現代医療を先端技術で支える 検査ラボ:神戸BMA研究所
株式会社三菱化学ビーシーエル神戸BMA研究所
『株式会社三菱化学ビーシーエル』様は、臨床検査事業をコアにドーピング検査、治験事業、予防医学事業、食品衛生検査事業など医療や健康に役立つ幅広いサービスを提供されています。日本で唯一の「WADA公認ドーピング検査機関」でもあり、技術力の高さを知ることができます。今回、取材させていただいた『神戸BMA研究所』様は、全国に展開されている同社の検査ラボの中でも開所されて約1年の新しいラボのひとつです。
兵庫県神戸市三宮とその沖合につくられた神戸ポートアイランド、さらにその沖合には2006年2月開港予定で建設が進む神戸空港島。それらを結ぶ無人運転システムポートライナー。近未来的なシチュエーションが印象的なこのエリアに、株式会社三菱化学ビーシーエル神戸BMA研究所様があります。ここは、神戸市民の医療水準の向上と神戸経済の活性化を願って計画された、神戸医療産業都市構想に基づく医療研究と臨床の最先端が集まる知的クラスターです。BMA(バイオメディカル創造センター)の建物には十数社の各社ラボが活動しており、株式会社三菱化学ビーシーエル神戸BMA研究所様もその一角で活躍されています。シニアマネージャー/芦原義久様とサブマネージャー/駒田恵様にお話をうかがいました。
このラボの主な事業内容を教えてください。
ひとことでいえば、再生医療に関わる検査の受託です。再生医療の現場では時間の迅速さが必要とされ、当ラボは積極的に対応しています。例えば病原性ウイルスなど短時間で検査結果を出したい場合は、PCR法で遺伝子を増幅する手法で検査します。時間的に余裕があるものは一般的な培養法による無菌検査もしています。
対象のウイルスの種類はどのようなものがありますか?
たとえば、病原性ウイルスではDNAウイルスのB型肝炎ウイルス(HVB)、パルボウイルス(Parvo B19 virus)、RNAウイルスのC型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1,-2)、成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1,-2)。ヘルペスウイルスの単純ヘルペスウイルス(HSV-1,-2)、水痘・帯状庖疹ウイルス(VZV)、EBウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス-6、-7、-8などです。ウイルス以外ではマイコプラズマ、エンドトキシンなどの検査もします。その他、アデノウイルス、ウエストナイルウイルスなども対象です。
バイオハザード対策など大変なのではないでしょうか。
当社は長年にわたる臨床検査事業の経験があり、コンタミネーションの防止などさまざまなノウハウがありますが、細心の注意が必要ですね。
メーカーへの要望などございますか?
バリデーションは必要ですが、規模が大きくなると費用や装置を止めるタイミングなどいろいろ問題が出てきます。簡単にできる方法を開発してほしいですね。
神戸医療産業都市構想とスーパークラスター形成
神戸市では先端医療技術の研究開発拠点を整備し、産学官の連携により医療関連産業の集約を図る目的で神戸ポートアイランドに知的クラスターを形成してきました。また2006年2月に開港の神戸空港と、神戸市中心部との中間地点というロケーションを活かし、国内外へのネットワークづくりも積極的に行われています。とりわけ、大阪北部に形成された彩都(京都大学・大阪大学などの研究機関を中心にすえた知的クラスター)との連携強化で「関西広域クラスター」というスーパークラスターの形成が進んでいます。
ラボの概要