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クリニック経営 医師 事務長 2026.04.07 公開

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OTC類似薬は保険適用除外となるのか?影響と患者さんへの対応を解説

ニュースなどで「OTC類似薬の保険適用除外」という言葉を見聞きし、今後の対応をどう進めればよいか情報を整理したいとお考えの方も多いのではないでしょうか。完全な保険適用除外は見送られ、保険適用を維持しながら患者さんに「特別の料金」を追加徴収する新たな仕組みが創設される方向で整理されています。本記事では、制度変更のロードマップから対象薬剤の一覧、患者さんへの説明のポイントまでを体系的に解説します。院内の対応準備の判断材料としてお役立てください。

※本記事は2026年3月19日時点の情報をもとに記載しております。

#業務効率化 #医療政策 #マネジメント

目次

OTC類似薬の保険給付見直しまでのロードマップ

OTC類似薬の保険給付見直しは、持続可能な社会保障制度の構築と現役世代の保険料負担軽減を目的に骨太の方針2025で明記され、2025年の予算編成過程で議論が本格化しました。

当初は「完全な保険適用除外(全額自己負担)」案も検討されましたが、受診控えや患者さんの負担過大化への懸念から方針が修正され、保険給付を維持しつつ特別の料金を徴収する仕組みへと転換されました。

2026年3月13日には健康保険法等改正案が閣議決定・国会提出済みであり、2026年度(令和8年度)中の施行に向けた法的整備が進んでいる状況です。

OTC類似薬は保険適用除外となるのか?影響と患者さんへの対応を解説

これまでの流れと予定をまとめたものが、以下の表です。

時期 フェーズ 内容
〜2025年12月 方針決定
  • 厚生労働省・社会保障審議会医療保険部会での議論を経て、2025年12月24日の大臣折衝で方針が正式決定
  • 77成分・約1,100品目を対象に、薬剤費の4分の1を「特別の料金」として徴収する新たな仕組みを創設することが合意
2026年度(令和8年度)中 法令整備(国会審議中)
  • 2026年3月13日に健康保険法等改正案が閣議決定・国会提出済み
  • 国会での審議を経て法案成立後、対象医薬品の詳細を専門家の意見をもとに確定予定
  • 院内・薬局の運用整備もあわせて進める必要がある
2026年度(令和8年度)中 制度施行
  • 「特別の料金」の徴収を開始
  • 患者さんは通常の自己負担(1〜3割)に加え、薬剤料の4分の1を別途支払う
  • こどもや難病患者、医師が医療上必要と判断した場合などは特別の料金を求めない配慮措置が設けられる予定
2027年度(令和9年度)以降 段階的拡大の検討 施行状況や国民の理解・セルフメディケーションの浸透状況を踏まえ、対象範囲の拡大や特別料金割合の引き上げが検討

出典:内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2025 について」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2025/2025_basicpolicies_ja.pdf

出典:厚生労働省「OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの在り方について(令和7年12月25日 第209回社会保障審議会医療保険部会)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001621875.pdf

出典:厚生労働省「上野大臣会見概要(令和8年3月13日)(https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00905.html

OTC類似薬リストの紹介

保険給付見直しで「特別の料金」の対象となるのは、OTC医薬品と成分・投与経路が同一で、1日最大用量が異ならない医療用医薬品です。

厚生労働省が2025年12月25日の社会保障審議会医療保険部会で示した候補は77成分・約1,100品目におよび、今後専門家の意見を踏まえて最終的な対象品目が確定する予定です。

OTC類似薬リストの紹介

現時点で対象候補とされている主な成分を、用途別に下表で整理しました。詳細な品目一覧は厚生労働省の公表資料を参考になさってください。自院で主に処方する用途を起点に確認されるとチェックがスムーズです。

用途 有効成分
解熱消炎鎮痛剤 ロキソプロフェンナトリウム水和物
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) イブプロフェン
ジクロフェナクナトリウム
フェルビナク
非ステロイド系消炎鎮痛剤 イブプロフェンピコノール
鎮痛消炎剤 インドメタシン
サリチル酸メチル・dl-カンフル・トウガラシエキス
サリチル酸メチル・l-メントール・dl-カンフル
サリチル酸メチル・l-メントール・dl-カンフル・グリチルレチン酸
鎮痛鎮痒収斂消炎剤 アンモニア水
抗アレルギー薬 アシタザノラスト水和物
エピナスチン塩酸塩
ケトチフェンフマル酸塩
フェキソフェナジン塩酸塩
フェキソフェナジン塩酸塩・塩酸プソイドエフェドリン
ベポタスチンベシル酸塩
ペミロラストカリウム
ロラタジン
アレルギー性鼻炎治療薬 モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物
点鼻用血管収縮剤 塩酸テトラヒドロゾリン・プレドニゾロン
総合感冒剤 サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩
去痰薬 L-カルボシステイン
ステロイド デキサメタゾン
ヒドロコルチゾン酪酸エステル
フルチカゾンプロピオン酸エステル
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
ベタメタゾン吉草酸エステル
ベタメタゾン吉草酸エステル・フラジオマイシン硫酸塩
抗真菌薬 イソコナゾール硝酸塩
オキシコナゾール硝酸塩
クロトリマゾール
テルビナフィン塩酸塩
ブテナフィン塩酸塩
ミコナゾール硝酸塩
抗真菌薬 クロラムフェニコール
クロラムフェニコール・フラジオマイシン硫酸塩・プレドニゾロン
抗生物質・副腎皮質ホルモン配合剤 オキシテトラサイクリン塩酸塩・ヒドロコルチゾン
血行促進・皮膚保湿剤 ヘパリン類似物質
皮膚軟化剤 尿素
皮膚保護剤 オリブ油
収れん・消炎・保護剤 酸化亜鉛
消炎薬 チンク油
軟膏基剤 白色ワセリン
寄生性皮膚疾患剤 サリチル酸
口内炎・舌炎薬 トリアムシノロンアセトニド
制酸・緩下剤 酸化マグネシウム
胃腸薬 炭酸水素ナトリウム
胃薬 イトプリド塩酸塩
緩下剤 ピコスルファートナトリウム水和物
便秘薬 ビサコジル
乳幼児用便秘薬 マルツエキス
止瀉剤 ベルベリン塩化物水和物・ゲンノショウコエキス
殺菌消毒剤 イソプロパノール
エタノール
オキシドール
希ヨードチンキ
クロルヘキシジングルコン酸塩
次亜塩素酸ナトリウム
消毒用エタノール
ベンザルコニウム塩化物
ポビドンヨード
無水エタノール
ヨウ素
口腔用殺菌消毒剤 複方ヨード・グリセリン
眼科用剤 ホウ砂
眼洗浄・消毒薬 ホウ酸
ビタミン剤 アスコルビン酸
トコフェロール酢酸エステル
カルシウム配合剤 沈降炭酸カルシウム・コレカルシフェロール・炭酸マグネシウム
高脂血症薬 ポリエンホスファチジルコリン
頻尿・残尿感薬 フラボキサート塩酸塩
痔治療薬 静脈血管叢エキス
抗ウイルス薬 アシクロビル
ビダラビン
滋養強壮薬 ブドウ酒
矯味剤 ハチミツ
溶解剤 精製水
出典:厚生労働省「特別料金の対象となる医薬品の成分一覧(案)(令和7年12月25日 第209回社会保障審議会医療保険部会 参考資料3)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001621851.pdf

なお、OTC類似薬(医療用医薬品)とOTC医薬品(市販薬)は別物です。OTC類似薬は医師の処方箋が必要な医療用医薬品であり、専門的な医学管理のもとで使用されます。

一方のOTC医薬品は処方箋なしで薬局・ドラッグストアで購入できる一般用医薬品です。保険給付見直しの対象は、成分・効能が類似する医療用医薬品のうち、患者さんが市販薬を選択できると判断されるものに限られます。

診療科別に生じうる影響と対策

特別料金の対象医薬品には、内科・整形外科・耳鼻咽喉科・皮膚科など、幅広い診療科で処方頻度の高い薬剤が含まれています。なかでも整形外科・皮膚科・耳鼻咽喉科は対象成分が多く、処方のたびに患者さんへの説明が発生するケースが想定されます。自院の処方実績と対象成分を照らしあわせ、影響の大きい薬剤から優先的にご確認ください。

なお、特別の料金が課されるのは薬剤料の4分の1です。また、こども・がん患者・難病患者などは、対象成分の処方であっても特別の料金を求めない配慮措置が検討されています。

診療科別に生じうる影響と対策
出典:厚生労働省「OTC類似薬の薬剤給付の見直し」(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671139.pdf

制度変更によるメリット・デメリット

制度変更は、医療機関・患者さん双方に影響を及ぼします。メリット・デメリットの両面を把握したうえで院内の対応方針立案が求められます。具体的な内容を確認していきましょう。

メリット

制度変更によって期待されるメリットは、主に3点です。具体的な内容とともに表で整理しました。

メリット 具体的な内容
公平性の確保 市販薬を自費購入して対応している患者さんと、同成分の医療用医薬品を保険で受け取っている患者さんとの不公平感解消が期待される
社会保障制度の持続可能性
  • 医療資源をより必要性の高い医療へ重点配分できるようになり、現役世代の保険料負担の軽減につながる
  • 厚生労働大臣の答弁では、加入者1人あたり年間約400円の社会保険料軽減が見込まれている
セルフメディケーションの推進 患者さんのヘルスリテラシー向上や、軽微な不調を自分で手当てする意識の醸成につながることが期待される
出典:厚生労働省「上野大臣会見概要(令和8年3月6日(金)9:00~9:18 省内会見室)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00902.html

デメリット

一方で、次のような懸念点も想定されます。こちらも具体的内容とともに表で整理しました。

デメリット 具体的な内容
患者さんの経済的負担の増加
  • 厚生労働省が示した試算では、解熱鎮痛薬(5日分)は45円→72円、抗アレルギー薬(30日分)は540円→855円に増加する
  • 負担増による受診控えを防ぐため、こども・がん患者・難病患者・低所得者・入院患者、および医師が長期使用等を医療上必要と判断した方については、特別の料金を求めない配慮措置が検討されている
受診控えのリスク 患者さんが負担増を嫌って受診のタイミングを先延ばしにした結果、症状の重症化や適切な診断の機会を逃す懸念が生じうる
併用薬管理の複雑化 医療用医薬品と市販薬の併用状況を医療機関・薬局が正確に把握し続けるための手間が増える可能性がある
出典:厚生労働省「OTC類似薬の薬剤給付の見直し」(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001671139.pdf

患者さんへ伝えるべき3つの基本事項

現時点では詳細な運用ルールが確定していない部分もありますが、患者さんからの問い合わせが増える可能性は十分考えられます。

院内で統一した説明の方針を早めに整理しておくと、窓口での混乱防止に効果的です。下記のポイントを院内の対応フロー準備の参考になさってください。

①「保険が使えなくなるわけではない」ことを伝える

「保険適用除外」という言葉が独り歩きしているケースがあります。制度変更は保険適用を維持しつつ、薬剤料の4分の1が「特別の料金」として追加される仕組みです。「保険が使えなくなる」または「支払総額が大きく跳ね上がる」という誤解が生じないよう、丁寧な説明が求められます。

②負担が免除される患者さんの範囲を確認する

下記の患者さんは、特別の料金の対象外となる方向で検討が進んでいます。該当する方へ円滑な案内ができるよう、カルテにメモを残すなど対応の抜け漏れを防ぐ方法を検討しましょう。

  • こども
  • がん患者や難病患者など、配慮が必要な慢性疾患のある方
  • 低所得者
  • 入院患者、または処置等の一環として処方が必要な方
  • 医師が対象医薬品の長期使用等を医療上必要と判断した方

③市販薬との比較案内をスムーズに行えるよう準備する

患者さんから「市販薬に切り替えたほうがよいか」と相談される場面が増えると見込まれます。代表的な薬剤について市販薬との成分・価格差を院内でまとめておくと対応がスムーズです。また、地域の薬局・薬剤師との連携強化も、説明体制を整えるうえで欠かせません。

制度変更をサポートする製品のご紹介

OTC類似薬の保険給付見直しは、2026年度(令和8年度)中の施行に向けて法令整備が進んでいます。詳細な運用ルールが確定した後は、対象薬剤の判定・レセプト対応・患者さんへの説明補助など、クリニックの業務対応が増える見込みです。

とくに、対象成分の多い診療科や院内処方を行っているクリニックでは、処方のたびに特別の料金の徴収可否を判断し、患者さんへ丁寧に説明することが求められます。制度対応を個々のスタッフの判断に委ねると、説明内容のばらつきや会計処理のミスが生じる可能性もあるため、院内での体制整備が欠かせません。

ウィーメックスが提供するクラウド型電子カルテ「Medicom クラウドカルテ」は、診療報酬・医療制度の改定に迅速に対応できる設計が特長です。対象薬剤の判定やレセプト処理の院内負担をおさえながら診療に集中できる環境をご提供します。詳細な機能については、製品ページをご覧ください。

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今から始める準備チェックリスト

2026年度(令和8年度)中の施行に向けて、下記6項目のチェックリストを準備の参考になさってください。

まとめ

OTC類似薬の「保険適用除外」は見送られました。しかし、2026年度(令和8年度)中を目途に「特別の料金」を徴収する新たな仕組みが創設される方向で制度整備が進んでいます。

患者さんへの説明対応・院内運用の整備には一定の準備期間が必要なため、まずは対象薬剤の把握と院内の説明フロー検討から始めてみてはいかがでしょうか。

法令改正の内容や施行日・対象品目の最終決定など、今後も制度の詳細が順次明らかになると想定されます。ウィーメックスが運営するメディコムパークでは、最新の政策ニュースをはじめ、クリニック開業や運営に関する情報を発信しております。会員登録限定のコンテンツも豊富に取り揃えているため、情報収集の一助としてお役立てください。

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著者情報

武田 直也 様

フリーランスWebライター。18年間、医療事務として合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かしたカルテ監査やDPCデータ分析、クリニカルパスなどの医療情報利活用に精通している。

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