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クリニック経営 医師 事務長 2026.06.02 公開

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電子カルテ情報共有サービスの中身とは?情報共有が進む理由を解説

2026年冬頃の本格運用に向けて、電子カルテ情報共有サービスは準備が加速しています。2026年度の診療報酬改定では新設の「電子的診療情報連携体制整備加算」の施設基準にも関わり、対応の有無が算定区分に直結します。本記事は「そもそも何ができるサービスなのか」「いつまでに何をすべきか」をあらためて整理したい開業医の方、またこれから開業を控えた勤務医の先生にとっても参考にしていただける内容です。3文書6情報の枠組みから施設基準・スケジュール・導入手順・費用まで体系的に解説しますので、自院の対応方針を整理する際にお役立てください。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策

目次

電子カルテ情報共有サービスの中身

電子カルテ情報共有サービスは、厚生労働省が推進する「全国医療情報プラットフォーム」を構成する仕組みの1つです。全国の医療機関や薬局が患者さんの電子カルテ情報を共有・閲覧でき、患者さんもマイナポータル上で自分の情報を確認できます。

ここからは概要把握として、提供される機能と想定される変化について解説します。

電子カルテ情報共有サービスの中身とは?情報共有が進む理由を解説
出典:厚生労働省「電子カルテ情報共有サービス」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/denkarukyouyuu.html

サービスの枠組みとなる3文書6情報

電子カルテ情報共有サービスでは、「3文書6情報」として整理されている医療データの標準化が行われます。それぞれの内容は、下表のとおりです。

サービスの枠組み 共有される情報内容
3文書
  • 診療情報提供書
  • 退院時サマリー
  • 健康診断結果報告書
6情報
  • 傷病名
  • アレルギー情報
  • 感染症情報
  • 薬剤禁忌情報
  • 検査情報(救急および生活習慣病)
  • 処方情報

各情報はHL7 FHIR(エイチエルセブンファイヤー)と呼ばれる国際標準規格を活用して標準化されており、異なる電子カルテシステム間でもデータの受け渡しが可能です。情報共有にあたっては原則として患者さんの同意が必要であり、同意なく閲覧できる仕組みではありません。

なお、「HL7 FHIR」について解説した記事も用意しているため、あわせて参考になさってください。

出典:厚生労働省「電子カルテ情報共有サービスについて」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/denkarukyouyuu.html

導入により生じる具体的な変化

電子カルテ情報共有サービスが国として推進される背景には、医療機関同士・医療機関と患者さん・医療と介護をつなぐ情報連携の強化があります。

  • 転院・紹介時に診療情報提供書を電子送付できる
  • 初診患者さんの傷病名・処方・検査結果を事前に把握できる
  • 重複検査・重複投薬のリスクを低減できる
  • 救急・災害時に患者さんの基本情報へアクセスしやすくなる

紙ベースの情報共有では時間やコストがかかっていた業務が電子化されるため、医療事務の負担軽減と診療の質向上が同時に見込まれます。

電子カルテ情報共有サービスが推進される理由

電子カルテ情報共有サービスが国として推進される背景には、医療機関同士・医療機関と患者さん・医療と介護をつなぐ情報連携の強化があります。

厚生労働省の医療等情報利活用ワーキンググループの資料から、読み取れる推進理由をまとめました。

推進理由 詳細
医療機関同士の情報共有推進
  • 医療機関間で患者の診療情報がスムーズに共有されることで、機能分化と連携・病診連携・医科歯科連携を進める
  • 救急・災害時においても、過去の診療情報をもとに的確な判断が可能
医療機関と患者間の情報共有推進
  • 6情報がマイナポータル上で閲覧できるため、患者さんが自分の健康情報を把握しやすくする
  • 健診結果の電子共有により、迅速な保健指導や受診勧奨にもつなげる
医療と介護間の情報共有推進
  • 入退院時に医療・介護関係者が状況を共有できることで、より良いケアを効率的に提供できる体制を整備する
  • 電子カルテ情報の二次利用により、医療・介護サービスの費用対効果の分析も可能

少子高齢化が進むなかで質の高い医療を持続的に提供するための基盤として、電子カルテ情報共有サービスの普及を強力に推進していると整理できます。

出典:厚生労働省「健康・医療・介護情報利活用検討会第30回医療等情報利活用ワーキンググループ第10回介護情報利活用ワーキンググループ2026(令和8)年3月18日「全国医療情報プラットフォーム」における医療介護連携の進め方について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001675790.pdf

自院の状況から確認する 電子カルテ情報共有サービス対応チェックリスト

電子カルテ情報共有サービスへの対応に向けて取るべき行動は、自院の現状によって異なります。以下の3パターンから自院に近い状況を確認し、次のアクションを整理する際の参考になさってください。

パターンA:電子カルテをまだ導入していないクリニック

電子カルテ情報共有サービスを利用するには、電子カルテの導入が前提となります。まず電子カルテの選定から始める必要があります。

想定される選択肢は、下表の2通りです。

選択肢 概要 向いているケース
対応済みの民間ベンダ製品を導入
  • 現時点で電子カルテ情報共有サービスに対応している製品を選定・導入
  • 早期に加算算定体制を整えたい場合
  • サポート体制を重視する場合
標準型電子カルテを待って導入を検討
  • 国が開発中のクラウドネイティブ型電子カルテ
  • 2026 年度中の完成を目途に開発が進んでいる
  • 導入コストを抑えたい場合

標準型電子カルテは電子カルテ情報共有サービスへの対応を前提とした設計となっており、費用を抑えやすい点が特徴です。ただし、現時点では機能が限定的であり、民間ベンダ製品と比べてレセコン機能の充実度や操作性に制約があります。提供スケジュールも流動的なため、直近で算定対応を進めたい場合は対応済みの民間ベンダ製品が現実的な選択肢といえるでしょう。

なお、標準型電子カルテについて詳細に解説した記事もご用意しているため、参考になさってください。

出典:厚生労働省「電子カルテの普及についてP8」(https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001657580.pdf

パターンB:電子カルテ導入済みのクリニック

現行の電子カルテベンダが電子カルテ情報共有サービスに対応しているかどうかの確認が、最初のステップです。

確認の流れは以下のとおりです。

  • 「医療機関等向け総合ポータルサイト」の対応ベンダ一覧で自院の製品を照合する
  • 対応済み→補助金申請・運用準備に向けて導入手順を確認する
  • 対応予定→ベンダに対応時期を確認しスケジュールを組む
  • 未対応・時期不明→対応ベンダに詳細を問い合わせる

経過措置の詳細や加算区分への影響については、後述の「電子カルテ情報共有サービスが関連する施設基準」をご参照ください。乗り換えを検討する場合も、経過措置期間を準備期間として活用しながら進められるでしょう。

出典:医療機関等向け総合ポータルサイト「本サービスに対応しているシステムベンダ」(https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0011779

パターンC:これから開業する勤務医

電子カルテ選定の段階から電子カルテ情報共有サービスへの対応状況を確認すると、開業当初から電子的診療情報連携体制整備加算の算定体制も整えやすくなります。

選択肢は下表の2通りです。

選択肢 概要 向いているケース
対応済みの民間ベンダ製品を選定 現時点でサービスに対応した製品を選び、開業当初から算定体制を構築
  • 開業タイミングが2027年度より前の場合
  • 機能の充実度を重視する場合
標準型電子カルテを選択肢に加えて検討
  • 2026年度中の完成を目途に開発中
  • 低コストでの導入が期待される
  • 開業タイミングが2027年度以降の場合
  • 導入コストを抑えたい場合

標準型電子カルテは開業タイミングと完成時期が合えば候補となりますが、提供スケジュールや機能の充実度は今後の開発状況により変動する可能性があります。定期的に厚生労働省やデジタル庁の情報を確認しておきましょう。

出典:厚生労働省「電子カルテの普及についてP8」(https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001657580.pdf

電子カルテ情報共有サービスが関連する施設基準

電子カルテ情報共有サービスへの対応は、2026年度(令和8年度)診療報酬改定で新設された「電子的診療情報連携体制整備加算」の施設基準にも関わります。詳細な点数・施設基準は解説記事を参考になさってください。

なお、電子カルテ情報共有サービスの本格運用スケジュールを踏まえ、サービスの活用に関する要件については2027年(令和9年)5月31日までの経過措置が設けられています。現時点でサービスが未対応の医療機関も、経過措置期間中は要件を満たしているものとみなされますが、本格運用開始後は速やかな導入対応が求められるでしょう。

また、病院においては「医療提供機能連携確保加算」の施設基準にも電子カルテ情報共有サービスへの対応が望ましいとされており、病診連携の観点からも対応推進の意図があると読み取れます。

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】P194~196」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71068.html

今後のスケジュール

電子カルテ情報共有サービスの本格運用に向けたスケジュールは下表のとおりです。

今後のスケジュール

システムベンダによる準備期間も必要となるため、各医療機関での運用は2027年度からが想定されます。スケジュールは整備の過程で浮き彫りになった課題への対応状況により変更となる可能性もあるため、厚労省の情報は定期的に確認しておきましょう。

出典:厚生労働省「電子カルテ情報共有サービスについて概要案内2.0版【医療機関、薬局の方々へ】P16」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001457777.pdf

電子カルテ情報共有サービスの導入手順

電子カルテ情報共有サービスの導入は、次の4ステップで進めます(補助金利用の場合)。

  • システム事業者への見積もり・発注・導入
  • 補助金の申請・交付決定・入金
  • 運用準備
  • 運用開始
電子カルテ情報共有サービスの導入手順
出典:医療機関向け総合ポータルサイト「電子カルテ情報共有サービスの導入・運用方法」(https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0010241

医療機関等向け総合ポータルサイト上で利用申請を進めます。具体的な作業内容は、同ポータルサイトで公開されている「手順書・マニュアル」が参考になるでしょう。

電子カルテ情報共有サービスの費用・補助金

ここからは、実際に電子カルテ情報共有サービス導入に関する費用と、活用できる補助金について整理してお伝えします。

費用

電子カルテ情報共有サービスの開発費用は国が全額補助するため、医療機関の負担はありません。ただし、導入後の運用費用については継続的な負担が生じる見込みです。

運用時に想定される費用の種類は以下のとおりです。

  • システム保守管理費
  • クラウドサービス利用料
  • 回線利用料など

運用費用の具体的な金額は、医療機関の規模や構築しているシステム環境によって異なります。自院が導入しているシステムベンダに事前に確認しておくと、目安が把握しやすくなるでしょう。

出典:厚生労働省「第189回社会保障審議会医療保険部会(ペーパーレス)資料医療DXの推進等についてP1」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001351611.pdf

補助金

電子カルテ情報共有サービスに関する補助金の対象は、病院(200床までの中規模病院と200床以上の大規模病院)です。クリニックは、現時点では補助金の対象外となっています(詳細はFAQをご参照ください)。

補助率や補助上限は、健診実施の有無(健診部門システムの導入状況)によって異なります。補助金の申請や最新情報は医療機関等向け総合ポータルサイトをご確認ください。

補助金
出典:医療機関等向け総合ポータルサイト「電子カルテ情報共有サービスの導入に係る補助金」(https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0010765#item19

ウィーメックスは電子カルテ情報共有サービスに対応するベンダ

ウィーメックスは、医療機関等向け総合ポータルサイトに掲載されている電子カルテ情報共有サービス対応済みのベンダです。

出典:医療機関等向け総合ポータルサイト「本サービスに対応しているシステムベンダ」(https://iryohokenjyoho.service-now.com/csm?id=kb_article_view&sysparm_article=KB0011779

2027年予定の本格運用に向けて対応を進めるには、政策動向を踏まえたシステム整備と充実したサポート体制が欠かせません。開業時から電子的診療情報連携体制整備加算1の算定を目指す先生目線では、電子カルテ情報共有サービスと電子処方箋の両方に対応した製品選定が今後主流になってくるでしょう。

ウィーメックスでは、医療DXの推進をトータルでサポートする製品・体制を整えております。「導入時、担当スタッフの方がセッティングからいろいろとやっていただいて、開業までの間、わからないことをしっかりと教えていただき、本当に助かりました」と、サポート体制※を評価いただいている事例もございます。

※サポートはご契約製品/プランにより異なります。詳細はお問い合わせください。

クリニック向けの製品は以下のページにまとめているため、具体的に選定の話を進める際には、参考になさってください。

クリニック向け製品一覧

電子カルテ情報共有サービスに関してよくある質問

ここからは、電子カルテ情報共有サービスに関連する4つの質問について、整理してお伝えします。

クリニックは補助の対象外ですか?

電子カルテ情報共有サービスの開発費用は国が全額負担するため、クリニックを含むすべての医療機関で改修費用の負担は生じません。

ただし、運用費用に対する補助は病院(200床未満の中規模病院および200床以上の大規模病院)が対象となっており、クリニックは対象外です。

クリニックが活用できる補助金を解説した記事もご用意しているため、費用負担の軽減策を探される場合には参考になさってください。

患者さんの同意なしに情報が閲覧できてしまうのでしょうか?

電子カルテ情報共有サービスを通じた情報の閲覧は、原則として患者さんが同意した範囲に限定されます。また、診療情報提供書(紹介状)は、紹介先に送付する前に口頭で患者さんの同意を得る必要があります。

出典:厚生労働省「電子カルテ情報共有サービスについて概要案内2.0版【医療機関、薬局の方々へ】P2」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001457777.pdf

今使っている電子カルテベンダが対応していない場合どうすればいいですか?

未対応の場合は、対応ベンダへの乗り換えが必要となる可能性があります。ただし、ベンダによっては対応予定時期が設定されている場合もあるため、まずは現在のベンダへ問い合わせ、対応状況と対応見込み時期を確認しましょう。乗り換えを検討する場合は、データ移行の条件やサポート体制もあわせてご確認ください。

電子カルテ情報共有サービスに対応しないと診療報酬に影響がありますか?

2026年度改定で新設された「電子的診療情報連携体制整備加算」では、電子カルテ情報共有サービスと電子処方箋の対応状況に応じて加算1〜3の算定区分が決まります。最高評価の加算1(初診15点)を算定するには、電子処方箋と電子カルテ情報共有サービスの両方への対応が求められます。

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】P194~196」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71068.html

まとめ

電子カルテ情報共有サービスは、3文書6情報の標準化を基盤に、医療機関間・医療介護間の情報連携を実現する国の仕組みです。2027年予定の本格運用に向けてモデル事業での検証が進んでおり、2026年度診療報酬改定では電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準にも組み込まれました。義務化はされていませんが、算定区分に直結するため、クリニックの経営判断として早期の準備対応が求められるといえるでしょう。

既開業の先生は、まず現行ベンダへの対応確認と経過措置を活用した段階的な準備が第一歩となります。開業準備中の先生は、電子カルテ選定の段階から対応ベンダを選ぶことで、開業当初からの加算算定体制が整います。

ウィーメックスは電子カルテ情報共有サービスに対応したベンダです。対応の準備状況や具体的な導入費用については、資料請求や無料相談をご活用いただければ幸いです。

電子カルテ情報共有サービスに対応したベンダに問い合わせる

著者情報

武田 直也 様

フリーランスWebライター。18年間、医療事務として合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かしたカルテ監査やDPCデータ分析、クリニカルパスなどの医療情報利活用に精通している。

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