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診療報酬・調剤報酬 医師 事務長 2026.10.16 公開

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【2026年度改定対応】在宅自己注射指導管理料の算定ポイントを具体例付きで解説!

在宅自己注射指導管理料は、算定漏れが起きやすい管理料の1つです。2026年度の改定では、対象となる注射薬の追加や個別留意事項の新設などの変更が加わりました。本記事では算定要件の基本からおさらいしつつ、2026年度改定での変更点や実際の算定時におさえておきたい工夫を整理してお伝えします。※本記事の内容は、2026年9月末時点の情報に基づき記載しております。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業直後の悩み #業務効率化 #レセプトの悩み #紙カルテの電子化

目次

在宅自己注射指導管理料の算定要件と算定ポイント

在宅自己注射指導管理料は算定区分と加算が多岐にわたるため、適切かつ確実な算定が求められる診療報酬です。2026年度改定を踏まえた算定要件をチェックリストで整理しました。概要の確認用としてご参照ください。

【2026年度改定対応】在宅自己注射指導管理料の算定ポイントを具体例付きで解説!

各項目の詳細について、以下よりお伝えします。

出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)医科点数表」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html)

出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(令和8年3月5日保医発0305第6号)(0529訂正後)医科点数表」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html)

基本の算定要件

在宅自己注射指導管理料の対象は、厚生労働大臣が定める注射薬を自己注射している外来患者さんです。

点数は、「対面診療」と「情報通信機器を用いた場合」でわかれており、それぞれ下表のとおりです。なお、「情報通信機器を用いた場合」の算定をするためには、(基本診療料の)情報通信機器を用いた診療(オンライン診療)に関する施設基準の届出を行っている保険医療機関であることが必要です。 詳細は管轄の地方厚生局へお問い合わせください。

【区分ごとの点数(2026年度改定に基づく)】

区分 対面診療 情報通信機器を用いた場合
複雑な場合(間歇注入シリンジポンプを使用) 1,230点 1,070点
月27回以下の場合(複雑な場合以外) 650点 566点
月28回以上の場合(複雑な場合以外) 750点 653点

なお、対象薬剤はインスリン製剤や性腺刺激ホルモン製剤など90種類(2026年9月末日時点)におよびます。数の多さにくわえ一般名で記載されているため、自院で採用している製品名との突合が必要です。一覧表を作成しておくと、会計担当者の知識に依存しない算定体制が整うでしょう。

そのほか、算定に際し下記の内容は落とさないように、運用上の工夫が必要です。

  • 導入前は、入院または2回以上の外来・往診・訪問診療による十分な教育期間を設ける必要がある(アドレナリン製剤を除く)
  • 導入時または注射薬の変更・追加時に、指導内容を記載した文書を作成し、患者さんへ交付する
  • 同一月に併算定できない医学管理等を算定している患者さんについては、算定できない

出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf)

出典:厚生労働省「特掲診療料の施設基準等(平成二十年三月五日)(厚生労働省告示第六十三号)別表第九 在宅自己注射指導管理料、間歇注入シリンジポンプ加算、持続血糖測定器加算及び注入器用注射針加算に規定する注射薬(令八厚労告七一(令八厚労告一九六・令八厚労告二〇七)・全改)」(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa9733&dataType=0)

導入初期加算

新たに在宅自己注射を導入した患者さんに対し、指導を開始した月から3か月を限度に、月1回580点の加算が可能(2026年度改定に基づく)です。処方内容に変更があった場合は、その月から1か月を限度に1回に限り、あらためて算定できます。

ただし、過去1年以内に使用歴のある注射薬への変更や、先行バイオ医薬品とバイオ後続品の変更、同一の先発バイオ医薬品をもつバイオ後続品どうしの変更では算定できません。また、対面診療に限って算定できる点も、あわせて確認しておきましょう。

出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(令和8年3月5日保医発0305第6号)(0529訂正後)医科点数表」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html)

バイオ後続品導入初期加算

バイオ後続品の有効性や安全性を患者さんへ説明したうえで処方した場合に、初回処方月から3か月を限度として、月1回150点を加算できます(2026年度改定に基づく)。

一般的名称または販売名でバイオ後続品を処方したことが要件です。具体例は下記のとおりです。

【処方例】

  • 「○○○○○○(遺伝子組換え)[●●●●●後続1]」
  • 「●●●●● BS 注射液 含量 会社名」

こちらも対面診療に限り算定できます。

出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)医科点数表」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html)

血糖自己測定器加算

本加算は、測定回数ごとに対象患者さんが定義づけされています。点数を含めて整理したものが下表です。

測定回数 点数(2026年度改定に基づく) 対象患者
月20回以上 350点
  • イ インスリン製剤又はヒトソマトメジンC製剤の自己注射を1日に1回以上行っている患者(1型糖尿病の患者及び膵全摘後の患者を除く。)
  • ロ インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上行っている患者(1型糖尿病の患者又は膵全摘後の患者に限る。)
  • ハ 12歳未満の小児低血糖症の患者
  • ニ 妊娠中の糖尿病患者又は妊娠糖尿病の患者(別に厚生労働大臣が定める者に限る。)
月30回以上 465点
月40回以上 580点
月60回以上 830点
月90回以上 1,170点
  • イ インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上行っている患者(1型糖尿病の患者又は膵全摘後の患者に限る。)
  • ロ 12歳未満の小児低血糖症の患者
  • ハ 妊娠中の糖尿病患者又は妊娠糖尿病の患者(別に厚生労働大臣が定める者に限る。)
月120回以上 1,490点
間歇スキャン式持続血糖測定器によるもの 1,250点 インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上行っている入院中の患者以外の患者に対して、血糖自己測定値に基づく指導を行うため、間歇スキャン式持続血糖測定器を使用した場合

月の測定回数をカルテへ記録しておくと、レセプト点検時など後から確認しやすくなります。

出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(令和8年3月5日保医発0305第6号)(0529訂正後)医科点数表」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html)

注入器加算

対象となる注射薬の自己注射を行っている患者さんに対し、注入器を処方した月に300点を加算(2026年度改定に基づく)できます。針付一体型の製剤は算定対象外のため、処方する製剤の形状が会計担当者に共有されていると、算定漏れや誤算定防止につながります。

出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(令和8年3月5日保医発0305第6号)(0529訂正後)医科点数表」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html)

注入器用注射針加算

対象となる注射薬の自己注射を行っている患者さんに対し、注入器用の注射針を処方した場合に加算できます。

2つの区分に関する定義は下表のとおりです。

点数(2026年度改定に基づく) 定義
200点 糖尿病で1日概ね4回以上自己注射が必要な場合又は血友病で自己注射が必要な場合
130点 上記以外の場合
出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)医科点数表」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html)

2026年度改定での2つの変更点

2026年度改定では、在宅自己注射指導管理料の算定要件に大きな変更は入りませんでした。ただし、対象注射薬の追加と個別薬剤の留意事項の2点が更新されています。なお、対象薬剤は事務連絡等で随時更新される可能性があるため、最新情報は厚生労働省のページもあわせてご確認ください。

変更点①対象注射薬の追加

対象薬剤の追加は、新しい算定機会が生まれたチャンスと捉えられます。2026年9月末時点で通知された追加薬剤は、下記7品目です。

  • ベドリズマブ製剤
  • ミリキズマブ製剤
  • ベンラリズマブ製剤
  • クロバリマブ製剤
  • グセルクマブ製剤
  • pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)
  • ボルヒアルロニダーゼ アルファ製剤

なお、一般名称で記載されているため、自院での影響範囲については院内採用の製品名と照らしあわせてご確認ください。

出典:厚生労働省「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等の一部改正等について」(令和8年5月29日保医発0529第1号)(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00td0142&dataType=1&pageNo=1)

変更点②個別薬剤の留意事項新設

対象薬剤の追加にあわせて、個別の算定条件も新設されています。下表で薬剤ごとの留意事項を整理しました。

薬剤 留意事項

トシリズマブ製剤

アバタセプト製剤

皮下注射により用いた場合に限り算定可能
ベンラリズマブ製剤 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の患者さんに用いた場合に限り算定可能
グセルクマブ製剤
  • 4週間を超える間隔での自己注射に限る
  • 潰瘍性大腸炎・クローン病の患者さんに用いた場合に限る
  • 針付注入器一体型キットのため注入器加算等は併算定不可
pH4処理酸性人免疫グロブリン製剤
  • 注入器加算の対象外
  • 注入ポンプ加算の対象薬剤に該当
ボルヒアルロニダーゼ アルファ製剤

算定において組み合わせを取り違えないよう、院内採用時にスタッフ間での対応を確認されておくとよいでしょう。

出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(令和8年3月5日保医発0305第6号)(0529訂正後)医科点数表」(https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732089.pdf)

出典:厚生労働省「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等の一部改正等について」(令和8年5月29日保医発0529第1号)(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00td0142&dataType=1&pageNo=1)

実際に算定する際の工夫と注意点

在宅自己注射指導管理料を適切に算定するためには、単に要件を満たすだけでなく、記録の管理や他の診療報酬との切り分けが可能な運用が重要です。

患者さんへの指導内容が算定要件になっている診療報酬は行政指導で指摘されやすいため、平時からの正しい運用が功を奏します。そこで、3つの具体策について以下より解説します。

算定要件を満たしていることを証明する記録を残す

算定要件を満たしていることを証明するためには、指導内容や管理内容のカルテ記載が必須です。具体的には、下記項目をカルテに残すイメージです。

【記載項目】

  • 患者さんの自己注射の状況
  • 注射手技の指導内容
  • 副作用や注射部位の観察結果
  • 血糖値等の検査結果に基づく指導内容

【記載イメージ】

カルテ記載欄 記載内容
O欄(Object)

前回HbA1c7.2%、今回7.0%

インスリン注射手技確認、注射部位軽度硬結あり

A欄(Assessment) 注射部位ローテーション指導、食事指導要する
P欄(Plan) 注射部位ローテーション指導、食事指導実施し、目標値達成目指す

電子カルテのテンプレート機能を活用すると記載漏れ防止や、記録の効率化につながります。電子カルテの記載方法を解説した記事も参考になさってください。

前回算定した内容を踏まえた算定を意識する

在宅自己注射指導管理料は、導入初期加算やバイオ後続品導入初期加算など、導入時期や過去の算定状況によって算定が異なる項目があるため、履歴管理が重要です。

とくに、導入年月や加算の算定履歴を適切に把握しておくことで、算定漏れや算定誤りの防止につながります。

カルテ記載から情報を拾いやすくする工夫として、電子カルテやレセプトコンピュータの機能活用が挙げられます。たとえば、患者情報画面で前回算定内容を素早く確認できるよう、システム設定を最適化するなどです。

システムベンダーによって名称や機能は多少異なりますが、使える機能を活用する姿勢と行動が正しい算定と運用には欠かせません。

生活習慣病管理料との二重算定を避ける

糖尿病を主病とする患者さんの場合、生活習慣病管理料との二重算定に注意が必要です。2026年度改定では、在宅自己注射指導管理料との併算定制限の対象となる薬剤が、下記4区分に限定されたため、今一度ご確認ください。

  • インスリン製剤
  • グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト
  • インスリン・グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト配合剤
  • チルゼパチド製剤

なお、骨粗鬆症など糖尿病以外の疾患に対する自己注射であれば、生活習慣病管理料との併算定が可能です。会計時に判別しやすいよう、病名登録や処方薬のコメント欄への記載を運用に組み込んでおくとよいでしょう。

【コメント記載イメージ】

生活習慣病管理料との二重算定を避ける

参考:Medicom クラウドカルテ病名入力画面より

出典:厚生労働省「特掲診療料の施設基準等別表第九 在宅自己注射指導管理料、間歇注入シリンジポンプ加算、持続血糖測定器加算及び注入器用注射針加算に規定する注射薬(令八厚労告七一(令八厚労告一九六・令八厚労告二〇七)・全改)」(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=84aa9733&dataType=0)

算定漏れ対策や算定管理に貢献する電子カルテのご紹介

在宅自己注射の指導管理を続けている患者さんの多くは、長期的な通院が必要なかかりつけ患者さんともいえます。数あるクリニックの中で選ばれ続けるためには、算定業務の正確さも欠かせない要素の1つといえるでしょう。

ただし、在宅自己注射指導管理料は対象薬剤・加算・二重算定の確認事項が多く、手作業での管理には限界があります。Medicom クラウドカルテでは、病名や処方内容を起点に算定条件を確認できるAI自動算定機能を備えており、導入初期加算の起算月や、対象薬剤に応じた加算の判定漏れを防ぐ工夫がなされています。

算定管理の負担を軽くしたいとお考えの先生方は、下記製品ページからMedicom クラウドカルテの詳細をご確認ください。

▶Medicom クラウドカルテの詳細を見る
  • おおがい内科医院おおがい内科医院

まとめ

在宅自己注射指導管理料は対象薬剤の範囲が広く、2026年度改定でも新たな薬剤や留意事項が加わりました。対象薬剤が増えれば、算定できる機会もそのぶん広がります。まず、下記3点をご確認ください。

  • 自院で処方している注射薬が、対象薬剤リスト(別表第九)に含まれているか
  • 新設された個別薬剤の留意事項(皮下注射限定・疾患限定など)に該当していないか
  • 糖尿病を主病とする患者さんについて、生活習慣病管理料との二重算定になっていないか

基本の算定要件をおさえたうえで、改定内容と日々の記録管理を組み合わせることが、査定を防ぐ近道といえます。

著者情報

武田 直也 様

フリーランスWebライター。18年間、医療事務として合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かしたカルテ監査やDPCデータ分析、クリニカルパスなどの医療情報利活用に精通している。

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