3. 各診療科のデザインのポイント
診療科目によって来院する患者さんの層は変わってきます。ここでは「建物デザイン・立地」「待合室・診察室」について診療科目によって変わる点を記載します。
(1)内科
①建物デザイン・立地
一般内科・循環器内科・糖尿病内科などの内科系クリニックは高齢者の割合が多いため、できれば1階や広めのエレベーターがある建物が好まれます。看板などに関しては医療機関であることがしっかりとわかるデザインが良いです。高齢者が多い点からも入り口の付近は交通量が多すぎず、タクシーや送迎の車が止めやすい少しゆとりがある場所が良いでしょう。
②待合室・診察室
待合室や診察室に関しては、車いすの利用者や同伴者のためにも広々したデザインがおすすめです。
(2)小児科
①建物デザイン・立地
小児科もベビーカーを押してくる方のために、できれば1階や広々としたエレベーターがある建物が良いでしょう。医療機関を選択する際、若いお父さん・お母さん達はスマートフォンなどでしっかりと調べます。そのため建物外観の視認性は重要ですが、内科より効果的な集患の方法が多くなります。
②待合室・診察室
小児科はかなりの確率で同伴者がいるため、ベビーカーを置くスペースや子どもが遊ぶスペースなど待合室はそれなりに広めに設計をする必要があります。また感染対策で入り口を分けたり、隔離した待合室などを用意したりすることもあります。この点に関して元々の建物の広さの兼ね合いで限界がある場合には、Web予約制を入れるなどのオペレーションで解決をするという方法もあります。診察室は子どもの泣き声などを加味すると防音の気遣いをすることもあります。
(3)整形外科
①建物デザイン・立地
整形外科は内科や小児科よりもさらに1階が好まれ、車が乗り付けられるような広々とした場所が好ましいです。また、車いすでも入りやすいように広い入り口が必要で、自動ドアであることも必須です。
②待合室・診察室
車いすや松葉づえの人のために滑りにくい床と段差のないフラットな環境は必須です。足腰が悪い人のために高さの違うイスを用意したり、手すりやスロープなどを設置したりする配慮も必要です。
(4)精神科・美容・自費診療系
①建物デザイン・立地
クリニックに入っていくところをあまり見られたくない人もいるので1階である必要性はありません。また比較的若い人も多くスマートフォンで検索をするために、看板などを目立たせる必要もあまりないです。
②待合室・診察室
予約制にする場合は、そこまで待合室を広くする必要もありません。ただ会話が聞こえないように防音に配慮する必要があります。