PHCbi

CASE STUDIES 導入事例

Vol.11 東京医科歯科大学医学部附属病院 輸血・細胞治療センター (東京)

5つの調製室を配備したコンパクトなCPCで
患者さんの期待に応える先進的な細胞治療、再生医療を

CPC施設導入の先駆けとして

CPC施設内部 CPC施設廊下 バイオハザード対策用キャビネット CPC施設図面



機能不全になった組織や臓器を補助・再生させるため、細胞治療、再生医療に取り組んでいる東京医科歯科大学「輸血・細胞治療センター」。同大学が、細胞治療、再生医療の取り組みのために、Cell Processing Center(CPC)を開設したのは2002年のことです。CPC導入の先駆けであった当時の施設は、前センター長である森尾友宏教授が立ち上げました。100平方メートルのスペースに、3つの細胞調製室と1つの陰圧室という構成で、設計・施工は、PHCbiの前身の三洋電機が担当しました。

その後、2013年に制定された再生医療等安全性確保法の構造設備基準に合致したCPCが必要になったこと、また、大学内で細胞治療、再生医療に関する研究・治験などのプロジェクトが複数立ち上がったことから、新たなCPCの建設が計画されました。新CPCも、三洋電機時代から長く続く関係や、不具合が起きたときの対応などが評価され、旧施設と同じく、PHCbiの前身であるパナソニックヘルスケアが設計・施工にあたりました。

2014年に完成した新たなCPCは同じ100平方メートルのスペースに5つの細胞調製室を配備。コンパクトで生産性の高い作業環境を実現しました。また、動線区分の明確化、室間差圧15Paの設計など、交差汚染リスクを極力低減しているのも大きな特長です。現在、5つの細胞調製室においては、以下の研究・治験・治療に関する5つのプロジェクトが並行して取り組まれています。

細胞調製室1(再生医療研究センター/消化器内科)

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の患者さん自身から内視鏡を使い少量の組織を採取して、そこに含まれる幹細胞を、体の外で腸上皮オルガノイドとして増やします。

その後、再び内視鏡を使って治りにくい潰瘍に移植することで治療する「消化管創生医療」の開発を行っています。(研究代表者 渡辺守教授)

細胞調製室1(再生医療研究センター/消化器内科)

細胞調製室2(輸血・細胞治療センター/輸血部門)

骨髄バンクや臍帯血バンクを介した非血縁者間を含めた造血幹細胞移植を小児科· 血液内科が行なっています。

患者さんやドナーの方にとってリスクの少ない移植を行うための、細胞採取· 保存に関する、また移植後合併症に関する研究を行い、臨床応用につなげています。(梶原道子副センター長)

細胞調製室2(輸血・細胞治療センター/輸血部門)

細胞調製室3(免疫治療学)

成人T細胞白血病(ATL)に対する治療ワクチンの開発を行っています。ATL はヒトT細胞白血病ウイルスI型感染によっておこる予後不良の悪性腫瘍です。これまでにウイルスに対する細胞傷害性 T 細胞(CTL)が抗腫瘍効果を持つことを見出し、同定したCTLエピトープ部位のTaxペプチドを抗原とした樹状細胞ワクチンの臨床試験を実施しています。(研究開発者 神奈木真理教授)

細胞調製室4(小児科)

治療抵抗性感染症に対する、複数ウイルス特異的T細胞療法の開発を行っています。造血細胞移植後には免疫学的再構築までの間、免疫不全状態となり、アデノウイルス、BK ウイルス、 EBウイルス、サイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス6型など様々なウイルス感染症に罹患します。
現在、有効な治療がなく、重症化する症例も多いことから、これらの5ウイルスに対する複数ウイルス特異的T細胞を2週間以内に調製できる方法を用い培養し、治療薬として患者さんに投与する臨床試験を開始しています。(研究代表者 森尾友宏教授)

細胞調製室5(再生医療研究センター/整形外科)

半月板切除術の対象となるような半月板損傷に対して、半月板修復術を行ない、さらに滑膜由来の幹細胞を移植することにより、半月板を温存することを目的とした医師主導治験を行なっています。また、この滑膜幹細胞を関節内に定期的に注射することにより、変形性膝関節症の進行を抑制できるかどうかを明らかにするための臨床研究を実施しています。(研究代表者 関矢一郎教授)

患者さんの貴重な細胞を取り扱うために信頼性・安全性の高い機器を導入

5つの細胞調製室で使用されている薬用保冷庫とバイオハザード対策用キャビネット、細胞凍結保存室・サプライ室で使用されている超低温フリーザー(-150℃/
-80℃)もPHCbiの製品です。難解なマニュアルや複雑な操作が不要で、使い勝手が良いと、様々な分野のプロジェクトメンバーに好評です。
超低温フリーザーはコンプレッサーを二つ搭載し、故障時のリスクを回避するデュアル冷却タイプを導入。「機器が壊れるということは、患者さんひとりひとりの治療に使う貴重な細胞を壊してしまったり、研究や治験の成果を無にしてしまうということ。“サンプル”というと軽い言葉に感じてしまいますが、患者さんにとって、私たちにとって、それはとても貴重な財産であり、宝です。私たちが取り組んでいる細胞治療・再生医療は、患者さんにとっては希望の光。そのため、医師や研究者は“確実に成功させなければ”という使命感を背負って、仕事に臨んでいます。その貴重な細胞を保管する機器には最大限の信頼性と安全性を求めています。」(センター長 関矢一郎教授)

薬用保冷庫 バイオハザード対策用キャビネット 超低温フリーザー 超低温フリーザー

モニタリングシステム、監視カメラで、安心して研究に集中できる環境を整備

機器単体だけでなく、CPC全体の安定操作を実現するため、同施設にはモニタリングシステムや監視カメラシステムも完備しています。細心の注意を払っていたとしても、汚染のリスクはゼロではありません。リスクを最小限に抑えるため、調製室の清浄度、室圧、温度や、インターフェイスボードで有線接続した施設内の全機器の庫内温度やエラー状況などを24時間モニタリングし続け、作業状況を撮影しています。
モニタリングシステムは、異常が発生したら、即座にアラームが鳴り、メールで担当者に通報されます。「かつて、CO2インキュベーターのドアの閉め方が不十分で、温度が低下したことがありました。アラームで気づき、即座に中に入ってドアを締め直し、事なきを得ました。」(作業担当者)
モニタリングシステムの良い点の1つは、履歴をさかのぼれるところです。冷凍庫の不具合であれば、不具合発生からアラーム発報までの庫内温度変化を確認することによって、収蔵品に対して適切な事後対応をとることが可能となります。
「モニタリングシステムのお陰で、作業担当者が細胞調製室や機器の心配をすることなく、責任ある作業に集中できるのは何よりもありがたいと思っています。」
(センター長 関矢一郎教授)

モニタリングシステム 遠隔警報端子

患者さんひとりひとり、社会に対して誠実に向き合い、精緻な仕事に取り組み続ける

現在、同センターのCPCでは5つのプロジェクトチームが1室ずつ、専用の細胞調製室を利用して研究を行っていますが、今後、細胞治療・再生医療への取組みが増加すれば、他のプロジェクトチームからも施設利用の希望が出ることが予想され、新たな施設運用方法の確立が必要となります。
「今は1つの細胞調製室は1つのチームが専属で使用していますが、今後、『この期間、この調製室はこのチームが使い、いったんクリーンアップして、 別のチームが施設を使う』というケースも発生するでしょう。 しかし、いかなる場合でも施設内の清浄度や室圧、温度などを制御し、細胞調製作業に必要な環境を担保することは最重要課題です。そのためには、私たちと、PHCbi が、顧客とメーカーいう立場ではなく、患者さんのために、そして社会のために、という同じ方向を向いて、誠実で精緻な仕事に取り組む。そんなパートナーシップをこれからも築いていきたいです。」(センター長 関矢一郎教授)

納入先

東京医科歯科大学医学部附属病院
所在地 東京都文京区湯島1-5-45
URL http://www.tmd.ac.jp/medhospital

納入機器

・薬用保冷庫 MPR-414F-PJ × 6台
・メディカルフリーザー(-40℃) MDF-U443-PJ × 1台
・超低温フリーザー(-80℃) MDF-U400VX-PJ × 1台
・超低温フリーザー(-150℃) MDF-C2156VAN-PJ × 1台
・ラボ・オートクレーブ MLS-3751-PJ × 4台
・バイオハザード対策用キャビネット MHE-132AJ-PJ × 5台
・バイオハザード対策用キャビネット MHE-130AB3-PJ × 1台

掲載内容は2019年11月現在のものです。