3. クリニックのボーナスの相場
2019年度「第22回医療経済実態調査」によると、診療所勤務の看護職員、事務職員に対して2018年に支給された給与・賞与の統計は、下記の通りです。
一般診療所 全部(個人医院+医療法人) :単位/千円
統計上は、賞与支給率は月給の2カ月分から3カ月分が一般的なようです。
ただし、注意しなければならないのは、診療所によって給与金額の内訳や賞与の算定基準が異なることです。
上記の統計は、給与と賞与それぞれ支払われた総額を示していますが、実際の月給は、診療所によって支払いの内訳が異なり、賞与の算定基準も違います。単純に賞与は基本給の3カ月分と言っても、給与=基本給の場合もあれば、給与より基本給が大きく下回ることがあるので、注意が必要です。
例を示します。
<例 事務職員の場合>
1)月給総額:21.6万円
(内訳:基本給 21.6万円)
賞与 46.2万円(基本給の2.1カ月分)
2)月給総額:21.6万円
(内訳:基本給 15万円、資格手当3万円、役職手当3.6万円)
賞与 46.2万円(基本給の3.1カ月分)
1)の場合は、諸手当なしで基本給がそのまま月給額です。
2)は、1)と月給額が同じですが、内訳は、基本給と資格手当、役職手当と分かれています。
同じ月給でも、賞与を基本給の○カ月分と記載すると、1)では2.1カ月、2)では3カ月になります。
月給の内訳の決め方は、その後の昇給や退職金(指定する場合)の算定にも影響するので、税理士や社会保険労務士と相談して適正な額と記載方法を選び、スタッフ雇用時に明確に説明することが大事です。
医療事務
上記統計資料によると、事務職員は、平均給与21.6万円でボーナスは年間46.2万円、給与の2.1カ月分です。事務職員全体の平均値なので、クリニックによっては医療事務の資格者に資格手当を支払い、事務職員の平均より多少支給額が多い場合もあります。また、ベテランの年配者が多いクリニックでは比較的給与が高く、ボーナス支給額も平均より多くなりがちです。
看護師
同じく上記統計資料によると、常勤勤務の看護職員は、平均給与27.0万円でボーナスは年間66.8万円、月給の2.5カ月分です。看護師の給与やボーナスについては、看護協会や厚生労働省などの統計資料でも公開されています。クリニックに比べ、病院勤務や経験年数の長い看護師のボーナス支給額の平均値は高いことが多いです。
パート
パートスタッフは、週あたりの勤務時間が一定ではないので、一律に賞与を支給する必要はありません。規定にはないけれど、院長の感謝の気持ちとして数万円の金一封をお渡しすることもあります。
パートスタッフを含めて、評価基準を決めてボーナスを支給しているクリニックもあれば、パートには金一封としているところもあります。何らかのボーナス支給があると働く意欲が上がりますね。