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CASE STUDIES 導入事例

IMSグループ 株式会社アイル (東京)

髄一の品質を誇る臍帯血バンク実績を基礎に臨床につながる細胞治療研究へと一歩踏み出す
IMS グループ 株式会社アイル
株式会社 アイル 企画部 次長 笹原敬久 氏/主幹研究員 ・ 医学博士 齋藤弘一 氏

病院・医療施設グループの臨床検査を一手に担う株式会社アイルは臍帯血バンク事業のさらなる発展を目指し、再生医療研究の体制を構築しました。その新施設の中核にアイソレータが導入され稼働の準備を進められています。企画部次長の笹原敬久氏と主幹研究員の齋藤弘一氏にお話を伺いました。

株式会社アイルはIMSグループでどのような位置づけにあるのですか

IMSグループ(板橋中央総合病院グループ)は関東及び北日本を中心に、70を越える病院や医療施設を擁する医療グループです。「愛し愛されるIMS(イムス)」を基本理念に患者さまの喜ぶ医療と介護を求めて、急性期型から慢性期型に至る各病院、介護老人保健施設、クリニックなど総合的医療施設をグループにして地域の患者さまに高度な医療を提供しています。株式会社アイルはそのグループの各医療施設での臨床検査を担当する会社です。1984年「株式会社板橋中央臨床検査研究所」を設立、2009年4月に社名を「株式会社アイル」に変更し新社屋も完成しました。アイルの社員のうち約400名はIMSグループの各病院の検査部で臨床検査に従事しています。本社で検査・研究に当たっているものが約80名です。 臨床検査事業部は生化学的検査をはじめ、免疫学的検査、血液学的検査、遺伝子検査などその他、疾病の早期発見、予防、治療に必要なあらゆる臨床検査が可能で、最新の機器と技術でグループの医療活動に貢献しています。研究事業に関しては2003年より再生医療研究を開始し翌年より神戸に研究所を開設、臍帯血バンク事業を開始しました。この度、新社屋完成に伴い神戸の研究所を本社に統合・集中して再生医療研究に注力できる設備環境を整備しました。

東京から距離がありますが神戸に設置されていた特別な理由があるのですか

神戸市が推進母体となり、医療産業や医療関係の学術機関を集積し産学連携による高度医療技術の国際的な研究開発拠点にしようという神戸医療産業都市構想のもと、神戸ポートアイランドに先端医療産業特区がつくられました。ここには理化学研究所発生・再生科学総合研究センターをはじめ、神戸大学インキュベーションセンター、先端医療センター、神戸臨床研究情報センターなど、公的機関、学術機関の日本における最先端の研究施設が集中的に設立されたのです。再生医療研究を中心とした民間企業のラボも数多く集り、企業間のコラボレーションであるとか最新情報の交換などに最適な場所として研究所を設立しました。

神戸の研究所の中心事業はどのようなものですか

主な事業は臍帯血のバンキングです。臍帯血は以前は出産時に捨てられていたものでしたが、近年細胞治療の研究が進む中で非常に注目されてきました。臍帯血には多数の幹細胞が含まれており、骨髄移植と同様の効果が期待できる臍帯血移植であるとか、iPS細胞をつくれることだとか、将来の医療を考えたとき重要なリソースとなってきています。臍帯血バンクというものも今まで以上に重視されていくと考えられます。公的な使い方はもちろんですが、母親やその子供が将来において病気やけがで細胞治療が必要となったときのために出産時に臍帯血を保存しておくことも勧められています。当社ではこのプライベートバンキングのための臍帯血バンクに当たります。
細胞レベルの話ですから当然厳しい品質管理が求められます。アメリカ血液銀行協会(AABB)という組織が監査をしていますが、アメリカの公的バンクでもAABBの認定臍帯血を移植に使うなどその品質管理は折り紙付きです。当社は、日本で唯一AABBの認定を受けた臍帯血バンクとして品質に関する確かな自信を持っています。

新社屋の研究設備にアイソレータを選ばれた理由は

神戸の研究所はクリーンルームの設備を持っており、主に臍帯血バンクとして運営していますが、他の様々な研究に使うとなるとその運用が大変な負担となります。クリーン度の基準を維持するためにクリーンルームのメンテナンスは欠かせませんが、これは想像以上に大変な作業で、一例を挙げれば、ルーム全体の衛生環境をコントロールするために、日々の定期的なサニテーション作業により、クリーン度の維持や微生物モニタリングが欠かせません。さらに、もし多種の研究に使用するとなると研究内容を変えるたびに清掃し、リセットが必要となります。メンテナンスにかかる費用と労力、時間コストは研究に大きな負荷がかかります。
それに比べるとアイソレータの場合は、装置に搭載されている洗浄機能を使い内部を清掃するだけで、GMP準拠のクリーン度を維持できるので、研究内容を切り替える作業が手軽にできます。アイソレータを設置する部屋そのものは下位のクリーン度でいいので設備やメンテナンスが大幅に軽減でき、将来的に研究領域が広がるとか量が増えるなど研究ボリュームが増大してもオプションで対応できたり、アイソレータ本体を増やすことで対応できるので全体的な設備投資もかなり圧縮できると思います。

このアイソレータは御社向けの特別仕様になっているのですか

遠心分離器は当方のニーズにあったものを搭載しました。血液の分離作業を想定し、ハンガーなども加えています。完成するまで製造工場に何度か出向き、いくつか気づいた箇所はその都度改造をお願いしました。この種の装置は作業目的に応じてチューニングアップが必要で、実稼働してからも手を入れるところが出てくるので対応をお願いします。

研究課題と今後の展望はどのようなものでしょうか

研究事業では臍帯血のバンキングが主な事業ですが、それに加えて臍帯血やその他の細胞のリソースを使って、再生治療や免疫療法などの臨床に直結する事業開発を計画しています。現在すでに研究員が京都大学の研究所で共同研究を行っていますが、この成果をフィードバックし当社の再生医療の事業開発に生かされます。グループ各病院での治療が高度になるにつれ各診療科からリクエストが多くなるでしょうが、それら先端医療に応えていく研究成果を上げたいと思います。

再生医療研究センター

再生医療研究センター見取り図イメージ
再生医療研究センターイメージ
再生医療研究センターイメージ
再生医療研究センターイメージ
再生医療研究センターイメージ




再生医療研究センターイメージ
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納入先

IMSグループ 株式会社 アイル
所在地 東京都板橋区小豆沢2-20-10
Tel 03-3967-6051(代)
Fax 03-3967-6052
URL www.eil.jp
IMSグループ 株式会社 アイル イメージ

納入機器

セルプロセッシング・アイソレータ×1台/CO2インキュベータ:MCO-19AIC(UV)×1台/バイオハザード対策用キャビネット:MHE-131AJ×1台、MHE-91AB3×1台/薬用保冷庫:MPR-414FR×1台

掲載内容は2010年1月現在のものです。

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