オートクレーブが特別養護老人ホームで活躍中!!
あすなろ会
白兎あすなろ/岩井あすなろ
- ●白兎あすなろ
施設長代行 勢川 義夫 様
- 特別養護老人ホーム/定員100名
- ショートステイ/定員2名
- デイサービス/定員25名
- ●岩井あすなろ
施設長 八幡 建一 様
- 特別養護老人ホーム/定員82名
- ショートステイ/定員10名
- デイサービス/定員35名
実験・研究用器材の理化学用高圧蒸気滅菌器が研究施設とは縁遠い老人ホームに導入!?
オートクレーブは、本来、実験器具や培養器具の滅菌を目的に開発された機器です。主に生物研究や病理検査などのラボで使用されています。介護老人福祉施設でいったいどのようなニーズがあるのか。またどのように使われているのか台風一過の鳥取県へ取材にうかがいました。
あすなろ会は鳥取県で特別養護老人ホーム7施設を初め、老人デイサービスセンターなど老人福祉施設を広く展開する社会福祉法人です。その中で『岩井あすなろ』『白兎あすなろ』の2施設を訪ねました。
●集団感染予防が大きな課題
特別養護老人ホームの院内感染は、近年大きな話題となりニュースでもたびたび取り上げられています。厚生労働省でも集団感染に対してガイドラインを策定するなど、各施設による取り組みが大きな課題となっています。『岩井あすなろ』『白兎あすなろ』とも100床前後の特別養護老人ホームで、衛生面では日常的に相当の配慮をされているそうです。
●ノロウイルス対策
集団感染の中でも特にノロウイルスによる食中毒に神経を使っておられます。手などを介して菌が連鎖的に感染し、身体的に弱い高齢者などでは感染・発症が容易で症状も重くなるため、日々の注意が大切だということです。手洗いの徹底など、当然、従来から取り組まれていますが、その中で問題点として浮上してきたのが「おしぼり」です。洗顔代わりや食事時「おしぼり」を使用することが慣例となっていますが。これが菌の媒介になるのではと危機感を持たれました。
●70℃では不安
いままで、「おしぼり」は理髪店にあるような一般的な加温器を使用していたそうですが、温度はせいぜい70℃程度、これでは滅菌できずむしろ培養しているようなものであるため、滅菌性能の高いオートクレーブの導入に踏み切られたそうです。現在105℃の設定で使用、タオル生地のいたみかたも問題がないようです。感染症の全てがこれで解決するわけではなく、町の温泉を引き込む『岩井あすなろ』では「レジオネラ菌」対策も必要だとのこと。また、デイサービスも行い外部からの出入りがある現状ではまだまだ防止のための努力が必要で安心はできないようです。
現場の第一線で指揮をとっておられる、それぞれの介護士長さんにお話をうかがいました。
●「おしぼり」はどのように使われているのでしょう。具体的に教えてください。
まず、朝の洗顔時、顔を拭くために使います。次に3度の食事に手を拭いたり、口のまわりを拭ったりします。洗面用と食事用は色分けされてます。
●「おしぼり」はまとめて滅菌されるのですか。
その都度洗濯してオートクレーブに入れてます。一日4回の作業になります。
●一般のおしぼり機器を使って、おられたそうですが…。
オートクレーブを導入して、安心感が違います。105℃の高温なので充分滅菌できていると思います。タオルを畳む作業を、入所されている方の軽作業として組み込んでいましたが、70℃では滅菌できないとわかって中断していました。作業中に菌がタオルに付き、培養される恐れがあったからです。ずいぶんがっかりされる方もおられました。オートクレーブにしてからこの作業を再開することができ、喜ばれています。
●使い勝手はどうでしょう。
バスケットをセットしてスイッチを押せば後はブザーが知らせてくれるまで放っておけるので、面倒なことは全くありません。ただ、火傷をしないよう安全な場所に設置するので必ずしも近くに排水口があるとは限りません。排水に関しては流し台の横に置けた以前の方が楽でした。
●追加導入など今後のご予定は。
厚生労働省の方針もあり、当施設も介護チームを3つにして1チームにつき16~18名とするなど、よりきめ細かい介護サービスを目指しています。「おしぼり」は、必要なときに使え、特に冬季はさめないうちに使えるよう、できればチーム当たり1台ずつほしいところです。
眼下に名勝・白兎海岸が広がる。
四季折々の自然に癒されるうらやましいロケーション。
所長、所員のみなさんの手入れが行き届いた見事な芝生。催事のステージに活用されている。