3. 向いていることが多いケース
次に、向いているケースです。
(1)バックオフィス系
例えば、その業務専門のスタッフを雇わない小さい規模のクリニックの場合、経理・労務・法務などのバックオフィス系の仕事は配偶者の方に向いている業務といえます。各業務を細かく記載すると以下となります。
・経理(銀行対応など)
お金を扱う業務は、万が一の横領などのリスクもあり、逆にミスや冤罪のリスクからスタッフは敬遠しがちです。また、銀行の窓口業務などは、院長やスタッフが診療時間内に行うことが難しいため、配偶者の方が適任です。
・労務(給与計算)
経理同様にミスが起きるリスクから、医療事務などのスタッフからは敬遠される傾向にあります。また、スタッフ同士が給与や賞与を知ってしまうことを避ける面でも適した業務といえます。
・法務(捺印など)
各業者との契約に際して、確認をして捺印する業務です。責任の重さや印鑑を預けるリスクの観点から、配偶者の方に向いている業務でしょう。
・行政手続き
保健所・厚生局・都道府県・社会保険関係・労働保険関係などへの手続き業務です。経理同様に診療中でも動ける、労務同様に個人情報にかかわる部分がある、という点から適しています。
・人事採用
求人広告の作成・求職者とのやりとり・面接などの業務です。異性(かつ、院長の性格をよくわかっている配偶者)に一緒に選考に入ってもらうことで、院長のみの判断で偏ってしまうリスクを防ぐことができます。
(2)スタッフから嫌がられる傾向の強い業務
業務の中でスタッフが嫌がる傾向の仕事を行ってあげることで、スタッフが配偶者に感謝をし、受け入れられやすくなります。
・シフト調整
欠勤が出た際の代わりをお願いすることや、連休中の休日診療所の当番時の勤務などのシフト作成業務です。使用者側の人が公平に割り振るほうが、入職したばかりなど、力の弱いスタッフが意見を言えずに決まってしまうことを防げます。
・クレーム対応
配偶者が「事務長」の肩書の名刺をもって対応することで、クレームに対しての誠意を見せることができ、スタッフも安心して業務を行うことができます。
(3)ピンチヒッター(代役)業務
クリニックの場合は必要人数ギリギリで運営をしていることが多く、なかなか有給休暇の消化ができないケースや、繁忙期に疲弊したり体調を壊したりしても代わりを見つけることができないケースがあります。その際、配偶者が代わってあげることができるとたいへん喜ばれます。そのために、例えば開業時の研修に参加してもらい、業務を覚えてもらうこともおすすめです。