診療所の開業計画については、より慎重に考える必要があります。開業後、想定患者数が単純に増えていくことはありません。コロナ禍でも受診・通院が必要な専門性の高い患者さんを確保するには、開業時の立地戦略が最重要です。
日本医師会のJMAP(地域医療情報システム)を使うと、各県の医療圏および市町村ごとに、診療科目別の人口10万人あたりの施設数を調べることができます。同じ都道府県内でも医療圏や市町村によって、今後の人口推移や
医療介護需要は大きく異なります。
下記は、埼玉県南部医療圏の川口市と隣接する東京都北区の人口10万人あたり施設数を示したものです。内科系診療所を例にすると、川口市では人口10万人に対し32施設、北区では51施設あります。内科系診療所の黒字経営の背景人口は
2,000人を目安としますが、川口市では1施設の背景人口3,125人あたりに対し、北区では1,960人です。単純に川口市は北区に比較して1.6倍の患者数を確保しやすいことになります。
開業地の選定に当たっては、想定する診療科でどのくらいの背景人口が得られるかをまず把握した上で、専門性を標榜する診療科の競合について調べることが重要です。
出典:
JMAP地域医療情報システム川口市(比較地域:東京都北区の場合で作成)
新規開業の事業計画の「収支シミュレーション」を策定するにあたり、前述の立地戦略に加えて、内科診療科で専門性を訴求する場合の留意点をあげます。
(1)適正な設備投資と近隣医療サービスとの連携
循環器内科では、CTやMRIなど近隣の医療機関の検査機器を利用した設備投資の抑制
糖尿病内科では、運動療法、食事指導をする場合、近隣医療サービスからの派遣や委託利用で人件費の抑制
(2)予約制の専門外来設置
専門外来は十分な診療時間を確保するため、曜日・時間を設定した予約枠の設定
(3)患者の利便性を配慮
消化器内科では、夜間や土曜日の内視鏡検査の実施
(4)呼吸器内科
新型コロナ患者への診療方針やコロナ回復後の継続的な経過観察の提供
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