PHCbi

培地中のグルコースと乳酸を、サンプリングせずに連続測定。
細胞の代謝変化をリアルタイムで可視化できます。

細胞は常に増殖や分化を繰り返しています。
これらの活動は代謝と密接に関係していることが知られています。
CAR-T療法を含むがん免疫分野や、iPS細胞をはじめとする幹細胞研究、
さらにはそれらの製剤化に向けた製造プロセスの検討において、細胞の代謝状態を把握することは、
細胞の活性化状態や病態を解析するうえで、さらに重要なファクターになりつつあります。
連続的に細胞の代謝を分析することは、その細胞の状態をリアルタイムに可視化することにつながります。
それは、これまでの代謝研究では見えなかった新しい発見を得る機会です。
PHCbiのライブセル代謝分析装置は、その新しい扉を開くことができます。

  • がん研究
  • 免疫研究
  • 幹細胞研究

細胞の連続的な代謝変化を可視化。
In-Lineセンサーによりグルコースと乳酸を連続的に測定することができます。

細胞の主要なエネルギー代謝のひとつである解糖系では、「グルコース」を細胞内に取り込み、「乳酸」を産生します。
従来の細胞代謝分析は、多くても1日に数回のサンプリングによるグルコースや乳酸などの「点」の濃度データから、
細胞の代謝状態の変化を推察することが一般的でした。
PHCbiのライブセル代謝分析装置は、独自の高精度In-Lineセンサーにより培養中の細胞が増殖・分化をするために取り込むグルコースと、
その過程で産生される乳酸を、リアルタイムかつ連続的に測定することができます。
また、サンプリングをせずに培地を測定できるため、測定した細胞はそのまま別の評価に使用することができます。

いつもと同じ培養環境で測定が可能。
普段の培養に使用する消耗品を、そのまま使用できます。

CO2インキュベーターの庫内にディテクターを設置して使用します。
いつもお使いの24ウェルプレートに、センサーモジュールとプレートアダプターを取り付けて、
ディテクターに設置します。リアルタイムの測定データは、タッチパネルのコントローラーで確認できます。
シンプルな構造で、様々なラボのスペースにフィットします。
しかも、培養に必要な消耗品(培地、24ウェルプレート、校正液、添加試薬)は市販品をご使用いただけます。
別売品として、5種類のブランドの24ウェルプレートに対応したプレートアダプターを用意しています。
(ご使用のウェルプレートに適合するものを別途ご購入ください)

グルコースと乳酸の濃度変化から解糖系を直接測定が可能。
解糖系の変化を直接的に評価できます。

細胞内に取り込まれるグルコースと、産生される乳酸の培地中に含まれる濃度を測定することにより、
解糖系の変化を直接的に評価できます。細胞の代謝状態は、濃度の測定値に基づいて算出された消費速度と
産生速度から、代謝変化の速度として可視化されます。
また、グルコースから乳酸への代謝効率をモニタリングすることで、解糖系のみならず酸化的リン酸化のような
他の細胞代謝とのバランス変化についても評価が可能です。

よくある質問

ライブセル代謝分析装置でできることは何ですか。
培養中の細胞のグルコースと乳酸の濃度変化を連続的に測定することができる研究用の分析装置です。 グルコースと乳酸の濃度変化やそれらの代謝速度から解糖系への依存度や代謝の活性化状態を連続的な変化として確認できます。 普段の培養環境で連続的かつ高い精度で代謝を測定・比較することができる点が特徴となります。
他の培地を測定する装置と比較して、どういった特徴がありますか。
一般的な培地分析装置は、培地のサンプリングを必要とするのに対して、ライブセル代謝分析装置は、サンプリングなしで連続的に測定することが可能です。 また、連続測定が可能なセンサーや近赤外による測定方法もありますが、ライブセル代謝分析装置は、24ウェルプレートで簡便に同時測定できる構成となっているため、 実験条件ごとに比較しながら測定を行う場合など利便性に優れています。
どういった装置構成ですか。
装置は、CO2インキュベーター内で代謝測定をするディテクターと、ディテクターの操作・測定データの確認をするコントローラーから構成されます。 センサーモジュールには、24本のセンサーが組み込まれており、24ウェルプレートの各ウェルのグルコースと乳酸濃度の同時測定が可能です。
どういった環境であれば使用可能ですか。
ディテクター(W162×D280×H118mm、重さ5kg)が設置可能なCO2インキュベーターであれば使用可能です。 推奨インキュベーターは、MCO-50, 170, 230AICシリーズです。その他のインキュベーターでも設置が可能ですので、詳細はお問い合わせください。 また、インキュベーターの周囲にコントローラーを設置するスペースをご準備ください。
測定を行うために準備する必要があるものは何ですか。
お客様にご準備いただくもの:実験に使用する培地、細胞、24ウェルプレート、添加試薬。 キャリブレーションのためのグルコース不含培地、市販乳酸試薬。その他培養に必要な機器類、消耗品 PHCが提供するもの:センサーモジュール、準備したウェルプレートに対応したプレートアダプター ※プレートアダプターは、各プレートの寸法に合わせて設計が異なります。 適合するアダプターとプレートの組合せの詳細はお問い合わせください。
センサーモジュールの保管方法はありますか。
センサーモジュールは2-8℃での冷蔵保管が必要です。また使用期限は1年ですが、発売開始以降の半年間に生産される製品のみ使用期限は6ヶ月となる予定です。
測定原理はなんですか。
電気化学式センサーでグルコースと乳酸が酵素と反応して発生した電子を電流値として測定しています。
どのような手順で代謝分析をするのでしょうか。
まず、細胞を測定する前に検量線を作成するために2種類の濃度既知培地を測定します。 測定中は、培地交換や継代、試薬の添加など通常の培養作業が可能です。測定データは1分おきに取得され、 そのデータをもとに15分おきの代謝速度のデータを導出することができます。
どのような培地・添加試薬に対応していますか。
測定レンジは、グルコースが27mM以下、乳酸が15mM以下になります。 RPMI1640培地やDMEM培地、その他専用培地での測定実績があります。また、測定実績がある添加試薬は3-BPやOligomycinがあります。 測定結果は実験条件にもよりますので、デモを通して性能確認することを推奨します。
どのような細胞に対応していますか。
また、各種株細胞、T細胞、iPS細胞などで測定実績があります。また、センサーによる細胞への影響はISO 10993-5: 2009で確認予定です。 測定結果は実験条件にもよりますので、デモを通して性能確認することを推奨します。
滅菌、清掃はどのようにすればよいですか。
センサーモジュールはガンマ線照射されたものが提供されます。繰り返し使用はせずに、シングルユースでご使用ください。 プレートアダプターは、オートクレーブ対応で繰り返し使用が可能です。 ディテクターとコントローラーは外装及び内部の一部をエタノール清拭することが可能です。過酸化水素除染には対応していません。