#開業検討 #開業直後の悩み #紙カルテの電子化 #システム入替 #事業計画
目次
電子カルテ補助金の全体像
電子カルテの導入にはまとまった費用が必要ですが、国や地方自治体の補助金制度を活用することで負担を軽減できます。ここでは、電子カルテ導入に利用可能な補助金の種類と特徴、実際の採択状況について解説します。

補助金の概要
経済産業省中小企業庁が行うIT導入補助金や厚生労働省(社会保険診療報酬支払基金)が行う医療情報化支援基金等(ICT基金)をはじめとして、さまざまな管轄機関が電子カルテに利用できる補助金を公表しています。
なお、補助金によっては電子カルテ以外のITツール(レセプトコンピュータや会計・労務管理システムなど)も対象です。以下のページで製品ごとの補助金制度をご覧いただけます。具体化の一助としてご活用ください。
補助金・助成金のご紹介(電子カルテ・レセコン・電子薬歴の導入の方へ)
合否を意味する採択の現状
補助金は、申請すれば必ず受給できるものではありません。IT導入補助金2025の採択状況を確認すると30%から50%の値で推移していることがわかります。


出典:中小企業庁「IT導入補助金2025サービス等生産性向上IT導入支援事業交付決定者一覧2025年10月31日更新」(https://it-shien.smrj.go.jp/download/grantdecision_list/)より著者作成
補助金の申請では導入目的や活用計画の策定、費用対効果の数値化などを盛り込み、審査側に内容を理解してもらいやすくする工夫が必要です。
IT導入補助金の公式サイトでは「ITツール活用事例」として、採択された医療機関の情報を確認できます。イメージを膨らませる参考にされるとよいでしょう。
状況別補助金ガイド
ここからは、診療所の状況ごとにどのような補助金が適しているのか、導入や移行のメリットを整理して提示します。
パターン1:電子カルテ未導入の診療所
電子カルテを新規で導入する診療所の場合「IT導入補助金(通常枠) 」の活用が現実的です。補助上限は150万円と限定的ですが、年に複数回の申請機会が設けられているため、利用しやすい制度といえるでしょう。
具体的な導入のメリットと、やるべきことは以下のとおりです。
【導入のメリット】
- クラウド型電子カルテなら初期費用を抑えられる
- 標準規格に対応した製品を選ぶことで、他院との連携もスムーズに
- レセコンと一体型のシステムなら、業務効率が大幅に向上
【やるべきこと】
- IT導入支援事業者として登録されているITベンダーを選定
- 補助金申請に必要な書類を準備
- 次回の公募時期にあわせて申請
パターン2:オンプレミス型の電子カルテを導入している診療所
すでにオンプレミス型の電子カルテを利用している診療所でも、クラウド型に移行することでIT導入補助金のインボイス枠を活用できる可能性があります。とくに、導入から5年以上経過している場合や、サーバー管理の負担で悩んでいる場合は、システム更新のタイミングといえるでしょう。
オンプレミス型からクラウド型への移行で考えられるメリットと、やるべきことは以下のとおりです。
【移行によるメリット】
- サーバー管理が不要になり、運用負担が軽減
- 災害時のデータ保護(BCP対策)
- 在宅医療や訪問診療での活用が容易
- 標準規格への対応が進んでいる
【やるべきこと】
- クラウド型で業務効率化が叶うかどうかを確認する
- IT導入支援事業者として登録されているITベンダーを選定
- 現行システムとの並行稼働期間を設け、余裕を持って移行する
IT導入補助金活用ガイド
ここからは、IT導入補助金をどのように使い、どのようなスケジュールで進んでいくのか、具体例を交えながら解説します。
申請要件の詳細
医療法人が申請要件に該当します。定義では従業員数が300人以下の場合と記載されているため、多くの診療所が当てはまるでしょう。
申請要件に含まれている経費は、以下のとおりです。
- ソフトウェア購入費
- クラウド利用料(最大2年分)
- 導入関連費(マイグレーション、研修費等)
なお、IT導入補助金2025では、以下の内容が変更されました。
- 通常枠の最低賃金近傍の事業者補助率:2/3
- 通常枠の単独申請可能なツールの拡大
- セキュリティ対策推進枠の上限150万円へ拡大
- セキュリティ対策推進枠の小規模事業者補助率:2/3

出典:中小企業庁「サービス等生産性向上IT導入支援事業『IT導入補助金2025』の概要」(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_it_summary.pdf)P1
申請から導入までのスケジュール
IT導入補助金は申請してから運用開始まで、およそ6か月かかると見込まれます。フェーズごとに要する期間の目安とタスクを洗い出しました。準備の参考になさってください。
-
事前準備期間(1か月)
- gBizIDプライムの取得
- 必要書類の準備
- ITベンダーとの打ち合わせ
-
申請期間(2週間)
- 申請書類の作成
- ITベンダーによる申請支援
- オンライン申請
-
審査期間(1か月)
- 審査結果を待つ
- 追加資料の提出(必要な場合)
-
導入期間(2-3か月)
- システム導入
- 運用開始
なお、IT導入補助金2025の通常枠とインボイス枠の具体的なスケジュールは、以下のとおりです。
【通常枠・インボイス枠共通】
| 締切分 | 締切日 | 交付決定日 (予定) |
事業実施期間 (予定) |
事業実績報告期限 (予定) |
|---|---|---|---|---|
| 7次締切分 | 2025年12月2日 | 2026年1月20日 | 交付決定~2026年7月31日 | 2026年7月31日 |
| 8次締切分 (最終回) |
2026年1月7日 | 2026年2月17日 | 交付決定~2026年8月31日 | 2026年8月31日 |
出典:IT導入補助金2025サービス等生産性向上IT導入支援事業「事業スケジュール」(https://it-shien.smrj.go.jp/schedule/)
補助金対象の電子カルテ例:メディコム
補助金対象の電子カルテは複数あり、ウィーメックスのメディコムシリーズもその1つです。以下の強みを持っており、診療所向け電子カルテ 診療所シェアNo.1 ※の評価を受けています。
※診療所向け電子カルテシステム診療所シェアNo.1に関する出典:株式会社富士経済「2025年版 医療・ヘルスケア・製薬DX関連市場の現状と将来展望」 より2024年実績 金額ベース 診療所向け電子カルテ(オンプレミス型/クラウド型)
【メディコムの強み】
- 50年以上のレセプトコンピュータ開発実績に基づく使いやすい機能設計
- 標準規格(HL7 FHIR等)への対応
- 補助金申請のサポート体制が充実
適した製品の選び方や、個別の補助金活用アドバイスにつきましては、お近くの弊社営業所へ直接もしくはフォームからお問い合わせください。
電子カルテの実質的な義務化の背景
国は2030年までに医療機関の電子カルテ導入率100%を目標として設定しており、実質的な義務化に向けた動きが加速しています。単なる数値目標ではなく「医療DX令和ビジョン2030」という国家戦略の中核を担うものです。
より詳しい内容については以下の記事でも解説しているため、あわせてご覧ください。
関連記事:電子カルテは義務化されるのか?現在の動向を解説
医療DX推進に必要な標準化によるメリット
厚生労働省は、医療DXの推進において標準規格化を重要な柱として位置づけています。なぜなら、異なる医療機関やシステム間でのデータ連携を可能にし、患者情報の共有や医療の質向上を図るためです。
標準規格化に対応した電子カルテのメリットは、以下のとおりです。
- 他院との患者情報連携がスムーズ
- システム変更時のデータ移行が容易
- 地域医療連携への参加が可能
実質的な義務化が促進されるタイミング
厚生労働省の方針では「5~7年ごとのシステム更改のタイミングで、標準規格化を促す」とされています。つまり、次回のシステム更新時には、標準規格対応が実質的に必須となる可能性が高いと解釈できます。
実質的な義務化に対応したシステム例
ウィーメックスのメディコムシリーズは医療情報の標準規格化に早期から取り組んでおり、以下の規格に対応しています。
- HL7 FHIR:医療情報交換の国際標準規格
- SS-MIX2:厚生労働省標準規格
- オンライン資格確認
将来的な補助金制度にも確実に対応できるため、安心して長期にわたって利用いただけます。
補助金申請時の注意点
ここからは、補助金申請時によく起こる失敗と回避策を紹介します。採択率を高めるための参考としてご一読ください。
1.よくある申請ミスを確認する
補助金の申請で起こりうる3つのミスと、考えられる回避方法をまとめました。実際に手を動かす際の参考になさってください。
-
ミス1:gBizIDプライムの取得遅れ
- 申請の数か月前から事前の準備を開始する
- 取得には申請してから2~3週間かかることを想定しておく
-
ミス2:必要書類の不備
- チェックリストを活用し、確実性を高める
- ITベンダーにダブルチェックをお願いする
-
ミス3:申請期限ギリギリの提出
- 締め切りの1週間前までに提出を完了させる
- 万が一のシステムトラブルに備え、紙媒体でバックアップをとっておく
2.信頼できるITベンダーを選ぶ
補助金申請の成否は、ITベンダー選びで大きく左右されます。信頼できるITベンダーの条件をまとめたため、選定の参考になさってください。
- IT導入支援事業者として登録されている
- 豊富な補助金申請のサポート実績を有している
- 申請書作成の具体的な支援が受けられる
- 不採択時のフォロー体制がとられている
申請内容を改善する
万が一、不採択となった場合も諦める必要はありません。以下を参考に次のアクションへ移り、申請内容を改善しましょう。
-
不採択理由の分析
- 審査結果を詳細に確認
- ITベンダーと改善点を協議
-
次回申請への準備
- 年3-4回の申請機会を活用
- 申請内容をブラッシュアップ
-
代替案の検討
- リース契約の活用
- 段階的導入の検討
今すぐやるべきアクションプラン
これまでの内容を踏まえて、自院でやるべきことを整理してお伝えします。チェックリスト形式にしているため、進行状況にあわせてご活用ください。
1.自院の状況を確認チェックする
現状を可視化し、正確に把握するためのチェックリストは以下のとおりです。

2.補助金申請の準備をチェックする
申請に際し、準備状況を確認するためのチェックリストは以下のとおりです。

なお、事業計画については、IT導入支援事業者と分担して入力し作成します。次項で伝えるITベンダーへの相談ポイントの1つとして、サポート内容を確認するようにしましょう。
3.ITベンダーへの相談内容を確認する
ITベンダーに相談する際は、以下の点を確認しましょう。
-
補助金対応について
- IT導入支援事業者としての登録状況
- 過去の補助金申請実績
- 申請サポートの具体的内容
-
システムについて
- 標準規格への対応状況
- 他システムとの連携性
-
サポート体制
- 導入時の研修体制
- 運用開始後のフォロー
- トラブル時の対応
補助金に関してよくある質問
ここからは、補助金に関してよくある5つの質問について、Q&A形式で紹介します。
Q1.補助金の併用は可能ですか?
A. 原則として、同一の経費に対して複数の補助金を併用することはできません。ただし、異なる経費項目であれば、複数の補助金を活用できる場合があります。詳しくは各補助金の公募要領をご確認ください。
Q2.レセコンと電子カルテの同時導入は可能ですか?
A. 可能です。むしろ、一体型の電子カルテを導入することで、業務効率が大幅に向上します。ウィーメックスでは、メディコムシリーズとしてレセコン機能を含む医事一体型電子カルテを提供しています。
Q3.標準規格化対応は必須ですか?
A. 現時点で必須ではありませんが、厚生労働省の方針により、今後は標準規格対応が補助金の要件となる可能性が高いです。将来を見据えて、今から標準規格対応製品を選ぶことをおすすめします。
Q4.小規模な診療所でも申請できますか?
A. もちろん申請可能です。むしろ、小規模診療所こそ補助金を活用することで、限られた予算で電子カルテを導入できます。
Q5.申請が不採択になった場合、再申請できますか?
A. はい、できます。IT導入補助金は年に複数回の公募があるため、不採択となっても次回に再チャレンジ可能です。不採択理由を分析し、内容を改善して申請することで、採択率が向上します。
電子カルテ導入は信頼できるITベンダー選びから
電子カルテ導入の補助金は、制度が複雑で申請も大変そうに見えますが、適切なITベンダーのサポートがあれば、決して難しくありません。
国が医療DXを推進している今こそ、補助金を活用して電子カルテを導入する絶好のタイミングです。
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