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コラム:診療科別のクリニック開業ポイント
コラム クリニック開業ポイント

消化器内科の開業を検討している方へ。資金や開業ポイント、事例に関して

  • 診療科別のクリニック開業ポイント

1. 序文

医療機関の開業と一口に言っても、診療科目によって必要な開業資金や検討すべき事項が変わってきます。本稿では「消化器内科」について、開業資金・年収・開業のポイントなど成功事例を交えて解説していきます。

2. 消化器内科の開業資金・平均年収に関して

(1)開業資金に関して

クリニックの開業には多額の資金が必要になります。また、診療科目によって必要な診療所の広さや医療機器が異なりますので注意が必要です。
以下は、消化器内科クリニックの投資予算の参考例です。
消化器内科 開業投資予算 サンプル

開業投資予算サンプル (C)株式会社G.C FACTORY調べ ※ 医師会入会費に関しては地域差があるのと、入らない先生もいるので外しています。 ※各医療機器の価格はあくまでも参考価格となり、実際は購入のタイミングやメーカーの選定によって変動します。 ※機器のくくりに関しては特別な意図はありません。

上記表からも分かるように消化器内科のクリニックを開業される場合、約6,100万円の開業資金が必要になります。そして、消化器内科を専門としたクリニックでは内視鏡検査を行うことが多いため、検査スペースや検査後の回復室を確保する必要があります。そのためテナントの広さとしては50坪と一般内科のクリニックよりも広くなり、その分テナントに要する費用が掛かります。また、トイレの数も他の診療科目に比べて多く設置するほうが好ましいため、やはり他の診療科目に比べて広いスペースが必要になります。
さらに、医療機器も内視鏡検査システムやファイバースコープ等の専門機器を購入する必要があり、余計に費用が掛かりますので注意が必要です。
上記はあくまで開業までの資金になりますので、開業後の運転資金についても準備しておく必要があることに留意しておきましょう。

(2)平均年収に関して

次に消化器内科の平均年収に関して説明します。開業している内科医の平均年収は約2,424万円(※1)となっています。これに加えて消化器内科医の場合は上述したとおり内視鏡検査が入ってきますので、他の内科医に比べて平均年収が高くなる傾向にあります。
内視鏡検査は対象とする消化器官が食道・胃・十二指腸の上部消化管内視鏡(胃・十二指腸ファイバースコピーの場合は1,140点算定できます※2)及び小腸・大腸・肛門を対象にした下部消化管内視鏡(大腸内視鏡検査の場合は900点~1,550点の間で算定できます※2)に分かれており、上部内視鏡のみを行うかそれとも下部内視鏡検査も併せて行うかで診療報酬に違いが生じ平均年収に影響していきます。

※1…出典:中央社会保険医療協議会「第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告-令和元年実施- p.149
※2…2020年10月時点

3. 消化器内科の開業ポイント

ここでは、消化器内科の開業に当たって留意しておくべき開業ポイントについて説明します。

(1)コンセプト・診療方針

まず、コンセプト・診療方針を明確化する必要があります。特に消化器内科の場合、内視鏡検査のみで経営を維持するのは難しいため、消化器内科全般が診ることができるクリニックを作る必要がありますし、そのほうが患者さんのためにもなります。また、内視鏡検査は上部のみを実施するのか、それとも下部も実施するのかによって経営上の戦略も変わってきます。

イメージ

(2)物件

消化器内科クリニックの場合、先述のとおり内視鏡検査後の回復室や検査スペースの充実のため一般内科より広い物件の選定が必要になります。また、胃がんの早期発見を目的とした内視鏡検査を受診する若年層も増えています。そのため、駅近くや駅前の明るさや人通りの多さ、近隣に時間を潰せる施設があるかなどの要素も合わせて物件を検討することが重要になってきます。

(3)内装設計

若年層の患者さんが来院されることを想定した明るいクリニックの内装設計が重要です。また、内視鏡検査時に重要な患者さんのプライバシーに配慮した空間作りも大切になってきます。さらに、お腹の不調が原因で消化器内科に来院される患者さんが多いためトイレも多く設置する必要があります。

(4)マーケティング

消化器内科を専門としたクリニックの開業は増えており競争が厳しくなっているため、マーケティングにも力を入れる必要があります。ご自身の培ってきた専門性をアピールするのはもちろんですが、内視鏡検査の範囲はどこまでなのか(上部と下部両方診てくれるのか)などより幅広い患者さんの受け入れが可能な体制の周知が大事になります。また、若年層であればインターネットでクリニックを検索することがほとんどなので、リスティング広告に力を入れるなどして、ターゲットにする患者さんの属性によってマーケティングの対応方法を検討する必要があります。

4. 実際にうまくいった医師の成功事例

ここでは、消化器内科の開業事例として成功されている医師を紹介します。

(1)内視鏡検査だけでなく消化器病の幅広い患者の受け入れで成功した事例

  • 内視鏡検査を中心に盛業されているクリニック
  • 内視鏡検査だけでなく、生活習慣病を初めとした消化器病関連全体を診ることで幅広い患者さんの受け入れに成功
  • 内視鏡検査は診察・検査から回復までの一連の流れに時間を要するため、一日2件の予約制を採用
  • 元々、土・日・祝日は休診日だったが、開けることで患者数の増加に成功

(2)若年層をターゲットにしたことで成功した事例

  • 駅近く、近隣に時間を潰せる施設がある物件の選定により若年層の誘致に成功
  • 検査室やトイレも男女別に分けるなど、プライバシーに配慮した内装設計
  • 痛くない内視鏡検査が有名になり口コミが広がり増患に成功
  • 平日は忙しくて検査が受けれない患者さんのために土日の終日診療を実施

5.まとめ

一般内科と違い、消化器内科は広いテナント、プライバシーに配慮した内装設計や内視鏡検査システムの導入が必要になるため開業のハードルが高いと感じる先生も多いかもしれません。しかし、消化器内科という専門性を活かし内視鏡検査等の充実を図ることができれば、経営的にも安定する診療科目です。また、がんの中でも疾患率が高い胃がんや生活習慣病等の消化器病の専門医になることができれば、地域のかかりつけ医として多くの患者さんの役立つことができます。

筆者プロフィール

株式会社G.C FACTORY

https://ma.gcf.co.jp/

池田 圭人

医療経営コンサルタント、国家公務員として医療機関等に支給される補助金等の検査業務に数年従事後、ヘルスケア業界の更なる発展のため現職の経営コンサルタントへ転身。
現在は、医師や医療機関へのクリニック承継支援を主として行っており、年間数十件と多数の実績を有している。