付属病院の治療と直結、再生医療のための管理システム
愛媛大学 医学部 高次機能制御 感覚機能医学 感覚皮膚医学
白方 裕司 氏
夏目漱石の「坊ちゃん」や名湯「道後温泉」で有名な愛媛県松山市の郊外、東温市に国立愛媛大学医学部の広大なキャンパスがあります。ここには医学系の教育施設と地域医療のセンターである医学部付属病院が併設され、ホームページで表明されているように、〈臨床応用を通じての社会への還元〉を大きな目的に、独創的な先端研究、社会的要請の強い研究を推進することのできる研究者の育成に努められておられます。今回は、皮膚科学研究室に導入された〈検体管理システム〉を白方裕司先生にお伺いしたレポートをお届けします。
三洋の〈検体管理システム〉導入前はどのような方法で管理されていましたかまた、導入後はどうかわりましたか
いままでもコンピュータを使った管理システムを使用していました。ただ、管理リスト作成はできても、実際の検体がどの場所に格納されているかなどは管理できなかったしラベルも手書きで対応していました。その点三洋の〈検体管理システム〉はラベルも発行できバーコード読み取りで手間がかからず便利だと思います。
主な用途について教えてください
皮膚科では主に再生医療のための検体管理が目的です。患者さんから採取した皮膚を培養し、治療のため患者さんに戻すというようなことをします。現在は検体数が約5,000くらいありますが、今後再生治療を中心にもっと数が増えてゆくと予想しています。そのような環境で取り違えなどの人為的な間違いがあっては大変なことになります。そのためにも確実な管理システムが必要なのです。 また、皮膚の再生培養は採取してから1ヶ月以上かかる場合もあります。あるいは、何年後かに以前に採取した検体が必要になる場合もあります。長期間経過しても、担当者が代わっても間違いなく運営できるシステムでないと困ります。
皮膚科の再生医療について特徴的なところは
再生医療には本人の皮膚から取った検体を本人に戻すわけですから拒絶反応などの心配が少ないのは勿論ですが、その他に大きなメリットが2つあります。ひとつは拡大性で、これは再生を増殖させる事で元の検体の1,000倍くらいの大きさのものまで得られるということ。ふたつめは、再発性の皮膚病に対して、最初に採取した正常な検体を繰り返し再生することにより、長期にわたる治療に対応できるということです。
将来、このシステムをどのように運営されていきますか
現在は再生医療用専用システムを運用していますが、その他基礎研究のための検体(プラスミッド、DNA、RNAなど)の実験用サンプルの保存管理用に利用したり、PCR、プライマー、プローブなど小出しに使う試料の管理が簡単にできそうなので、そちらの分野でも新規導入を考えています。
検体保管室
●検体保管室では2つの超低温フリーザと3つの窒素タンクに分けて格納されています。