目次
診療報酬の不正請求とは
診療報酬の不正請求とは、保険診療のルールに反した方法で診療報酬を請求し、不正に利益を得る行為を指します。故意・過失を問わず、保険者や患者さんに損害を与えるものとして行政上・刑事上の処分対象に該当します。
以下では、主な分類と、混同されやすい「不当請求」との違いを整理します。
定義と主な分類
厚生労働省が保険診療における指導・監査の資料として配布している「保険診療の理解のために」から、クリニックに関連する内容を下表にまとめました。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 架空請求 | 実際に診療を行っていないものについて診療をしたものとして請求すること |
| 付増請求 | 診療行為の回数・日数・数量・内容等を実際に行った診療行為より多く請求すること |
| 振替請求 | 実際に行った診療内容を保険点数の高い他の診療内容に振り替えて請求すること |
| 二重請求 | 自費診療として患者さんから全額の費用を受領しているにもかかわらず、保険診療として保険者にも診療報酬を請求すること |
| その他の請求 |
|
出典:厚生労働省「保険診療の理解のために(令和7年度版)P67~68より抜粋して提示」(https://www.mhlw.go.jp/content/001521412.pdf)
不当請求との違い
不当請求とは、請求内容を操作する不正請求とは異なり、診療行為自体は実施しているものの算定要件を満たさない状態で診療報酬を請求する行為を指します。たとえば、カルテへの記載が算定要件に定められているにもかかわらず、記載がない状態で算定するケースなどが該当します。
悪意がなくても算定要件を満たさなければ不当請求と判断されるため、算定ルールの正確な理解と日常的な確認体制が欠かせません。
出典:厚生労働省「保険診療の理解のために(令和7年度版)P31」(https://www.mhlw.go.jp/content/001521412.pdf)
通報の仕組みと通報先
診療報酬の不正請求に関する通報・情報提供の窓口は、医療機関を管轄する「地方厚生(支)局」です。全国8ブロックに設置された各地方厚生(支)局は、専用の情報提供フォームや電話・郵送による受付窓口を設けており、匿名での申し出にも対応しています。
【地方厚生(支)局】
- 北海道厚生局
- 東北厚生局
- 関東信越厚生局
- 東海北陸厚生局
- 近畿厚生局
- 中国四国厚生局
- 四国厚生支局
- 九州厚生局
出典:厚生労働省「地方厚生(支)局所在地一覧」(https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/chihoukouseikyoku.html)
通報後の流れは以下のとおりです。
| 段階 | 実施内容 |
|---|---|
| 個別指導 | 通報を受けた厚生局が対象医療機関へ実施 |
| 監査 | 個別指導で改善が認められない場合や不正の疑いが強まった場合に実施 |
| 行政・刑事処分 | 監査で悪質と判断されれば、保険医の登録取消や返還命令、刑事告発などの行政処分・刑事処分の対象 |
出典:厚生労働省関東信越厚生局「不正請求等に関する情報提供について」(https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/gyomu/gyomu/hoken_kikan/fuseiseikyu.html)
思わぬ不正請求・不当請求を招かないための3つの注意点
不正請求は、悪意のある行為だけではなく、知識不足や確認漏れによっても発生します。以下の3点を日常業務の点検基準としてご活用ください。
診療報酬改定で算定要件が変わるリスクを把握する
診療報酬改定は原則2年ごとに実施されますが、改定直後は算定要件の変更に気づかないまま算定してしまうリスクが高まりやすい時期です。近年は物価高騰等の影響で1年以内に見直されるものや、事務連絡で算定方法が明らかになるケースもあり、情報の把握が追いつかない場面も生じうるでしょう。
改定内容を網羅的に把握するには、厚生労働省が公表する告示・通知の原文にあたるのが基本です。あわせて、以下の診療報酬改定特集ページも情報収集の一助として参考になさってください。
▶令和8(2026)年度診療報酬改定特集ページを見る
算定ミスが起きやすいシーンを把握する
算定ミスは、算定要件が複雑な点数で起きやすい傾向があるといえます。とくに医学管理等は要件が細かく、カルテへの記載漏れは不当請求の代表例です。
介先医療機関名の記載」や「情報提供の目的・内容の記載」といった算定要件が具体的に示されています。自院のカルテ記載が要件を満たしているかどうか、診療情報提供料の算定要件を解説した記事も参考に、一度ご確認ください。
出典:厚生労働省「保険診療の理解のために(令和7年度版)」(https://www.mhlw.go.jp/content/001521412.pdf)
レセプト点検の体制を確認する
算定に関する知識が豊富なスタッフに点検を一任する運用は、担当者の退職や休職で体制が崩れるリスクを抱えている状態といえます。点検精度を均一に保つためには、算定ルールをまとめたマニュアルの整備や、定期的な勉強会による知識の共有が有効です。
一方、近年は医療事務スタッフの確保が難しい状況が続いています。人的な体制整備が困難な場合、算定支援機能を備えたシステムの活用は、選択肢の一つとして検討する価値があるといえるでしょう。
診療報酬の請求業務向上に寄与する製品紹介
算定精度の向上や点検体制の強化に寄与する製品として、ウィーメックスでは以下の2製品を提供しています。
AI自動算定機能を搭載する電子カルテ「Medicom クラウドカルテ」
「Medicom クラウドカルテ」は、レセコン開発50年以上の知見を活かしたAI自動算定・算定チェック機能を搭載するクラウド型電子カルテです。
診療内容の入力に連動して会計データが自動生成されるため、入力の手間を削減しながら算定漏れ・算定誤りのリスクを低減します。
また、完全クラウド型のため、サーバー設置不要で導入コストを抑えながら運用できる点も特長です。
導入された先生からは「これからいろんな事務スタッフ、働く人が減るなかで、その手間を減らさないと人も集まらない」「コストの取りこぼしがなくなる、少なくなるという点で、AI算定はすごく重宝しています」などの声をいただいております。
製品の詳細情報は製品ページ、ご紹介した先生の事例詳細は事例ページからご覧いただけます。
レセプト院内審査支援システム「べてらん君 collaboration Plus」
「べてらん君 collaboration Plus」は、レセプト点検に特化したシステムです。請求内容を多角的なルールで自動チェックし、査定・返戻リスクのある箇所を抽出します。
スタッフの知識・経験に依存しない点検体制を構築でき、算定要件の見落としや記載漏れによる不当請求を未然に抑制しながら、業務効率化にも貢献します。
製品ページでは、特長をまとめた動画を掲載中です。イメージを深めていただけるため、あわせてご覧ください。
▶「べてらん君 collaboration Plus」の製品ページはこちらから
まとめ
診療報酬の不正請求は、悪意のある行為だけでなく、算定ルールの理解不足や確認体制の不備から生じるケースもあります。通報の仕組みと窓口を把握したうえで、日常的な点検体制の整備と算定知識のアップデートが、適正請求を維持するための基本といえるでしょう。
診療報酬改定のたびに要件が変化するなか、人的な対応だけでは限界が生じる場面もあります。算定支援機能を備えた電子カルテ「Medicom クラウドカルテ」や、レセプト点検システム「べてらん君」の導入を、体制強化の選択肢として検討されてみてはいかがでしょうか。
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