PHCbi

CASE STUDIES 導入事例

国立国際医療研究センター バイオバンク (東京)

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先端研究の重要拠点「バイオバンク」を支えるPHCbi製品

低い室温に保たれた地下室に巨大なフリーザーがずらりと立ち並ぶ。ここは東京都新宿区にある国立国際医療研究センター(NCGM)のバイオバンクである。地上では患者の診察や治療が行われているが、その地下には最先端の研究のための医療の種が眠る。

この種を保存しているのが、PHCbiの超低温フリーザーだ。果たしてどのように使われているのだろうか、そして、導入に至った決め手はなんだったのか。国立国際医療研究センター臨床研究連携部門バイオバンク推進マネージャーの鈴木哲史氏にお話を伺った。

国立国際医療研究センター 

将来の研究のために試料を保管し続ける、バイオバンクのインフラとしての使命

バイオバンクとは、生体試料を保管する施設のことだ。生体試料には動物の組織や細胞、植物の種子や微生物などが含まれるが、NCGMのバイオバンクには、医学研究のために、ヒトの血液成分や遺伝子、組織などが集められている。ただし、試料を収集して保存するだけがバイオバンクの仕事ではない。

患者の同意を得るところから、研究者へ橋渡しをするまで、バイオバンクの役割は多岐にわたる。まず、血液や髄液などの試料を研究用に提供してもらう際には、バイオバンクのコーディネーターが患者に説明を行う。

中立的な立場のコーディネーターが介在することで、主治医からのプレッシャーを感じることなく、しっか りと納得したうえで協力してもらうためである。将来的にどのような研究にも使用することへの包括的な同意が得られたら、試料を匿名化したうえで、採取時間や採取方法などの詳細な記録とともに期限を定めず適切に保管する。さらに、研究者からの問い合わせに応じ、提供可否を審査して試料を提供するのもバイオバンクの役割だ。このプロセスのどこが欠けても、試料を活かして医学を発展させるという目的を達成することはできない。

「バイオバンクは研究施設というよりも、研究を支援するインフラだと考えています」そう鈴木氏は語る。
「試料は国内外の研究者へ提供され、次世代医療の発展に役立っていきます。バイオバンクの試料が研究で収集する試料と異なる点は、今はまだ存在しない将来の研究のためにも使用されていくことで す。NCGMのバイオバンクはセンター病院と密接に連携して、そうした試料の収集を行っています。いろいろな感染症の検体や、手術前の検体など、研究利用の要望が多いものもたくさん集められています」PHCbiの超低温フリーザーはこれらのサンプルを保存する重要な役割を担っている。

国立国際医療研究センター バイオバンク

PHCbiの超低温フリーザーが選ばれたわけ

バイオバンクの試料は、未来の研究に備えて恒常的に収集され、長期間にわたって保管される。生体試料を安定した状態で保ち続けるために超低温フリーザーが用いられるが、その性能がバイオバンク事業の成功を左右することは言うまでもない。

2020年9月現在、NCGMのバイオバンクには、15台のPHCbiの超低温フリーザーが稼働し、試料の保管 のために活用されている。NCGMのバイオバンクを立ち上げてきた鈴木氏に、PHCbi製品導入の決め手を尋ねると、国内電機メーカーとしての信頼感があるからだという答えが返ってきた。

「ここに保存されている試料の多くは、患者さんの血液や髄液です。多くの研究では温度を一定にして保管しておくことが重要です。血液の成分によっては温度変化の影響を受けやすいため、フリーザーが故障したり、庫内の温度が変わってしまったりしたら、せっかく保存していた試料が研究に使用できなくなる可能性があります。PHCbiは国内電機メーカーですから、地震や台風の影響をきっかけに電圧の不均衡が起きた場合にもコンプレッサー不良などの不具合が起きにくいだろうと考えました」

さらに、鈴木氏はPHCbi製品がデュアル冷却システムを搭載していることも選んだ理由として挙げた。これはPHCbiがTwinGuardと呼んでいる技術のことだ。万が一、ひとつの冷凍回路にトラブルが生じても、もうひとつある冷凍回路だけで庫内温度の上昇を抑えることができる。

PHCbiのフリーザーが導入されたのはバイオバンクが作られた2011年だが、現在のところ、不具合や故障 は発生していない。しかし、この先、大規模な災害や計画停電を伴う非常事態が起こらないとも限らない。バイオバンクに使われるフリーザーは、トラブルが起こったときも、なるべく庫内の試料にダメージを与え ない仕様が求められる。バイオバンクの使命と未来を見据え、鈴木氏はPHCbi製品を選んだ。

「もちろん通常の性能にも満足しています。特にフリーザー内の温度が非常に安定しているところがいいで すね。ここにあるフリーザーはすべて、庫内に設置した計測機器で、温度を常時モニタリングしています。 毎朝すべてのフリーザーの温度データがメールで送られてきますが、PHCbiのフリーザーは私の経験した他 社の製品と違って設定した温度に対する誤差が±1℃という非常に小さな範囲にとどまっています。非常 に優秀だと思いますね」

スムーズなドア開閉と追加設置に適したデザイン

実際に使ってみると、意外なところにもPHCbi製品の魅力があったと鈴木氏はいう。
「細かい話なのですが、扉を開けたときの感触がほどよく柔らかいのです。使用感もデザインも優しくて武 骨な感じがしない。女性でも男性でも使いやすいと思います。また、現在、大型サイズの702VXと中型サイズの502VXの両方を導入していますが、庫内の棚のレイアウトがほぼ変わらない点も気に入っています。最初に中型サイズを使い、後から大型サイズを購入しましたが、サイズが変わっても横幅が大きくなっただけなので、管理するソフトを作り直す必要がありませんでした」
バイオバンクでは保管する試料が増えていくのにともなって、フリーザーも買い足していく。そのときに、デザインに統一感があれば管理しやすい。また外観的にもよく馴染むのである。

国立国際医療研究センター バイオバンク

PHCbi製品のその他のメリットとして、鈴木氏は保守点検がとても丁寧なエンジニアが来ることも挙げた。
エンジニアがまるで「我が子の面倒を見ているかのように」いとおしそうにフリーザーのメンテナンスをする姿を見て、鈴木氏はPHCbi製品は裏切らないと確信し、さらなる安心感を得たという。
「横で見ていて、とても幸せそうに作業されるなと感心しました。フリーザーの中には患者さんの想いが託 された貴重な試料が入っていますから、それを保管する機器を大切に扱ってもらえるのはうれしいですね」

医学研究を支援するバイオバンクの利用方法

最後にNCGMのバイオバンクの今後について、鈴木氏は次のように語った。
「バイオバンクの目的や方針はそれぞれ異なると思いますが、NCGMのバイオバンクでは研究支援のイン フラとして役立つことと、無理なく継続していけることを目指していきたいと考えています。これまでどのような研究に活用されてきたかは、ホームページの利活用実績に公開しています」

NCGMのバイオバンクの試料は大学や企業などで多様な研究に活用されている。基礎研究や創薬だけでなく、たとえば、体外診断用医薬品の申請を目的とした性能評価試験や、自社シーズの有用性評価、バイオマーカーの探索などを目的とした企業研究者への提供も行われている。

「サンプルを一から集めるのは大変ですが、バイオバンクを利用することで、時間もコストも削減できます。どういうサンプルがあるのかは収集実績に掲載しているので気軽に相談していただきたいですね」

NCGMのバイオバンクのウェブサイトを開くと、緑色の可愛らしいロゴマークがぱっと目に入る。一見す ると葉をたくさんつけた樹木のようだが、よく見れば、腕を広げた人の周りにたくさんの小さなハートが集ま ったデザインだとわかる。
「たくさんの患者さんの気持ちが集まってバイオバンク事業は成り立っています。そんな想いをこめてこの場所を設計しました。その気持ちを未来に届けられるかどうかは、フリーザーの性能にもかかっています。今後もPHCbi製品に期待しています」

国立国際医療研究センター バイオバンク

納入先

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
所在地 東京都新宿区戸山1-21-1
URL https://www.ncgm.go.jp/

納入機器

・超低温フリーザー MDF-DU702VX × 4台
・超低温フリーザー MDF-U700VX × 4台
・超低温フリーザー MDF-U500VX × 4台

掲載内容は2020年11月現在のものです。

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