PHC株式会社

クリニック開業コラム

診療報酬改定とクリニック(3)~自宅に来てくれるお医者さん~

在宅医療の重視は医療政策の大きな流れの一つ

深夜、自宅で突然体調が悪くなり、苦しみ出すおじいさん。慌てる家族が隣町から呼んできたのは、黒いカバンを抱えたお医者さんだった─。こんなワンシーンを映画やドラマなどでご覧になったことはないでしょうか。急病などに対応するこの「往診」や、定期的に患者の自宅を訪れ診療を行う「訪問診療」を基本的な業務とする「在宅医療」が今回のテーマです。
2016年4月から施行されている新しい診療報酬体系では、在宅医療の分野にも変更が見られます。介護を必要とするお年寄りが増え続ける現代の高齢化社会において急務とされているのが「地域包括ケアシステムの構築」。人生最後の時を、住み慣れた町・自宅で自分らしく過ごしてもらうための総合的な体制づくりです。システム構築に向けた取り組みの一つが、前回のコラムで取り上げた主治医機能の評価(バックナンバー:診療報酬改定とクリニック(2)~町のかかりつけ医として~』参照)。そして今回お伝えする在宅医療もその一つとして重要視されています。地域包括ケアシステムの構築という医療政策の最も大きな流れは、2年後・4年後の改定でも変わることはないと予想されるため「在宅医療は自分の開業計画にないから」と無関心を決め込むことなく注視していく姿勢が必要となってくるでしょう。

イメージ

訪問診療を専門とするクリニックが解禁に

イメージ

在宅医療と言えば、一昔前までは僻地医療などに対応するための特別な医療施策のイメージがありました。しかし団塊の世代が後期高齢者へ移行する、いわゆる「2025年問題」も目前まで迫ってきており、在宅医療へのニーズはすでに大きな高まりを見せています。そんな時代の要請を受け2016年の改定で解禁されたのが、訪問診療専門のクリニック。これまでは医療機関側に患者を選ぶ権利が認められていなかったため、訪問診療をしたくともクリニック開設の際には外来患者の受入れ体制も確保しておかなければなりませんでした。しかし院長が一人で開業しているような小規模クリニックの場合、訪問診療と外来診療を同時にこなすことは現実的に不可能です。そこで要件さえ満たせば、外来患者を診療することなく訪問診療に専念できるようにしたのです。近い将来に開業を目指す先生の中に「在宅の道へ進みたいけれど、外来の受入れがネックになって踏み切れない」と考えていた方がいるならば朗報と言えるのではないでしょうか。

訪問診療に真面目に取り組む姿勢を評価

また2016年の改定では、訪問診療に対する診療報酬にも変更が加えられました。患者の居住場所の人数だけでなく、重症度や訪問回数によっても報酬が変動するよう細分化されたのです。これまで利潤のみを追求する一部の医療機関にとっては、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を訪れて軽症の患者ばかりを診療する、というのが効率的に報酬を得る手段でした。集合住宅であるため患者宅から次の患者宅への移動時間はほとんどかかりませんし、軽症患者であれば比較的短時間で診療が済みます。症状の軽重にかかわらず報酬が同じならば、重症患者は“診るだけ損”というわけです。要件の細分化は、この問題を打開する狙いがあるのです。戸建ての個人宅を一軒一軒丹念に訪問し重症患者もしっかり診てくれる、そんな医療機関をきちんと評価しようという動きは、真面目な医師のみならず患者にとっても意義のあることではないでしょうか。
このコラムでは、「開業するなら医療だけでなく経営者としてのセンスを磨く必要がある」とずっとお伝えしてきました。しかし、医の道・人の道をないがしろにしてしまっては本末転倒。冒頭に述べたドラマの中のお医者さんは、儲け欲しさに患者を選別するようなことは決してなかったはずです。長い目で見れば、真剣に医療に取り組んでいる医師こそが報酬面でも評価され、患者の尊敬も集めることを忘れないようになさって下さい。

イメージ

開業成功ポイントの一覧へ戻る

最新記事のポイント

トピックス

診療所向け電子カルテシステム/医事会計システム
診療所向けソリューションのご紹介
シェアNo.1。導入からアフターケアメンテナンスまで全国ネットにサポートします。

※「MEDICOM」および「メディコム」は、PHCホールディングス株式会社の登録商標です。