ての事業活動の動向を把握することと同様に、従業員エンゲージメントのあり方を真剣に考えています。

最後に、同じく重要なことですが、当社はここ数年間、企業にとって重要な分野である「人財」から「厳格な財務管理」、「企業全体の責任」までにわたり、強力なガバナンスを実現するため、取締役会の下に委員会を設け、絶え間ない前進を続けています。私は、PHCグループの一員であることを誇りに思っています。

デイビッド・スナイダー

デイビッド・スナイダー取締役(独立社外取締役)

PHCグループの経営理念に基づきながら、
自身の経験を生かして当社の目標達成に貢献していきます

私が当社の社外取締役に就任して約1年半が経過しました。宮﨑正次代表取締役社長と佐藤浩一郎代表取締役副社長率いる経営陣がリーダーシップを引き継いだタイミングと同時期に私は社外取締役に選出され、現在の経営陣がPHCグループの直面する重要な課題に取り組む活力と熱意に、私は大いに感銘を受けてまいりました。

PHCグループには、「健康を願うすべての人々に、新たな価値を創造し豊かな社会づくりに貢献する」という経営理念があります。新型コロナウイルスが蔓延する中、PHCグループの従業員とその株主は、LSIメディエンスが国内で多くのPCR検査を受託したり、PHCbiの超低温フリーザーが世界中で人々を守るワクチンの保管に活用されたりしたことを誇らしく思ったでしょう。

PHCグループは、ヘルケアソリューション企業としての多様なポートフォリオを通じて、その価値の向上に努めています。糖尿病マネジメント事業を例に挙げれば、アセンシアは血糖値測定機器市場でのポジションを生かしながら、Senseonics社と協業して画期的な持続血糖値測定(CGM)システム「Eversense」を普及させています。このように、PHCグループは各事業において、他社との差別化をはじめ、技術やその他の面で独自の挑戦に取り組んでいます。更に、日本においても、最近、ウィーメックスが富士フイルムヘルスケアシステムズの電子カルテ・レセプト関連事業を取得し、ヘルスケアIT市場でその優位性をより高めました。

私は当社の社外取締役として、資本市場における日本企業やそのM&A戦略に長年携わってきた弁護士としての経験を生かし、PHCグループが今後の大きな目標を達成できるよう、今後も取締役会及び経営陣をサポートしてまいります。