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薬局経営 薬剤師 薬局経営者 2026.09.30 公開

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服薬フォローアップとは?目的や実施の流れ、効率化のポイントを解説

2020年9月の改正薬機法・改正薬剤師法の施行により、薬剤交付後の服薬フォローアップが薬剤師・薬局の義務となりました。一方、誰にどのように実施するかは薬剤師の判断に委ねられており、実施の可否を迷う場面も少なくないでしょう。本記事では、服薬フォローアップの目的と義務化の背景を整理し、フォローアップ実施の流れや効率化するポイント、実際の事例について解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策 #業務効率化

目次

服薬フォローアップとは

服薬フォローアップは薬剤交付時だけでなく、交付後も服薬状況や体調の変化を継続的に確認し、必要に応じて情報提供や指導を行う業務です。2020年9月に施行された改正薬機法・薬剤師法により、この服薬フォローアップは努力義務から義務へと位置づけが変わりました。対面だけでなく電話やメール、ビデオ通話などを用いた実施も認められています。

ただし、すべての患者さんが対象となるわけではありません。法律上は「調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合」とされています。誰に、いつ、どのように行うかは、薬剤師の裁量や専門性に委ねられているのが現状です。

服薬フォローアップとは

服薬フォローアップの目的

服薬期間中は薬剤師の目が届きにくく、副作用の発現や飲み忘れが起こりやすい時期です。これらの変化に気づかないまま放置されれば、副作用の重篤化や治療の中断を招きかねません。

服薬フォローアップが目指すのは、薬剤の使用期間を通じて患者さんが安心できる最適な薬物療法を提供することです。これを実現するために薬剤師が果たすべき役割は主に次の3点です。

  • 薬剤の使用状況や併用薬、患者さんの状態や生活環境の把握
  • 薬学的知見に基づく分析・評価

評価結果に応じた必要な対応(受診勧奨や処方医への情報提供など)
薬を渡して終わりではなく、その後の経過まで見届けることも薬剤師に求められています。

服薬フォローアップが求められるようになった背景

医薬分業が進む一方、患者さんが医療機関ごとに薬局を変えるため服薬情報を一元管理できず、薬局の役割が発揮されていないとの指摘がありました。この課題を受け、厚生労働省が2015年に策定したのが「患者のための薬局ビジョン」です。このビジョンではこれまでの薬剤調製などの対物業務から、服薬情報の把握などの対人業務へと比重を移す方針が示されています。

しかし、その後も薬学的管理・指導が不十分との指摘は続きました。この点を整理するため、2020年9月より従来の薬剤師法で規定されていなかった服薬期間中のフォローアップが義務化されました。

出典:「患者のための薬局ビジョン」(厚生労働省)
(https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/vision_1.pdf)

服薬フォローアップ実施の流れ

日本薬剤師会は「薬剤使用期間中の患者フォローアップ」という手引きを公開しています。この手引きでは、フォローアップの流れを「初回来局時」「薬剤交付から次回来局まで」「次回来局時」の3つの場面に整理しています。

「初回来局時」を起点とし、その後は残る2つの場面を繰り返すのがフォローアップの基本的な流れです。各場面で得た情報を分析・評価し、次の薬学的管理へ反映させて、継続的な支援につなげます。本項では、各場面でのポイントを解説します。

出典:薬剤使用期間中の患者フォローアップ ~適正な薬物治療共同管理計画に向けたフォローを実施するために~(日本薬剤師会)
(https://www.nichiyaku.or.jp/files/co/pharmacy-info/20250306.pdf)

初回来局時

初回来局時に最も重要なのは、処方内容を精査するための患者情報を的確に取得することです。日本薬剤師会の手引きでは、情報収集・処方監査・調剤設計・服薬指導という一連の流れのなかで、フォローアップの必要性を見極めるとされています。

まず、押さえておきたい患者情報は以下のとおりです。

  • 使用薬(ハイリスク薬など)、併用薬(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品を含む)
  • 積極的に摂取している食品や嗜好品(健康食品、酒、タバコなど)
  • アレルギー歴(医薬品、食品など)、副作用歴
  • 疾患(原疾患、既往歴、合併症、他科受診で加療中の疾患を含む)
  • 臨床検査値(腎機能、肝機能など)
  • 薬剤等の使用状況(残薬の状況を含む)、薬剤使用中の体調の変化
  • 年齢・性別、身長・体重、妊娠・授乳状況

職業、生活の特性、患者特性(薬識・認識力、生活機能など)これらに加えて、認知機能や、独居か服薬を支援する家族がいるか、自身の病気への理解度などの情報は、アドヒアランスに影響するため、丁寧な聞き取りが求められます。

また、日本薬剤師会の手引きでは、特にフォローアップの必要性が高いケースとして9つを挙げています。本記事では、内容の近いものを4つに分類しました。

分類 フォローアップの対象となるケース
処方の変化 ●新規処方・処方変更時
●退院時
●新薬(承認・効能追加から5年以内)の処方時
服薬状況 ●服薬アドヒアランス不良
●自己注射や吸入器などの手技不良
薬剤リスク ●ハイリスク薬の処方時
●副作用等の発現時
●ポリファーマシー・相互作用の可能性
心理面 ●服薬に関する不安

ただし、いずれか1つに当てはまるかどうかで判断するものではありません。一人の患者さんが複数のケースに該当する場合もあるため、複合的に判断します。フォローアップを行う場合は、患者さんに内容を説明し、理解を得たうえで実施しましょう。

薬剤交付から次回来局まで

初回来局時の評価と服薬指導を踏まえ、患者さんごとの問題点とゴールを設定したうえでフォローアップを実施する場面です。日本薬剤師会の手引きに沿って、フォローアップするタイミングや確認方法、確認事項を検討しておきましょう。

タイミング

確認するタイミングは、薬剤の特性や患者さんの状況に応じて設定するのが適切とされています。副作用が心配される場合は、その薬剤の副作用好発時期や初期症状を踏まえて決めましょう。実際に、副作用が出て自己判断で中止していたことが薬剤師からの連絡で初めて判明した事例も報告されています。

確認方法

対面や電話、ビデオ通話のほか、電子お薬手帳やSNSなどのメッセージツールでも確認できます。確認方法の選定基準は「目的に照らして適当か」と「双方向性が維持されているか」の2点です。つまり、何を確認したいかによって適した手段は変わり、患者さんからの応答を得られる方法を選ぶ必要があります。

方法 適した場面(例)
対面(来局)・電話・ビデオ通話 ●新規処方薬が処方されたとき
●処方変更があったとき
対面(居宅訪問) ●電話では聞き取りが不十分と判断したとき
●認知機能の低下が疑われるとき
●インスリン製剤や吸入器などの手技を確認したいとき
メッセージツール ●電話で連絡を取りづらいとき
●服用状況を定期的に確認したいとき

電話でフォローアップする場合、知らない番号に出ない方も多いため、連絡する日時をあらかじめ決めておくなどの配慮が必要です。

確認事項

薬剤の使用状況や効果、体調の変化、日常生活への影響などを確認します。確認する際、「服用できていますか」などの閉じた質問ではなく、「薬を飲み始めてどうですか」「服用において不便なことはないですか」など、些細なことでも話してもらえる問いかけを心がけましょう。

次回来局時

次回来局時は実施したフォローアップの結果を確認し、分析・評価する場面です。これをフォローアップ後評価と呼び、その結果をもとに次回来局までのフォローアップを再検討します。

フォローアップ後評価では現在の状態だけではなく、フォローアップ前からの一連の流れに着目します。検査値や体調、副作用などの項目を経時的に追えば、開始時点からの変化や今後の課題が見えてくるでしょう。また、当初設定した問題点が解決したかどうかも評価します。

評価結果は、次のようなアクションにつなげます。

  • 処方医への処方提案や情報提供(減量・中止・変更、一包化や剤形変更、ポリファーマシーの改善など)
  • 患者さんへの受診勧奨やフィードバック
  • ケアマネジャーや訪問看護師など多職種への情報共有と支援体制の調整
  • 医薬品・医療機器等安全性情報報告制度に基づく副作用報告

フォローアップは一度では終わりません。新たな問題点が生じるたびに更新し、次のサイクルへ引き継いでいくことが求められます。実施したフォローアップの内容は調剤録に記録します(薬剤服用歴などへの記載でよいとされています)。記録は簡潔に要点を押さえ、重要事項が浮き彫りになるよう工夫しましょう。

服薬フォローアップを効率化するポイント

服薬フォローアップを効率化するポイント

効率的にフォローアップを実施するには、個々の薬剤師の判断や工夫に任せるのではなく、薬局全体の仕組みの設計が有効です。以下の3点を押さえて、業務に定着させましょう。

フォローアップ対象者のルールを決める

薬剤師間で対象を絞り込み、明文化しましょう。インスリン製剤や吸入薬など薬剤で線を引くと事務スタッフも判断しやすくなります。

準備の手間を減らす

定型文をテンプレート化し、送信予約を活用すると効率的です。選択式の回答ボタンを設けると、返信率も向上するでしょう。

予定と返信の確認を一元管理する

カレンダー形式で実施予定を管理し、運用ルールを決めておくと対応漏れが起きにくくなります。

ただし、日本薬剤師会の手引きでも、機械的な一律送信や、送信するだけで回答を放置する運用はフォローアップの形骸化を招くと警告しています。仕組み化で生まれた時間を、薬学的な判断や個別の対応に振り向けるのが本来の目的です。

服薬フォローアップの事例

実際にフォローアップを行うと、来局時だけでは把握できない状況が見えてきます。ここでは、服薬フォローアップの事例を2つ紹介します。

事例1:服薬中断の把握と受診勧奨

新規処方薬について、交付から数日後に電話で状況を確認しました。その結果、数回服用して副作用が現れたため、それ以降は自己判断で服用を中止していたことが判明しました。医療機関にも薬局にも相談はなく、薬剤師から連絡して初めて判明した事例です。

日本薬剤師会の手引きでは、副作用を自覚しながら医療機関に相談せず服用を続けていた事例も紹介されています。いずれも次回来局まで気づけなければ重篤化していた可能性があります。フォローアップのタイミング設定が、その後の経過を左右する事例といえるでしょう。

事例2:併用注意薬のモニタリングと処方医への情報共有

前立腺肥大症治療中の患者さんに、治療上の判断から抗コリン薬が処方された事例です。薬局では交付後に経過を確認する対象と位置づけ、メッセージでのフォローアップを実施しました。得られた情報をもとに指導内容を整理し、トレーシングレポートで処方医へ共有しました。


いずれの事例も薬剤師の働きかけにより、服薬期間中に情報を得たケースです。フォローアップは患者さんの安全確保だけでなく、医師との連携強化や患者さんからの信頼感にもつながります。

電子薬歴で服薬フォローアップを効率化する方法

服薬フォローアップを効果的に行うには、患者さんの服薬状況や過去の指導内容を適切に把握しておくのが重要です。そのための基盤となるのが電子薬歴です。

日々の薬歴作成を効率化しながら必要な情報を蓄積できるのが、ウィーメックスが提供する薬局業務支援システム「生成AI薬歴入力支援サービス」です。服薬指導の会話をテキスト化・要約してSOAP形式で出力でき、薬歴記入の時間を約60%削減できます。フォローアップ時には過去の経緯をスムーズに確認でき、継続的な患者支援に役立ちます。クラウド型薬歴共有サービス「Pharnes LinkⅡ」と併用すれば、薬局外や在宅訪問先からでも薬歴の閲覧・入力が可能です。

薬歴管理の電子化は年々進んでおり、2019年に行われた厚生労働省の調査では電子化している薬局は73.9%でした。電子薬歴に求められる真正性・見読性・保存性の3条件や、紙薬歴との比較については下記の記事で解説しています。

電子薬歴について詳しく知りたい方はこちら

出典:「かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査 報告書」(厚生労働省)
(https://www.mhlw.go.jp/content/000509233.pdf)

まとめ

服薬フォローアップは、2020年9月の法改正で薬剤師・薬局の義務となりました。日本薬剤師会の手引きでは、実施の流れを「初回来局時」「薬剤交付から次回来局まで」「次回来局時」の3つの場面に整理しています。

フォローアップ対象や実施方法は、機械的に決めず患者さんごとに個別に判断することが求められます。対象者の選定ルールや記録の仕組みを薬局全体で整えれば、薬物治療の安全性と有効性の向上につながるでしょう。

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著者情報

飯田 慎也 様

飯田 慎也 様

調剤薬局チェーンで12年間勤務している現役薬剤師。医学博士。
「難しい医療情報をわかりやすく」をモットーに、現在は医療・美容・健康分野を中心にコラムを作成。現場で培った患者対応の経験と、博士課程で磨いたリサーチ力を掛け合わせ、信頼できる情報発信を行っている。
著書『薬局DX―業界標準の指南書』(秀和システム新社、共著)

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